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第69話:テイマーの少女(マリエ視点)

次回決着


追記(4月1日17時):後で気付いたのですが、この時点では晶龍はラビがさらわれた事を知らないので訂正しました。申し訳ない。

 私はマリエ。田舎から出てきたちょっぴりおませな女の子。いや、自分でおませはないか。


 テイマーとして大成する為に皇都、邯鄲かんたんに向かう途中の御宇ぎょうの街で、買い物をしていたら私のお友達の篝火かがりびが居なくなってしまった。


 いつもなら放っておいても帰ってくるくらい頭はいいんだけど、三日経っても帰ってこなかった。


 どこかで事故にでもあってるのかと思ったけど、街中で不穏な話を聞いた。それは私ぐらいの年齢よりも下の子がさらわれているみたいな話だ。私もさらわれかけたけと、クロちゃんが助けてくれたの。クロちゃんはブラックドッグっていうんだ。電気を起こすことが出来るんだよ。すごいよね!


「おい、そこの人、ちょっといいか?」


 路地裏から出ると男の子に声を掛けられた。身長はそこまで大きくない。まあ年齢的に私より二つ三つ下かな。顔立ちは良いから大人になったらイケメンになるんだろうな。


「この辺で借金取りっつーか悪さしてる人間知らねえ?」

「え? ええと、そうですね、さっき私もさらわれかけましたから」

「なんだつて!? 大丈夫だったのかよ?」

「ええ、この子が助けてくれましたから」


 そう言ってクロちゃんを紹介したんたけど、なんか警戒してる?


「やめとけ。ご主人様を守ろうとするのは立派だけど格が違う。安心しろ。お前のご主人様には何もしねえよ」

「え?」

「いい犬だな」

「ええ、クロちゃんはいい子です!」


 自分の飼い魔物が褒められるのは嬉しいものだ。篝火、大丈夫かな?


 それからもう一人の武士みたいな人と合流、どうやら彼らの探している借金取りは借金のカタに子どもの身柄を取っているのがわかったのだ。人身売買は当然ながら犯罪である。


「なるほどぉ。おそらくはポンド商会というのが怪しそうですなぁ」

「殴り込んでみるか?」

「さすがに危ないのでは……」


 いくら人身売買が犯罪とはいえ、相手はこの街の大店おおだな。間違ってましたじゃあ済まない。ここは息を潜めて機会を待つのがいいだろう。


 私は自分の鳥にポンド商会を見張らせました。ナイチンゲールといって小さいけど小回りのきくいい子です。


 そんな感じで見張っていたら町外れの方へと移動し始めました。それも裏口からこっそりです。ついて行くと郊外にある別荘のような場所に着きました。


 それをショウ君たちに報告しているとその貴族の別荘らしき場所から来ている馬車らしい。その馬車は急いでどこかに行くみたいだった。


「何か嫌な予感がします」


 私のこういう「虫の報せ」をショウ君は信じてくれました。貴族の見張りをやめて馬車を追う事にしたのです。


 テイマーとテイミングされた魔物との間にはお互いの位置を感知し合うことの出来る能力があるのです。なんかショウ君は知らなかったみたい。


「あの馬車から! 篝火の感じがします!」

「よし、大丈夫だ。門番がいるから止めてくれる」


 そう信じていた時期が私たちにもありました。


「出発した?!」

「大して検査してないよ?」

「グルなんだろうねぇ」


 ぼくたちは慌てて追いかけました。ショウ君ももう一人の侍さん、モンドさんも速い! 私は追いつけなくてクロちゃんに運んでもらいました。ううっ、情けない。


 馬車に追いついて馬車を停めさせます。モンドさんがあっという間に馬車の前に立ち、続いてショウ君が隣に立ちます。


「ちょいと待ちなぁ!」


 止まった馬車にモンドさんが言います。


「荷を改めさせてもらえんかねぇ」

「はあ? なんの権利があってそんな事を言ってんだ? こっちはちゃんと門番のチェック受けてんだぞ? ポンド商会に逆らう気か?」


 そんな風な話をしてるところに私は後ろからこっそりと近づいて確かめます。確かに篝火はここにいるはず。何かが阻害してる感じはあるけど。


「間違いないです、篝火はこの中に居ます!」


 それを聞くとモンドさんは満足そうに頷いた。


「そうかい。拒否するなら力尽くでも改めさせてもらおうかねぇ」

「てめぇ、たかが一人とガキどもだけでオレたちの前に立ち塞がろうってのか?」


 馬車の御者台の男、周りについている冒険者らしき人たち、ざっと数えて十人ほど。私は戦力外なのでショウ君とモンドさんが頑張ってくれるしかないです。


「うるせえ! 誘拐犯が。マリエのトモダチを返しやがれ!」


 ショウ君が激昂したのか、いきなり殴り掛かりました。ええっ、そんな喧嘩早くて大丈夫なの?


 私は今の内に、と馬車の中に入り込もうとします。見つかってしまいました。男が剣を振りおろそうとします。助けてくれたのはクロちゃんでした。


「今のうちに!」


 私は荷台へと上がりました。するとそこには赤いホーンラビットらしきものと、首輪を嵌められた篝火、怯えている子どもたちがそこに居ました。

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