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第二章節 あのことわたし

 終礼というのは退屈だ。つまらない話を聞くだけで終わる。まぁ短いからいいが。

「よーし連絡も終わったし、夏休みの課題一覧配ってくぞー」

たった今よくなくなった。

「えー!課題なしじゃねーのかよ!」

男子が騒いでいる。あれは野球部か。いいぞもっと言え。

「なわけねーだろお前ら来年受験生だぞ。受験勉強はもう始まってんだからな」

「ですがー?今回だけー?特別にー?課題がなくなりまー?」

なりまー?

「せん!」

チッ

「せんせーノリわるぅー」

そうだそうだ。

「大体、今年は生徒の自主性を重んじるとか言って、去年よりもだいぶ少なくなってんだからな」

そう言いながらも、先生は課題一覧を配っていく。

「え、そうなの!?」

「よっしゃ!それはアツい」

「なんならもう終わってるやついるんじゃないか?」

先生の言葉で、思わず葵の方に意識が向く。隣の席の子と話しているようだ。

「葵ちゃん、どれか終わってたりする?」

「うーん、まあまあかな。はるかちゃんは?」

「私はぜんっぜんだめ!というか数学とか解けなさそうだからさ、終わってる部分だけでも解き方教えてくれたりしない?」

「おっけー!えっと、数学なら……うん、範囲全部いけるよ」

「ほんとに?もー葵ちゃん神!女神!」

「おおげさだなぁ」

葵はもう、数学の課題を終わらせているらしい。いや、おそらくまあまあというのは謙遜で、他の科目だって終わっているのだろう。葵は入学以来、常に成績上位をキープしているから。……高校受験が終わってから、気の抜けた日々を送っている私と違って。私はどこで間違えたのだろう。放課後にもっと勉強をしていたら?いや、春休みに一年生の復習をしていたら?そもそも勉強する意味って?———

「お前らそろそろ落ち着けー。とりあえず、夏休みまでまだ一週間あるとはいえ、宿題は計画的にすすめろよ。ああそれと、進路希望調査も夏休み明け提出だからな。忘れるなよ。じゃ、号令」

「きりーつ、きをつけー、れーい」

「ありがとうございましたー」

一度考え出したら止まらなくなる。悪い癖だ。とにかく、終礼さえ終わってしまえばもう教室に用はない。宿題も進路希望も一旦置いといて、早いところ帰る用意を終わらせよう。

「朝顔、一緒に帰らない?」

帰り支度をしているうちに葵が近づいてきていたようだ。

「あー、ごめん。今日用事があって」

「そっか。じゃあまた今度帰ろうね。」

「うん、また今度」

「ばいばーい」

去っていく葵に手を振りかえす。また今度、が訪れることはきっとない。誰かと過ごすのは向いていないから。リュックを背負いながら立ち上がる。立ちくらみに知らんぷりしながら、教室の扉をくぐった。

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