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童話部のものがたり  作者: つー
第一章 始まりの日
3/4

遭遇、急。

いきなりの超常現象注意です。不思議の国のアリスが好きな方、すみません;ここで大事な人物パート1登場です。

 教室にいても変に見られるから、廊下に出てみた。ついでだし、学校の中探検してみようかな。

 綺麗なクリーム色の壁に、澄んだ色のステンドグラスの窓。お父さんの話だと、学園長の趣味で学校の窓全部がステンドグラスになっているみたい。だからこの学校、外から目立つんだって。確かに、こんなに綺麗な窓だったら、某曲みたいに夜中に窓ガラス壊してまわるような輩は出ないだろうしなぁ。    

 この絵は赤頭巾ちゃん・・・、これはシンデレラ・・・。童話の絵ばっかりだ。白雪姫・・・。そしてこれは。

 「不思議の国のアリス」

 小さい頃から、私が一番好きなお話。黒いリボンカチューシャに金髪のロングヘア、青いエプロンドレスに黒いバレエシューズ。もう何から何まで可愛くて、当時十歳の私は夢中でこの物語を読んだっけ。よく見るとアリスの隣には意地悪チシャ猫にいかれた帽子屋・・・。ふふ、なんてよく出来たステンドグラスなんだろう!きっとこれを作った人は、童話が好きなだけなんじゃなくて詳しい人なんだろうな。

 ゆっくりとステンドグラスを眺めていく。いくら見ていても飽きない。時間なんて忘れてしまいそう・・・。ん・・・?時間・・・。


 キーンコーン、カーンコーン。


 ありがちな音が響き渡った。


 うわあああああ!ダメじゃん!何してるの私!

 次は授業の説明を聞くために体育館まで行かないといけないのに!今からじゃ間に合わないじゃないか!


 走らなきゃ!運動能力ゼロに限りなく等しいけど!


 そう思って足に力を込める。あまり体力使いたくないけど仕方が無い!


 「・・・ねぇ、待って」


 直後、すっ転ぶ。勢いづいて床にダイビングしてしまった。鼻打った・・・。

 痛い鼻をさすりながら後ろを見ると、私は目を疑った。さっきステンドグラスに描かれていたような、金髪のロングヘアにリボンカチューシャ。ドレスにバレエシューズまでまるっきり一緒。そんな女の子がこっちを見て微笑んでいる。

 ・・・可愛い。

 いやいやいや、違うから!こんな格好で学校いたらちょっと痛い人だから!

 誰だろう。知らない子だ。もしかして学校関係者とか?

 「ふふ、あなたも迷子なの?」

 え?いや、体育館まで急いで行こうとしてるだけで、とくに迷子という訳じゃありませんけど・・・。というか遅刻しちゃうので、その私の制服を引っ張る手をどけて下さい。

 「いえ、違います。遅刻・・・しちゃうので、離してください。」

 小さくぼそぼそと話してしまったのがまずかったかな。

 「あのね、私、迷子になった時はどうしたらいいのか、お姉さまに聞いたことがあるの。」

 やっぱり聞こえてなかったみたい。うぅ、遅刻しちゃうよ・・・。誰だよこの子・・・。

 「えっとね、自分がどこにいるか分からなくなったら、落ち着いて、じっとその場で見つけてもらうのを待つの」

 アリスと一緒だ・・・。本当になんなんだろうこの子。話してるうちにどんどん引っ張る力が強くなっているし・・・。

 「だから、ね、私とずっと・・・。」


 一緒に、不思議の国に居ようよ・・・。


 寒気がした。

 慌てて女の子の手を振り払おうとしたけど、遅かった。にやりと顔を歪ませたその子は、私の知っている童話の中のアリスじゃない。どこか意地の悪そうな・・・。

 「ねぇ、一緒にいようよ・・・。」

 気がつくと、辺り一帯が真っ黒になっている。ただの空間じゃない、インクの染みみたいな歪みがところどころに出来ていて、呼吸が苦しい。

 意味が分からない。私は今一体どうなってるの!?高校生活も十分に楽しめないまま、こんな変な超常現象で死ぬの!?絶対に嫌!離して!!


 「アリス!」

 意識が遠のきそうになった瞬間。少し低めの声がして、周りが一瞬で明るくなった。

 「チッ」

 目の前の女の子が、いらいらしたように舌打ちをして・・・、次の瞬間には消えていた。助かった・・・のかな?

 「おい!お前大丈夫か?さっきの奴に変なことされなかったか!?」

 ぼぅっとしていると、救世主さん(仮)が話しかけてきた。お、お礼言わなきゃ、さっきの女の子とかはなんなのか分からないけど。

 「あ、ありがとうございま・・・!」

 振り向くとそこには、赤い髪の不良がいた。


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