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魔力が無いから王族とは結婚出来ないのに、王太子殿下が婚約者候補から外してくれません  作者: 石月 和花
本編

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49. 手を差し伸べる

「あの……私はもう、出て行ってもよろしいですよね?」


 一連の騒動の騒動の処分がひとまず決まり、場が静かに落ち着きを取り戻したところで、天幕に集められた私は、そわそわしながら殿下にお伺いを立てた。だって、先ほどのメイドが気になって、直ぐにでも彼女に会いに行きたかったのだ。


 しかし、殿下は真顔で私の事を引き留めたのだった。


「いや……君は残ってね?」


 えっ……なんで??

 他の集められた人たちが次々と天幕から出て行く中で、

 私は自分だけが天幕に残される心当たりが全くなかった。


(もしかして……私がアディルナだとバレてしまった??!)


 その可能性が脳裏に過ぎり、私は恐る恐る殿下の表情を伺った。


「あの……私が何か……」


 すると、ロキシード様はニッコリ笑われた。

 ……が、目が笑ってない奴だった。


「何か?じゃないよね?僕は”くれぐれも無茶な事はしないようにね”って言ったよね?」


 ここで私は、自分のさっきの行動を怒られて居るのだと察した。

 正体がバレたわけじゃないと分かって、一先ずはホッとし、私は先ほどの行動について弁明をした。


「あの時は、あの場をなんとかしようと夢中で……」

「だとしても軽率すぎる。エルレインの結界が間に合ってなかったら、どういうことになっていたか分かるかい?無事では済まなかったんだよ?君はもっと後先を考えて行動してくれないか?僕がどれだけ肝が冷えたと思ってるんだ……」


 殿下の言っていることはどれも正論で、私はぐうの音も出なかった。


「も……申し訳ありません……」


 とにかく私は、謝るしかなかった。

 ……あれ?私正体バレてないのになんでこんなに殿下に怒られて居るのだろう?

 そんな疑問が脳裏に浮かんだが、考える間もなく殿下の叱責は続いた。


「とにかく、次にこんな危険な真似をしたら僕はもう君を連れては行かないよ」

「わ、わかりましたわ。以後気を付けます!」


 殿下の視線は真剣で、有無を言わさない迫力があった。

 私は、討伐に一緒に行けなくなるのは困るので、殿下の忠告を素直に聞き入れた。



***



 ロキシード様のお説教から解散されると、私はメイドの様子が気になって、リリエラ様の天幕に向かった。あのまま出て行かせるのは、どうしても忍びなかったから。


 けれど一足遅かったようで、既にメイドは荷物をまとめて天幕を出た後だった。

 中に居るリリエラ様とオリヴァさんの会話だけが聞こえた。


「あのメイド、外に出してしまってよかったのかしら?我が家で飼い殺して、監視した方が良かったんじゃない?口止め料は弾んだけれども、平民なんていつ裏切るか分からないわ」

「一介のメイドの言うことなど、真に受ける人もおりませんわ。あの者は田舎から出てきたばかりで、王都に知り合いも居ないでしょうし。……それにしても、リリエラ様の演技は完璧でございましたね。卑しい魔物の子供にも治癒を施すリリエラ様は、心の清らかな女性として皆の記憶に焼き付いたでしょう」

「ふふ、そうじゃなきゃ困るのよ。でないと私があんな汚らわしい物体に触った意味が無いわ」


 その会話を耳にした瞬間、私の疑念は確信へと変わった。これがリリエラ様の本性なのだ。

 私は怒りで心臓がバクバクし、胸の奥が煮え立つように熱くなるのを感じた。


 しかし今はメイドを探すことの方が先決だった。

 この二人の事は気になったが、後回しにするしかなかった。

 とりあえず私は、休憩地点の入り口へと走った。


 私が走って辿り着くと、入り口では丁度、近くの町から呼び寄せた兵士にメイドを引き渡すところだった。


 私は迷わず、彼女を呼び止めた。


「まってください!!」

「あ……あの、何か?」


 私の呼びかけに、メイドの少女は目を丸くして、どこか怯えたように驚いてこちらを見た。それもそうだろう、知らない人に急に話しかけられたのだから。

 何を言われるのか予測がつかない様子で、メイドの少女は少し怯えていたが、私は構わずに話を続けた。


「貴女、田舎のお母様と弟妹に仕送りが必要なんでしょう?その為に職が必要なんでしょう?」

「え、えぇ……」

「でしたら、王都のハルスタイン侯爵家のフィオネを訪ねなさい。私からの紹介だと言えば、きっと悪いようにはしないわ」


 私の申し出に、彼女はとても驚いた顔をした。困惑――とも違う、嬉しさと驚きが入り混じった複雑な表情でこちらを見つめた。


 私は、彼女を安心させる為に更に言葉を続けた。


「だって貴女は知らなかっただけなんでしょう?私よりも年下なのに一人で王都に出稼ぎに来て、家族の為に働いている貴女に、チャンスを与えたくなったのよ。人は誰だって失敗をするわ。やり直しなさい。フィオネなら、良くしてくれるわ」

「あ……ありがとうございます!!」


 メイドの少女はポロポロと涙をこぼし、私に向かって深々と頭を下げた。

 それから彼女は私に何度も頭を下げると、町の兵士に引き渡されて、隊を後にしたのだった。


(……とりあえずは、これで良いわね)


メイドの件が片付くと、私はもう一つの懸念事項にとりかかった。

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