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-13 侵入

 今日腹痛で病院へ行きました…。


 急性胃腸炎だそうです。

 皆さんも体調には気をつけてくださいね………


 って今腹巻きしながら投稿しているダメ人間がここにいます^^b


 皆さん、こんな人間にならないようにしましょうね!

「えっと、あと50メートルくらいで学校の地下…うをっ! …あ、なんだネズミか…」


 ビ、ビビってないし!


 下水道をライト片手に歩いていく俺。

 雨が降っているので、いささか…いや、結構水が多い。

 足を踏み外すと流されてしまいそうだ。


 しかし、やたらひどい臭いだ。

 汚染された水の、この紫色の何か・・が、今回の事件の鍵を握っているのだろう。

 その紫は…。


「お、此処から流れてるな…」


 梯子のすぐ隣の、パイプから大量に流れていた。

 となると、やはりあのクッキーは、西高の生徒が作った物で間違いないな。


 俺は錆び付いた梯子を登り、上の水市西高等学校を目指す。




 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




「月曜日の騒動、覚えてるか?」

「いや、何しろその事件の関係者になったんだけど、俺」

「あ? あーなんか秋山がメールで言ってたな……お前があっちの一番強いボクシング部と一騎打ちだって…それか?」

「あぁ。参ったもんだぜ…」


 とりあえず彼の破り捨てられたブレザーを丸め、枕代わりにして頭を話しやすい角度にしてやった。

 悪いな、と謝るその声音には、さっきまでの元気さとは遠く離れていた。


「俺と部長、その前には他の部員があいつらのケンカを止めようとした事は聞いたか?」

「あぁ。千沙さんから聞いた」

「俺達はその時、顔に紫色のパイを投げられたんだ」


 知っている。ひどい臭いだったと、千沙さんは語っていた。

 ん? ひどい臭い?

 話の内容が分かりかけてきたかも…。


「それを喰らった先輩たちは、謎の腹痛で入院さ」

「!?」


 ど、通りで誰もいない筈だ。


「偶然口に入らなかった俺はその謎の紫色のお菓子の危険さに気付き、西高へ乗り込もうとしたんだが…」

「何者かに、口止めの意味で毒を盛られたと…」

「そうなる」

「…くっ」


 俺は拳を床に叩きつける。

 未だ相手の行動の意味が分からないが、毒を盛るなんて…許せねぇ…!

 何より、俺のダチに、なんて事を…!


「俺が昔聞いた事なんだが…どうやら西高にはアブナイ薬品、及び料理を作っている集団がいる…。おそらく、家庭科部だ…」

「家庭科部…!」

「頼む、その謎の薬品かなんかをなんとかしなければ、やばい事になるかも…」

「あぁ、言われなくたってやるさ。俺もそんな物食いたくない」

「あと、この話は誰にも話すな…。俺のように口止め目的で毒を盛られるかもしれない…」

「……分かった」


 俺は立ち上がり、その場を後にする。

 その毒とやらを根絶やしにした後でなければ、コイツを病院にも連れて行けない。

 一刻も早く、その事件を解決しなければ…。


 どうやって、なんて後回しだ。

 まずは、難攻不落のあの高校に侵入しなければ…。

 ん。それこそどうすればいいのだ?

 校門から入ろうとすれば射殺される(トマトケチャップ弾に頭から被弾するらしい)し、塀を登ろう者なら竹やり(プラスチック製)が降ってくるらしいし…。

 …まぁ、なんとかなるだろ…。



「じゃあ、行くぜ…」

「…俺達の高校を…頼んだ…」

「…田中……一つ、聞いていいか?」


 俺は彼に向き直り、とある疑問を投げかける。


「何でお前、あのクッキー食ったんだ?」



「いやぁ、舞い上がっちゃってねーテンションがwww そいつが誰かを確認する前にホップステップでこの部室に…ごふぅ!」



 最後の一言は殴る事で口が閉じたので、聞き取る事が出来なかった。

 なんてバカなんだ。こいつ…。






「しかし、侵入方法が分からん…」


 俺は傘を差しながらなんとか西高周辺にやって来たのだが…。

 ヤバイな。噂通りだ。


 塀には小型機関銃らしき物体はあるし、校庭には不自然に草が丸を形取って地面に接してるし(要は落とし穴)、屋上からは馬鹿デカいライトが近隣の公道すら照らしてるし…。

 もう、要塞の域だ。

 どうやって侵入しろと言うのだ…。


「普通に入るんじゃダメだなこりゃ。となると…」


 裏か。

 上か。

 もしくは。


 …下か。





 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




「しかし、学校活動の一環で毒作りとは…教師は何の為にいるんだ…」


 カツン、カツンと金属の梯子を昇る。なんか、スネ○クみたいだな、俺。

 おっと、ここから入れるな。

 俺はゆっくりと、上への入り口を、開ける。


「……。ここは…」


 頭だけ顔を出すと、そこは…。


「んなっ…!」


 めちゃくちゃ、研究所だった。

 もしくは、悪の総本部。

 イメージとしては、ショ○カーの本部を想像していただきたい。

 薄暗い電球一つで、怪しい実験を繰り返す場所。

 ぐつぐつ煮える紫色の鍋や、変な色のフラスコは、この光景をそう捉えるのに充分な代物だった。


「ここが…毒の、製造場所…?」


 誰もいない事を確認し、俺は足を踏み出す。


 周りを見渡す。

 包丁、お玉等の調理道具は、謎の液体でひどく汚れていた。

 真っ黒なカーテンの傍には、例の液体がたっぷり詰まっているシンク。

 なるほど、下水道の汚れは、ここから来てたのか。

 


 謎の液体の入った鍋に近寄る。

 その周辺には、固形状の同色の物、スライムみたいな物までいろいろ転がっていた。

 それらからは、さっきのクッキーと同じ臭いがした。


「これは…ドリアン…?」


 いや、いろいろ混ぜ込んでるな…。


 …………。

 ヤバイ…。

 頭が、クラクラしてきた…。

 早いところ、この紫色の何かを処分しなければ…。


 俺は鍋の取っ手に触れようと、した、その瞬間。



 ――――ヒュッ……!



「!?」


 パイが、飛んできた。

 体を引くことによって、なんとかその攻撃を頭から離させる。


 そして、不意の少女の声。


「見られちゃいました、ネェ……」

「だ、誰だ…!」


 思わず、素っ頓狂な声を上げてしまう。

 飛んできた方向を向く。


 声どおり、そこにいたのは女の子だった。

 背は高くも低くもなく、平均、というくらい。

 手足は細く、体の起伏もあまりない。

 胸以外は、エアルと似た体つきだった。

 決定的に違うのは。


 紫色のトンガリ帽子と、腰にぶら下げたフラスコの数々、そして左手の紫色のパイ…!


「お前…!」

「ここを見られたら、ただじゃ、帰せませんヨ…?」


 少女は、口を凶悪に吊り上げ、帽子をクイっと上げて、焦点の合ってないその両目で俺をロックオンした。

 次回は久々のバトルです。

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