第一章節 変わることのない日常
「なぁなぁ、昨日の動画見た?」
「見た見た。あれやばくね?」
「……」
「え、それ提出今日だっけ?」
「いや、明日」
「うわ、あせったー」
「……」
騒がしい朝の教室、青空に流れる雲、風に揺れる木々。平和な今日にあくびをひとつ。平凡で、退屈で、変わることのない日常。こんな日々を送っていると、よく頭に浮かんでくる。”私は、何のために生きているのだろうか”と。いつも答えはわからない。世界滅亡の危機とか、身分差を超えた大恋愛とか、そういう非日常を経験したら、なにかわかるのだろうか。このありふれた日常が、なにか変わるのだろうか。
「朝顔!おはよ!」
「……ん?ああ葵、おはよ」
今日も私の物思いは、葵によって終わりを迎えた。葵は変わっている。昔よく二人で遊んでいたとはいえ、クラスの人気者がはみ出し者に話しかける必要なんてどこにあるのか。
「ねえねえ、昨日のニュースみた?」
昨日のニュース、と言われたって、子猫の動画から電車の人身事故まで様々だ。いろいろなものが脳裏を掠める。そのなかで、ある一つが目に留まった。
「あーっと、第三次世界大戦が始まるかも、みたいなやつ?」
「そうそれ!なんか偉い人は日本は憲法第9条に基づいてうんたらかんたらーって言ってるけどさ?日本だけ平和なままです、なんてできるのかなぁ」
「……」
窓の外を見る。青空に流れる雲、風に揺れる木々。いつもと変わらないのどかな風景。
「まあ、だいじょぶなんじゃない?」
私の平凡で、退屈で、変わることのない日常は、これからも続いていくのだろう。




