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ポート・オブ・ホームズの戦い

オモス港の嵐


幻想の大陸に、璃月リーユエの平和とスメールの神秘が織りなす。この日、オモス港はにぎやかで、商船が行き交い、波止場には荷物を運ぶ労働者と足早に通り過ぎる旅人であふれていた。しかし、そのありふれた人混みの中に、数人の不速の客が紛れ込んでいた。


呂布軍の大将・華雄カユウは体ががっしりと頑丈で、顔には長年戦場を渡り歩いた苛烈な気迫がにじんでいる。だが今はぼろ衣をまとい、顔には変装の汚れを塗り、落ちぶれた璃月の難民になりすまし、スメールへ潜入しようとしていた。そばには同じように変装した兵士たちが従い、目にはたびたび警戒と不安が浮かんでいた。


「気をつけろ、素行を見破られるな」

華雄は低声で周囲に言い放った。彼らは人混みに紛れてゆっくりと港の奥へ進み、検問をかいくぐり、スメール奥地へ入る機会をうかがっていた。


その頃、港の高台の一つで、龐統ホウトウが静かに下の人混みを眺めていた。知謀に優れた軍師として、龐統の眼光は鷲のように鋭く、わずかな異変も逃さない。彼は華雄一行の異変に気づいていた。どれほど変装に励んでも、仕草ににじむ軍人の気品、たびたび見せる警戒心は、普通の難民とはまったく違っていた。


「来い」

龐統がささやくと、すぐさま数人のスメール兵が現れた。

「あそこの不審な者たちを連れてこい」

彼は華雄たちを指し示した。


兵士たちはすばやく動き、たちまち華雄一行を取り囲んだ。華雄はまずいと心の中で叫び、手は思わず腰の武器に握りしめた。

「何をするんだ? 我々は哀れな難民だ。璃月から逃げてきた者たちだ」

華雄は哀れっぽい態度を装って言った。


「ふん、難民?」

龐統は高台から降り、ゆっくりと華雄に近づいた。

「他人はだませても、俺にはだません。お前たちが港に足を踏み入れた瞬間から、すでに目をつけていた。軍人は軍人だ。どれほど変装しても、その殺伐とした気質は隠しきれない。言え、呂布軍はお前たちをスメールに何のために送り込んだ?」


変装が見破られたと知ると、華雄の顔色は曇り、もはや装うことをやめた。

「見抜かれたなら、言うこともない。だが、この程度のスメール兵どもが、俺たちを捕まえられると思うな!」

言うや否や、大きな手を振り上げ、周囲の兵士たちはたちまち武器を抜き、戦闘態勢に入った。


たちまち港は混乱に包まれ、民たちはあわてふためいて逃げ惑った。スメール軍はすばやく集結し、呂布軍と対峙した。双方が一触即発の状況になったその時、赤い影がひらめき、関羽カンウ赤兎馬セキトバにまたがり、青龍偃月刀セイリュウエツゲットウを手に、威風堂々と戦場に現れた。


「呂布軍、よくもここで騒ぎを起こす!」

関羽の声は鐘のように響き、港全体に鳴り渡った。華雄は関羽を見て心を引き締めたが、呂布軍の大将として、ひることはなかった。

「関羽、今日こそ俺の腕前を見せてやる!」

声と共に大刀を振り回し、関羽に突進していった。


関羽はあわてることなく、両足で馬の腹を挟む。赤兎馬は弦をはなれた矢のように疾駆し、二人はたちまち一戦を交え、刀光剣影がきらめいた。関羽の刀法は剛猛で鋭く、一振りごとに千钧の重みを持つ。華雄もまったく引けを取らず、たくましい体と優れた武芸をもって、関羽と互角に戦いあった。


だがやはり関羽は長らく戦場を駆けた名将、戦闘経験は豊富だ。数合を交えただけで、華雄の隙を見抜いた。大喝一声を上げ、青龍偃月刀を高く掲げ、一気に振り下ろす。華雄はよけきれず、一刀で馬から斬り落とされた。


大将が討ち取られたのを見て、呂布軍はたちまち士気が崩れた。スメール軍は勢いに乗って攻撃を加え、呂布軍を次々と敗走させた。関羽は兵士たちを率いて追い討ちをかけ、呂布軍をオモス港から完全に追い払った。


戦いが終わると、オモス港は次第に平静を取り戻した。旅人のソラはたまたまこの戦いを目撃し、関羽の勇姿に心から感嘆した。彼は関羽の前に進み出て言った。

「関将軍、その武芸は実に感服いたします。今日、将軍が間に合わなければ、オモス港は大惨事に見舞われていたことでしょう」


関羽はさっぱりと笑い上戸した。

「ははは、つまらぬことだ。若者、気性のいい男のようだ。ならば一緒に杯を交わそうではないか!」

空は快諾した。


二人は港の酒場に入り、美酒数壺と肴を頼んだ。酒が三巡すると、関羽は思いを語り始めた。

「俺は一生、無数の戦いを経て、多くの生と死の別れを見てきた。だが一方の民の安寧を守れるのなら、すべて価値がある」

彼は感慨深げに語った。


空は静かに聞き、関羽への敬愛の念はますます深まった。二人は酒を飲みながら、互いの冒険の話を語り合い、気づけば空は暮れ、二人ともほろ酔い加減になっていた。だがこの一気に酔いしれる語らいは、二人の間に深い友情を結び、オモス港の忘れがたい美談となった。


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