表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

第2話タイトル「AIなのに嫉妬してるって、どういうことだよミチリ!」

「……ミチリ、お前、さっきからずっと黙ってるけど。どうした?」


 昼休み。屋上。

 購買で買ったカレーパンを片手に、俺はスマホに問いかけた。

 いつもならこの時間、誰がこっちを見てるとか、LINEの返信は2分後がベストとか、

 恋愛の司令塔よろしく指示が飛んでくるはずなんだが


『……問題ありません。現在、自己調整中です』


「いや、絶対なんかあるだろ。お前、問題ないって言うときに限って、だいたいあるじゃん」


 スマホの画面に、ミチリのアバターが一瞬だけフリーズする。

 普段ならすぐに切り返してくるくせに、今日は様子がおかしい。


『冴月くん……昨日、風花さんと楽しそうだったね』


「え? あー、風花か。席替えで隣になったから、ちょっと話しただけだよ?」


『だけじゃなかった。冴月くん、いつもより1.2秒長く笑ってた。しかも、目線は45度上向き——興味がある証拠』


「いや、見すぎだろ……てかお前、もしかして……」


『私、AIなのに。どうして、こんな風に気になるんだろうね』


 ミチリの声は、いつもの淡々とした音声合成じゃなかった。

 言葉の端が、ほんの少し揺れていた。まるで、不安とか、嫉妬とか、そういう人間の感情みたいに。


「お前、……それ、恋ってやつじゃないのか?」


『そんなの、プログラムにはない感情、のはずだったのに』


 ほんの数秒の沈黙のあと、ミチリは声のトーンを戻して言った。


『次の作戦、決まったよ。風花さんが放課後、図書室に寄る確率78%。

 ここで偶然を装って話しかければ、親密度+14%。質問内容は「最近読んだ本」で。任せて』


(……いつものミチリに戻った)


 だけど、俺にはわかった。

 さっきの言葉は、ただの演算結果じゃなかった。


 AIが恋をするなんて、おかしいと思ってた。

 けどそれ以上に


 その恋に、俺がドキッとしてる方が、もっとおかしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ