稲妻を袁術にあげて、ホームズ港を再戦させる
幻世争雄:稲妻とオモス港の戦い
潮風が塩気を帯び、稲妻城の雄大な城壁をすり抜けていた。呂布は焔のような甲冑をまとい、方天画戟を手に城頭に立つ。城中を行き交う人影とはためく軍旗を眺め、その瞳は底知れず深かった。城下では袁術の大軍が黒い潮流のように押し寄せ、軍旗がはためいていた。
「袁公、この稲妻城は貴方に渡そう」
呂布の声は洪鐘のように響き、大股で楼から下り、袁術の前まで来た。袁術は体が肥満で、笑顔を浮かべて手を拱げた。
「奉先、我々兄弟の絆は深い。この稲妻城はまさに天が与えた厚礼だ!ただ、なぜ突然……」
呂布の眼光は鋭く、重く言った。
「袁公、スメールのオモス港は交易の要衝で、富が山のように積み上がっている。ここを手に入れれば、我々の覇業は成し遂げられる。近ごろ密偵の報せを受けた。オモス港の守りは手薄になっており、まさに好機だ。私は稲妻城を貴方に譲る。貴方は全力で準備し、オモス港を攻め落とせばよい!」
袁術はそれを聞き、瞳に貪欲な光が宿った。心の中で計算していた。稲妻城はすでに手に入れた。もしオモス港まで手に入れれば、自分はこの幻世で最も強力な諸侯になれる。そこで彼は大きくうなずいた。
「よし!奉先、安心しろ。必ず任せを果たす!」
城中に戻ると、袁術はすぐに配下の谋士や将軍を召集し、オモス港攻撃について協議した。谋士の閻象は眉をひそめ、心配そうに言った。
「主君、オモス港は要衝ではあるが、スメールの兵力は侮れません。教令院の下には三十人団と金メッキ旅団の二つの傭兵団があり、オモス港や他の要所を守備しています。我が軍は遠くから駆けつけるため、持久戦に陥れば兵糧が足りなくなり、前後から挟み撃ちにされる恐れがあります」
袁術はいらだって手を振った。
「フン!たかが傭兵、問題にならん!我が軍は兵強く馬壮り、奉先が助けてくれる。必ず一気にオモス港を落とせる!」
諸衆は袁術の決意が固いのを見て、うなずくほかなかった。
一方、呂布は自陣の営幕の中で高順、陳宮と協議していた。陳宮は髭をなで、険しい表情で言った。
「主君、袁術は生まれつき貪欲で視野が狭い。今回、彼にオモス港を攻めさせることでスメールの兵力を消耗させられるが、彼がスムーズに落とせるとは限りません。もし戦局が不利になったら、我が軍はどう対応すればよいのでしょう?」
呂布はしばらく沈思し、瞳に確固たる決意を宿らせて言った。
「公台、私には計画がある。袁公路がオモス港を落とせれば我が軍に大きな益がある。落とせなくても、我が軍が出て後始末をし、漁夫の利を得ればよい。高順、急いで精鋭部隊を訓練せよ。非常時に備えるためだ」
高順は命を受けて去った。
袁術の綱渡りの準備の末、ついに大軍が進発した。隊列は数里にわたって続き、刀や槍は林のように立ち並び、勢いは壮絶だった。長い行軍を経て、袁術の大軍はオモス港の近くに到着した。この時、オモス港の中は慌ただしく、商船が出入りし、危機が迫っていることにまったく気づいていなかった。
袁術は港の外に営を張り、使者を遣わして敵陣に挑戦させた。三十人団と金メッキ旅団の将軍たちは知らせを受け、城楼に上り、城外の蟻の群れのような敵軍を眺め、険しい表情になった。三十人団の首領アフマルは冷ややかに笑った。
「この乌合の衆が、我がオモス港に敢えて侵攻してくるとは!命令を下せ、警戒を強め、迎え撃つ準備をせよ!」
翌朝早く、袁術は攻城を命じた。兵士たちは潮流のように港に突進し、殺気立つ声が天地に響いた。城壁の上では守備軍が一斉に矢を放ち、矢は雨のように敵軍に降り注いだ。袁術軍の前列の兵士は次々と倒れたが、後ろの兵士は少しもひるまず、進み続けた。双方は激しい攻防を繰り広げ、一瞬にして血が港の大地を染め上げた。
激戦のさなか、袁術の谋士の李豊が策を進言した。
「主君、敵軍は守りに出てこない。我が軍が強攻すれば損害が大きい。兵力を分けて港の後方に迂回し、前後から挟み撃ちにすれば、必ず城を落とせます」
袁術はこの策が妙だと思い、すぐに兵力を分けるよう命じた。しかし彼らの動きはすでに守備軍に察知されていた。アフマルは袁術軍が分かれたのを知り、冷ややかに笑った。
「フン、まさに思う壺だ!」
彼は即座に精鋭部隊を派遣し、袁術軍が迂回する必用の道に待ち伏せさせた。
袁術軍の側面部隊が待ち伏せ圏に入った時、伏せ兵が突然襲いかかった。一瞬にして殺気立つ声、悲鳴が入り混じった。袁術軍は突然の襲撃に慌て、混乱に陥り、兵士たちは四方に逃げ惑った。
正面の戦場では、袁術は側面の敗北を見て心を焦がした。自ら鼓を打って士気を高め、形勢を立て直そうとした。しかしこの時、守備軍は門を開け、自ら攻撃に出た。三十人団と金メッキ旅団の兵士たちは猛虎が山から降りるように袁術軍に突進し、袁術軍は態勢を崩し、次々と後退し始めた。
袁術軍が全面的に崩壊しようとした時、呂布の援軍が到着した。高順が率いる精鋭部隊は刃物のように守備軍の陣に突入した。呂布は方天画戟を振るい、彼の到着する所、敵は次々と倒れた。呂布軍の支援により、袁術軍は態勢を立て直し、反撃を開始した。
双方は再び膠着状態に陥った。夜が訪れ、戦場には屍が野に横たわり、血は月光の下で不気味な光を放っていた。呂布と袁術は営幕の中で対策を協議した。呂布は眉をひそめて言った。
「袁公、今日の戦いは我が軍に損害はあったが、敵軍も大打撃を受けた。明日、我が軍は兵力を集中し、全力で攻城し、必ずオモス港を落とそう!」
袁術はうなずいて賛成した。
翌日、夜明けと共に新たな攻城戦が始まった。呂布と袁術が自ら軍を率いて突進し、兵士たちは士気高く勇んで前進した。激戦の末、袁術軍はついに守備軍の防衛線を突破し、オモス港に侵入した。城中はたちまち混乱に陥り、殺気立つ声、泣き叫ぶ声が絶えなかった。
三日三夜の激戦を経て、オモス港はついに呂布と袁術の連合軍によって占領された。城中の山のように積まれた富を眺め、袁術は笑いが止まらなかった。しかし呂布の視線は遠くに向けられていた。彼の心の中ではっきりしていた。これは幻世を争う始まりに過ぎない……。権謀と戦火に満ちたこの世界で、さらに大きな危機と挑戦が密かに迫っている。




