ボイジャー空挺作戦
海途絶境と守護
荒れ狂う嵐が海面を支配し、無数の怒涛を巻き上げ、この世のすべてを底知れぬ深淵へと引きずり込もうとしていた。
稲妻の民を満載した傷んだ商船が、必死に须弥へと逃れようと進んでいた。
帆は風にはためき、今にも裂けてしまいそうだ。
船首では旅人・空が険しい面持ちで剣の柄を握りしめ、警戒の目を四周に注いでいた。
そばではパイモンが慌てて飛び回り、口々に囁いていた。
「どうしよう、あいつらまだ追ってくる!」
数日前、稲妻は恐ろしい戦乱に巻き込まれていた。
異世界から来た吕布が強大な軍を率い、押し寄せる激流のように襲い来たのだ。
稲妻の武士たちは命を懸けて抗ったものの、吕布の誰も挡げ得ぬ勇猛さと、配下の軍勢の凶暴さには敵わなかった。
空も稲妻を守る戦いに加わり、全身全霊を傾け、元素の力を手に輝かせ、仲間たちと共に戦った。
しかし吕布は方天画戟を振るい、戦場を駆け抜け、まるで魔神が降臨したかのように、
至るところを血の海に変えていった。
稲妻はついに吕布の鉄蹄の下に陥落した。
空はやむなく、生き残った人々を連れ、须弥へ逃れる旅に出た。
だが吕布は彼らを容易には逃がさない。
見ると、巨大な戦艦数隻からなる船団が、怒涛の勢いで追いかけてきていた。
戦艦の上では旗がはためき、吕布軍の紋章が風に荒れ狂うように揺れていた。
空はますます近づく敵船を見て眉を寄せ、どうにか窮地を脱する術を考えていた。
そのとき、海面から懐かしい叫び声が聞こえてきた。
空が見上げると、一艘の快船が矢のように駆け寄ってきた。
船首に佇むは、銀の鎧に槍を持つ威風堂々の姿——まさしく趙雲であった。
趙雲は確かな瞳で高らかに叫んだ。
「旅人、慌てるな!俺が助けに来た!」
言うと彼は槍を手に、一躍して最前の吕布軍の戦艦に飛び乗った。
一閃の寒光が走り、趙雲は蛟竜が海を出るように敵中を七進七出。
槍の届くところ、敵兵は次々と倒れ、甲板は血に染まった。
吕布軍は突然の襲撃に拍子抜け、整っていた追撃陣はたちまち乱れた。
空はこれを見て、すぐさま商船の加速を指示した。
しかし吕布軍は簡単には諦めず、陣を立て直し再び追いかけてきた。
趙雲は懸命に応戦しながら、空の商船に向かって叫んだ。
「旅人、お前は民を連れて先に行け! 俺が後ろを盾となる!」
言うと彼は振り返り、再び敵陣に斬り込み、吕布軍の視線を一身に集めた。
激しい戦いの中で趙雲にも幾つもの傷が増えたが、彼は一步も引かなかった。
槍を振り回して近づく敵船を退け、術の攻撃を巧みに躱し続けた。
一方の空は、商船を波間に揺らせながら進み、ついに须弥の海岸線を目にした。
オモス港の輪郭が次第にはっきりとしてくる。
空と民たちが無事に须弥の土地に足を踏み入れたとき、人々は力尽きて地面に倒れた。
生き残った歓びと疲労が入り混じる。
空は振り返って海面を眺めると、趙雲の快船は戦火の煙に包まれて姿を消していた。
生死は不明。
彼は拳を強く握り締め、心に誓った。
「必ず強くなる。必ず稲妻を取り戻し、趙雲を救い出す!」
须弥で、空は民たちと共に新しい生活を始めた。
しかし彼は自らの使命を忘れず、毎日ひたすら修行に励み、吕布軍に対抗できる力を求めて各地を巡った。
そして戦火の海での趙雲の勇気ある物語は、風に乗って次第にテイワット大陸全体に伝わり、
人々の口から語り継がれる伝説となり、
多くの者たちを奮い立たせ、吕布の圧政に反抗する者たちの背中を押していった。




