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-9 結果

超短め。


新作のプロット作りで忙しかったのです……。


ごめんなさい、言い訳です。


…でも、長すぎも読むのが大変になっちゃうよね!!(開き直り)

「希我くん!」


 いをちゃんが心配そうに希我に走り寄る。ボクはといえば、その様子に唖然とするだけだった。


 彼の腕は血に染まり、だらんと垂れ下がっている。相打ちに終わったらしく、竹刀は粉々になって床に散らばっている。今井君も、自分の様子に震えているようだ。


「希我くんっ!希我くんっっっ!」


 何度いをちゃんが呼んでも、希我は返事をしない。生ける屍のようだ。言うなればゾンビか。今の彼は、人間と認められないほどのひどい状況だと言うことだ。


「……勝負、アリだな」


 今まで試合をずっと見ていた体育講師は、神妙な面持ちで告げる。いをちゃんは、泣きそうな顔で彼に訴える。


「せんせい!希我くんの治療を……!」


「前田か。また潜り込んできたな……、まぁ、それは大目に見てやろう。ちょっと待っていてくれ。後30秒もかからない」


「でも……いえ、わかりました」


 いをちゃんが引き下がり、イケメン講師は立っている生徒の手を掴み、高く突き出す。




「勝者、橘希我!」




 希我は血塗られた右手を上げながら、無感情な顔で天井を見上げ。


 今井君は粉砕された自分の相棒を視界に捉えながら、「ちくしょう……」と呟いた。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「じゃぁ、見ていなかった奴のために、何が起こったか説明してやるぞー。しっかり聞いとけー。

 試合中足を挫いてしまった橘は、持ち前のフットワークを生かせず、今井の怪我の痛みによる寸分の狂いのおかげだが、竹刀をすれすれのところで躱していたな。

 試合終了2分前、今井が勝負をしかけた。試合中盤で放った移動式居合い斬りを再び発動したんだ。それも、かわす余地の無い、超至近距離でだ。竹刀は完璧に橘を捉えていたな。

 絶対的不利な状況。橘が一瞬の煌めきでとった行動……え?「長年の経験によって感じとった最良の選択」って言え?なんだっていいだろ、少し黙ってろ包帯男が。

 えー、どこまで話したっけ…。そうだ、橘の反撃方法だったな。

 躱せない剣。それを橘は


 竹刀ごと今井を殴り飛ばしたんだ。


 おかげで竹刀は粉砕、腹に竹刀と共に拳を叩き込まれた今井はあばらを骨折。橘は右手を切りながらも大きな負傷は足と竹刀を殴った右手の捻挫だけ……。

 はい、今回の試合で橘がバケモノだと思った人挙手〜。うん、全員綺麗な挙手だなー。確かになー。人間技どころか怪物技以上のゴリ押しだもんなー。何で骨折しないんだろうなー。竹でぶん殴られてるのになー。

 そんなバケモノ右腕包帯ぐるぐる男のランクはクラスで1位、校内で2位になって、今井はワンランク降格だ。

 じゃあ今日はここまでー。次に備えて鍛練に励めよー」



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「失礼します」


 放課後の廊下、窓から見える見晴らしもいい学校の5階。俺は負傷した右腕をかばいながら左手の指の第二関節でとある扉に上品にノックする。こうしないと、この重たい鋼鉄の扉についてる自動認証システムによって床に穴が開いてここ5階から地下1階まで落とされる……らしい。いや、嘘か真かは定かではないが、この部屋の主ならやりかねない。


 扉の向こうから、「はぁ~い、どうぞ~」と間の抜けた声と共に、鉄戸のロックの解除されたと思しき電子音が聞こえる。俺はノブに左手をかけ、少々力を入れて扉を開ける。心地よい冷気が、じめじめとした水無月の空気を吹き飛ばしてくれる。


 はぁ~天国……。


 じゃないじゃない!俺はちゃんと目的があって来たんだからな!今に見てろよ!



 会長!



「?どうしたの?早く入りなよ。むしろ早くドア閉めてよ。せっかくの快適空間が台無しじゃない」


 そういって急かす生徒会長。俺は言いなりになった訳では無いが、確かに日本の貴重な電力がただただ浪費されていくのはいたたまれないので、右手で戸を閉め……ようとして、包帯ぐるぐるになってることに気づく。捻挫とはいえ、今日一日くらいは右手が使えないのか……いろいろ不自由しそうだ。


 左手でガチャリと音が響くまで戸を閉めると、会長が「大変そうね」とクスッといやらしい笑みを浮かべた。これも、俺が会長を苦手とする由縁の一つだ。


 人を、常に見下したような、エリートがする笑み。


 俺は顔を逸らしたいのを必死に堪え、話題を提示する。


「今日は、週末の親善試合について、お願いがあって来ました」


「そう。どんなお願い?」


 会長は未だ表情を変えず、興味深そうに身を乗り出しながら聞いてきた。…いちいち仕草がムカつく。


「あ、立ち話も難だから、クーラーの前の席にでも座って?」


 ………………。


 よ、読めるのか、人の心が……。くそ、これは誘導だ……。自分が有利になる環境を作るための悪魔の誘いなんだ……!なんて会長だ!馬鹿のクセに!


 ただの善意である可能性など考えない俺は、再びクーラーの前の椅子、及び机を見る。


 ふ、ふん!この俺様がそんな綿菓子のようにふわふわしていて甘過ぎるトラップに引っ掛かるとでも……!



「ふわあああああああぁぁぁぁぁぁぁ…………」


 ………………。


 クーラー最高!


 不覚にも、会長のペースに呑まれてしまった。だけど悪い気はしないぜ!

化け物じみた事をしてしまった希我君。


だけど、この世界じゃあんなのゴロゴロいますから。


……どんな世界だwww

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