第52話:盗賊団のアジトに行くぞ!
新しいなろうが使いづらい……
屋敷の中を家探ししたら盗賊団のアジトの場所らしきものが書かれた地図が見つかった。メイドさんたちが頑張って探してくれたみたいだ。
「ここは、確か廃墟になった街だな」
どうやら昔はオアシスがあったらしく、そこが今は涸れて廃墟になった街があるらしい。オアシスって涸れるものなのか。
「しかし、そんなところに本拠地を作るものかしらね?」
「ヨクバルさん、水は他から運べばいいし、なんなら水魔法という手もある。建物はあるんだ。アジトにするにはちょうどいい場所だろうぜ」
ラシードさんも同意している。罠だろうが本当に本拠地だろうが、行ってみないと分からない。でも、本拠地な気はする。だってグリード子爵はぼくらをすり潰せると思っていただろうから罠とかかけるはずがないんだ。
「よし、じゃあ冒険者ギルドに連絡して応援を」
「いや、大丈夫でしょう。今は時間が惜しい。私と赤の戦士、そしてショウ君が居ればなんとか」
「無論私は盗賊団ごときに遅れはとりませんが、この人数で?」
「だったら私が冒険者ギルドに行ってくるわ、ラビちゃんも一緒に行く?」
ヨクバルさんはいい人だと思うけど、真っ平御免だ。ぼくは晶龍君と行くよ。
「あらぁ、嫌われちゃったわねえ。それじゃあ依頼は出しておくから頑張ってねえ」
「了解だ」
そしてヨクバルさんと別れたぼくらは地図にあった廃墟の街へと向かった。
砂漠の中に佇むそこは、かつての栄華を誇った街……という訳でもなく、ごく小さな街だったみたいだ。壁は無い。砂漠にも魔獣はいるのだけどどうやって防いでいたのだろう?
ところどころまばらに建物が存在している。崩れているのもあればしっかりしてるのもある。盗賊が居るとすればしっかりしている建物だろう。
今のところ人の気配はない。どころか生き物の気配すらない。何も住んでいないのだろうか?
アスタコイデスさんと晶龍君で中を見回る事にした。ラシードさんは外を警戒している。建物のひとつに入ると中は意外なことに整理されていた。随分と綺麗な場所だ。
「これは使ってたわね」
アスタコイデスさんがそう言うので間違いないのだろう。慎重に調べると下に続く隠し扉があった。
辺りを警戒しながらゆっくりと階段をおりていく。暗いので晶龍君が明かりを魔法で灯してくれた。ん? あれ? 水の音がする。もしかして水源があるのかな?
ガッツリ降りていくとそこには地底湖があった。まさかこんなところに地底湖があるなんて思わなかった。もしかしたら地上の水がこんな下にまで流れ出ていったのかもしれない。
と、同時に人の気配がいくつも感じられた。水場の近くにみんな集まっていたのだろう。
「なんだァ、てめぇら」
「お、おい、なんでこの場所がバレてんだよ!」
「知るかよ! もういい、相手は女子供だ。ぶっ殺せ!」
そう言いつつ盗賊たちが剣を抜きます。いわゆるシミターとかいう曲刀です。前にエリンがかっこいいでしょ、とか言って振り回してたけど、実戦では役に立たなかったやつね。そもそもエリンの定位置は後衛だもの。
そういえばマリーも後衛のはずなんだけど前に出たがるんだよね? なんで? 攻撃受けたら痛いんだよ? 本人は痛いのはむしろウェルカム、加護があるから平気とか言ってたけど。まあ、実は天使の星幽体で物理攻撃無効なんだって。でも当たって気持ちよくなってたからきっと少しはダメージ食らってたと思うよ。
などと関係ないこと考えてたらいつの間にか斬りかかって来ていた。そんな奴らをアスタコイデスさんは赤子の手をひねるかのように捌いていく。
「はっはっはっ、どうした、そんなものか?」
「つ、強え、何だこの女!」
「赤い鎧の女戦士、まさか、赤の戦士かっ!?」
「その通り、赤のアスタコイデス。鎧の赤にお前らの返り血を加えてやろう!」
うわぁ、かっこいい。名乗りとかあるのか。晶龍君もそういうのやらないの?
「バカ。オレはまだ無名だし良いんだよ。そのうちアルティメットドラゴンとかそういうかっこいい名前でだな」
「ならこっちのクソガキだけでも」
「邪魔すんな!」
晶龍君に斬りかかってくる盗賊たちはシミターを叩き折られ、顎や顔面を殴られてノックダウンしていった。
「くっ、ボスか居ない時にこの襲撃。なんともついてねえ」
「ボスが来るまで耐えるんだ! そうすりゃこいつらなぞ」
それを聞いたアスタコイデスさんが剣を納めた。
「な、何をしてやがんだ?」
「お前らのボスが帰ってくるのだろう? まとめて捕らえねば面倒ではないか」
「なっ!? ……まあいい、ボスが帰ってくればお前らなんかひとひねりた!」
「そいつは楽しみにしておこう」
そして盗賊たちはこちらを牽制はしてくるものの攻撃はしてこなくなった。アスタコイデスさんが待ってるのを見て、晶龍君も待つことに決めたらしい。




