表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/200

第74話:タバコも香水も臭くてかなわない

玄亀を玄武にしようかと考えましたがそれだとリヴァイアサンよりも下ってのが違和感あったので。

『お困りの様ですな』


 その時、海の中から声を掛けられた。えっ、一体何が?


『これは失礼。今姿を表しましょうぞ』


 ぶくぶくと海面に泡が出てすぅっと大きな亀が出てきた。すごく、大きいです!?


『お久しぶりです、ラビ様。覚えておいででしょうか。玄亀げんきでございます』


 玄亀!? 確かシルバー爺のお友達の人? そういえば昔あったことがある様な。でももっと小さかったよね?


『お友達、ではなく配下なのですが。まあラビ様がそう仰るなら。ともあれ、シルバー様より話は聞いておりますよ。どうぞ、お乗り下さい』


 えっ? シルバー爺から話聞いてるってどういうこと?


『ラビ様がいずれ、海で困ったことがあれば皆で協力するがよい、と仰られましてな。ラビ様におかれましてはシルバー様と仲良くしていただいたようで』


 えー、シルバー爺とは留守番の時にひなたぼっこしてお茶とお菓子を一緒にしてたぐらいなんだけど。


 あと、なんか喋ってたのをうんうんって聞いてた。話が難しいんだよ。それでもいいから聞いててくれっていうから聞いてたけど。話が終わったら満足してたからあれはあれで良かったのかも。


『ありがとう。あの、大きい船を止めたいんだけど』

『それなら問題ありません。船が進まぬ様に皆が頑張っておりますので』


 いつの間に!? ありがたいけど。よし、じゃあ玄亀さんの背中に乗せてもらおう! ってどうしたの、晶龍君、モンドさん?


「おい、ラビ、なんだこりゃ!」

『これなんて失礼だよ。ちゃんと玄亀さんって名前もあるんだよ』

「そういや呼んでたな。オレたちが乗ってもいいのかよ?」

『ラビ様がお望みならな』

『玄亀さん、お願いします』

『勿論です。引き受けましょう』


 変わり身早いな! いや、これもシルバー爺からいいつかった使命とやらかな?


「ほれ、モンド、行くぞ?」


 そう言うと玄亀さんは乗りやすい様に縮んでくれた。あー、これこれ、この大きさ。さっきは黒い島かと思うくらいに大きかったのに、今は小さくなっている。


『では、皆さん乗られましたかな? 飛ばしますぞ』


 みんなが乗ったのを確認して、モンドさんはいつまでも震えてたけど、再び玄亀さんは大きくなった。そして沖合の船まで悠然と進み始めたのだ。


 見る間に船に近づいた。船はまだ動く様子をみせない。これは何をしてるんだろう?って思ったら船底に穴を開けているんだって。それも沈まないように数箇所ずつ。なるほど。上手いな。


『私どもはここまで後は頑張ってくださいませ。あ、ラビ様、万一逃げるならば海の中に。すぐお助け致しますので』

『わかったよ。ありがとう!』


 そうしてぼくを運んで来てくれた玄亀さんは帰って行った。呼んだらまた出てきてくれそうだけど今呼んでも仕方ないからね。


「何がなんやらオジサン分からないんだが」

「まあ、ラビのお陰で助かったってことだ。それよりも暴れるぜ」


 船の船尾部分、ともと呼ばれてる所にぼくらは降り立った。勿論甲板の上だからすぐに発見される。


「なんだ、てめぇら! どこから入ってきやがった!」


 そう言いながら武器を振りかざして突っ込んでくる。モンドさんと晶龍君に任せた!


「おっとっと、こりゃあ難しいねぇ」


 難しいと言いながらも寄ってくる敵を最小限の動きで捌いて海に落としているモンドさん。武器抜いてないんだね。


 晶龍君はもう暴れ回ってる。揺れなんてなんのその。まあ海での生活も時々してたって言うから船は慣れてるのかな? は? 親父の背中の方がよく揺れる? ヴリトラ、なんか言われてるよ?


 そのまま暴れながら船内へと降りていく。下の方で浸水を掻き出しながら穴を塞ぐのに下っ端のメンバーたちが駆り出されているのか船内にはそんなに敵はいなかった。


 各部屋を調べながら回る。船員たちの部屋だろうか。染み付いた男の臭いが鼻に厳しい試練を与えてくる。うさぎの嗅覚は人の十倍なんだよ! まあブラン程じゃないけど。あ、でも聴覚はぼくの方が上だよ!


 一際臭い臭い、これはタバコと香水の臭いだ。どっちも苦手。グレンはタバコ吸わなかったし、香水も嫌いだったな。うちのパーティメンバーはみんな香水嫌ってたね。まあグレンが嫌ってたからなんだろうけど。


『ここから臭いがするよ』

「あんがとな、ラビ」

「なんだって?」

「ここに居そうだって、よ!」


 最後のよ、で扉を蹴り開けるとそこにはハゲ頭の船長と商人が隠れていた。もしかしてハゲ頭同盟とか組んでる?


「ハゲ頭同盟かよ、さあ、逃がさねえぜ!」


 晶龍君も同じこと思ったみたいだ。ツボに入ったのかモンドさんが大笑いしている。そしてハゲ頭同盟の二人は真っ赤になってる。恥ずかしいのか怒ってるのかは分からない。


「貴様ら、この皆殺しのキッドにかかりゃあ海の藻屑だぜ!」

「へっへっへ、頼みましたよ。金は前払いで払ってあるんだ」


 どうやらこいつがポンド商会の奴みたいだね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ