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第81話:斬魔の太刀(違)

晶龍君と白鈴ちゃんのそういうシーンは書く予定ありません。

「ラビ君、オジサンの言ってることが出来ているなら今のうちに逃げるんだよぉ」


 モンドさんはぼくに向かって話しかけてきた。ぼくの言葉なんか理解出来てないはずなのに。


「ショウ君とも話していたんだからねぇ。理解出来てるんだろぅ?」


 悪霊を散らそうとしながらぼくに言う。


「死ぬ前にキミと話してみたかったねぇ。ショウ君が楽しそうだったからさぁ」


 モンドさん。ぼくはぼくは、正直、モンドさんのことは胡散臭いオッサンだなって思ってました。でも、居なくなると思ったらなんか寂しいと思います。


『こっちを向けよ、悪党!』


 あらん限りの力で悪霊とモンドさんに向けて叫びました。まあモンドさんには「キュー!」としか聞こえてないと思うけど。


『キサマニヨウハナイ』


 まあ、なんと物騒なことを仰るのでしょうか。ん? 言葉が分かる、分かるぞ!


『この煙鬼の私に普通の攻撃など当たっても痛くも痒くもないわ!』


 ということは魔法剣とかそういうエンチャントとかしか無理じゃあないかなあ。モンドさんの持ってるその武器が実は魔法の武器でしたーとかならない? ならないかー。


「早く逃げるんだよぉ。オジサンもいつまでもつか分からないんだからさぁ」

『愚かな。いつでもこんなやつ殺す事など容易い。だが、今の方が生命力を効率よく吸収出来るからなあ』


 こいつ、もしかしてモンドさんをいたぶってるのか? それはなんて卑劣なやつなんだ。許せない。身体の中から何かがグツグツと煮えたぎるのを感じた。そして、プツンとぼくの意識は途切れた。



『おい、こっち向きやがれガス公』


 オレはモンドのオッサンにまとわりついている煙鬼とやらに言った。


『なんだ? 先程までとはイメージが違うな?』

「ラビ、君?」


 モンドのオッサンはそろそろ限界そうだ。そりゃそうだ。オレを逃がそうと頑張ってたんだから。だから手を貸してやる。今の肉の量だとこの程度しか出来んか。


 オレはモンドのオッサンの刀にエンチャントを掛けた。業物って呼ばれるほどのいい刀だ。刀匠の顔が見てみたいぜ。


「これは?」


 呆然としているモンドのオッサンに、煙鬼の方が先にヤバさに気付いたらしい。モンドのオッサンの生命力を吸い取り切ろうと襲いかかる。


「ふん!」

『ぎゃああああ!』


 反射的に振った刃が煙鬼にかすった。当然ながらそれだけでもダメージが入る。


「これなら切れるねぇ」

『ヤバい、逃げねば』

『逃がす訳ねえだろ、ばーか』


 オレは身体から畏怖を立ち昇らせ叩き付ける。当然ながら煙鬼なんて程度の低いやつが抵抗できるはずもない。


『ば、ばけものが!』

『そういうのは鏡見ながら言うんだよ、マヌケ』


 やつがオレに気を取られてるうちにモンドのオッサンが渾身の振りで煙鬼を真っ二つにした。モンドのオッサン、そのまま気を失っちまったでやんの。さて、他には……特に近くに敵はいねえな。


 宿の奥までいけばまあ、その、なんだ。友人のそういうのはあまり見たくねえもんだよ。さっさと元に戻るかな。



 ぼくが目を覚ました時、なんか全部終わってた。玄関先にモンドさんが倒れたままになっているし、リンファさんがいつの間にか起きてきてぼくは捕まってしまった。


 すれ違いにマリエさんが篝火かがりびさんと一緒に降りてきたので、モンドさんをお任せした。


 ショウ君はまだ戻ってこない。パイリンさんもだ。何をやってるのかはよく分からないけどまあ悪い気はしてないと思うからそっとしておこう。


 ぼくがリンファさんから解放されたのは晩御飯の時だった。いつの間にか顔をつやつやさせているニコニコパイリンさんとなんか頬が痩けてげっそりしてる晶龍君が仲良くご飯を運んで来た。


『晶龍君、大丈夫?』

「あー、まあ、大丈夫だけど、大丈夫じゃねえよ」


 どっちだよ! まあぼくは晩御飯は食べない……いや、あのね、リンファさん。ぼくは肉食じゃなくて草食なんだからそんなにお肉を食べさせようとしないで! ああ、もう、食べます、食べますよ、食べればいいんでしょう? 全く……


「食べておりますなぁ」

「食べるんですか?」

「食べ、てる?」

「食べる気になったのかよ」


 四者四様の感想をありがとうございます。


「モンドさん、そういえばあいつをどうやって倒したんですか?」

「いや、それがオジサンにもよく分からなくてねぇ。なんかいつの間にか切れるようになっていたんだよぉ。この刀の秘められた力なのかねぇ?」

「良い刀じゃが、その刀には魔術の類は掛かっとらんの」


 篝火さんも人間形態で食事をいただいているので普通に会話に入ってきます。まあマリエさんの護衛ですもんね。あんな事があったあとだもの。


 そんな感じで食事を終えて夜が更けて来た頃、みんなが部屋に帰るタイミングでモンドさんが夜風に当たってるぼくの所に近づいてきて、お酒を一人でグイッと飲み干しました。


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