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第46話:いくぜ、合体攻撃だ!(晶龍視点)

晶龍君頑張る!


 オレはラビはとんでもないやつだと思ってたけど、本当にそうだった。黒い影の放つ攻撃、それもオレたちに降り注いでいた様な足止め(それでもオレはジリジリ近付いてたんだからな!)とは違って一撃必殺で殺る為の一撃。攻撃の雨に晒されていたから反応できなかった。


 ラビの腹を貫いたはずのその攻撃は、ラビに届かないで何かに阻まれたように止まった。黒い影は一撃で伸ばした腕を回転させながら突破を試みる。ラビは完全に目を瞑ってやられた、とか思ってんだろうな。


 黒い影に動揺の気配が見えた。顔はなくても気配は隠せない。この時を逃せば攻撃を当てるのも難しいだろう。オレは体内で龍気を練って腕に集めて叩きつけた。


「おおりゃあ!」

「ギャビ!?」


 渾身の気を込めて叩きつけた攻撃は、黒い影にダメージを与えた様だ。ラビの方に向かって伸びていた腕が引っ込んだ。接近してしまえばこちらのもんだ。オレは拳に一発一発龍気を込めて何度も何度も叩いていく。


 アスタコイデスとかいう戦士の姉ちゃんもハッと気付いたみたいで攻撃に加わってくれた。攻撃場所は上半身だからオレとは被らない。オレ? 届かねえよ!


「ギャルルルルルルル!」


 黒い影がまた吠えた。こいつはまだやられないのか。正直、表情がないから全然分からねえ。こんな時親父なら一瞬で消し炭なんだろうなと思ってみる。いや、そもそもブレスが通じるんだろうか?


「姉ちゃん、三十秒!」

「わかった!」


 オレがブレスを試してみようと何も言わずに姉ちゃんに言ってみたら時間稼ぎを引き受けてくれた。こういう人が一緒だと戦いやすいってもんだ。というかあの姉ちゃん、余力をちゃんと残してんだな。


 オレは体内で龍気を炎に変換させていく。龍気を火種に体内魔力で炎にしてそれを吐き出す。それがオレの必殺ブレスだ。ひとによってやり方は違うらしいけど、オレのはこうなんだよ。


「避けて!」

「応!」


 咄嗟に横に転がる姉ちゃん。射線が開き、黒い影の全身があらわになる。


「ブレス!」


 まあ実際に口から出してるのでブレス、なんて言ってないというか発音できてないはずだけど、言ったつもりで吐き出した。赤い炎が黒い影を包み込む。どうやら炎でダメージは受けてるみたいだ。でも、さすがに倒しきれはしなかったみたい。


「キャビィィィィィィ!」


 今度は黒い影の番らしい。頭の部分がパカリ、と割れたと思うと、そこから黒い光が漏れ出す。あれを食らったらヤバい。必死で避けようとするが、オレの動きはブレスを吐いたあとだから隙ができている。くそ、もっと練習しとけば良かった。


 黒い影の頭から黒い光が発せられた。真っ直ぐにオレに向かってくる。くそ、受け止めてやるんだ! そんなオレの身体をドン、と突き飛ばす影があった。ラビだ。さっき言ったからかツノが当たらないように足で蹴り飛ばしやがった。痛えよ、後で覚えてろよ。


 次の瞬間、ラビに黒い光が直撃した。絶対あれは食らっちゃダメなやつだ。オレは心配でよろよろとラビに駆け寄った。


「あ、晶龍君大丈夫だった?」

「いや、お前こそ大丈夫だったのかよ」

「うーん、なんか知らないけど大丈夫な気がしたから飛び込んだんだよね。そしたら大丈夫だったよ」


 根拠は無い、根拠は無いがラビの能力は不思議すぎる。一体何が起こってるのか分からない。


「ショウ君、ラビ君、危ない! 唸れ、我が赤の剣よ!」


 どうやら黒い影がこっちに気を取られている隙に姉ちゃんの剣がヒッサツの準備が出来たみたいだ。


「赤熱円舞!」


 姉ちゃんの斬撃が円を描くように綺麗に首に直撃した。そのまま横薙ぎに振り抜くと黒い影の首は落ちていた。姉ちゃんがそのまま膝を着く。息が荒くなってる。渾身の力を込めたのだろう。


 それでも黒い影は動くのをやめなかった。頭を探しているかのような動きをする。昔親父に聞いた事がある。魔族という存在。首を落としても死なず、体内にあるコアを破壊しない限りは死ぬことはないのだという。


 姉ちゃんは動けない。やるならオレしかない。ラビは……今回は無理かなあ。いや、いつもラビを頼っちゃいけない。オレがやらなくちゃ。じゃないとなんのためにラビについてきたのか分からない。


「ラビ、オレを蹴ってくれ」

「ええっ、晶龍君、マゾなの?」

「どこで覚えて……ああ、いや、マリーさんか」

「そうだよ、で、目覚めたの?」

「ちげーよ! 勢いつけて突っ込む為だよ」

「なんだぁ、早く言ってよ」

「言うタイミング無かったろ! じゃあ頼むわ」

「分かったよ!」


 オレはその場で垂直ジャンプ、足の裏を狙ってラビが蹴り飛ばしてくれた。スピードは上々。頭を探して隙だらけの黒い影、その胴体にオレの拳が突き刺さる!


「くだ、けろぉ!」


 身体を突き抜けた時に何か硬いものを砕いた様な手応えがあった。振り返ると黒い影がサラサラと砂のように崩れていく。はぁ、やっと倒せたのか。

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