表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/200

第40話:さらわれる(無限大)

大きさで言うと、ナダメルさん>>マーサさん>>>>越えられない壁>>>>ミアマちゃん>ライラさん>>ドロテアさん。なんの大きさかは秘密。あ、胸板だけの話ならナダメルさんとマーサさんの間にヨクバルさんが入ります(笑)

「ゲニウス……」


 ラシードさんがぽつりと呟いた。恐らく彼らのことなのだろう。


「やあ、ラシードさんじゃないですかぁ。お久しぶりです。もう隊商から戻ってきたんですかぁ?」


 いちいち耳につく話し方をする。前衛ハゲ前衛デブ前衛チビ後衛メガネの四人組。ラシードさんとはお知り合いみたいだ。


「ああ、ついこの間な。しかし、お前らには話してなかったはずだが?」

「いやだなあ、我々も狙ってたんですよ、その隊商の護衛依頼。でも残念ながらダメでして、ねえヨクバルの旦那」

「元からラシードの所に頼むつもりだったからな。冒険者ギルドどころか商業ギルド内でもほとんど表にはなってなかったハズだが?」

「冒険者ってのは情報に聡くなきゃ生き残れませんからね」


 偉そうにメガネが言う。女性のメガネは眼鏡っ娘として尊び敬って、男性のメガネはウザイから無視していいって昔ブランが言ってた。ノワールはそれ、あんたの偏見でしょ!って言ってたけど、目の前の妙に腹が立つこのメガネを見てるととてもムカムカするからきっとブランの方が正しい。


「それでオレらは代わりの仕事をやる事になったんですよ」

「代わりの仕事?」

「そうですよ。オレたち真面目に仕事やる事にしたんで」


 ニヤニヤしながらぼくの方を見てる気がする。もしかして! ぼくが可愛くて愛らしいから捕まえて売り飛ばすつもりか? いや、自分が可愛いというのはオスとしてどうかと思うんだけど、種族的な可愛さは仕方ないよね。



「ラシードさん、そのガキこっちに寄越してくださいよ」

「勿論そこのホーンラビットも。赤いやつなんて高値がつくに違いねえ」


 ハゲとデブがいやらしい笑いをこっちに向ける。チビはラシードさんの動きを観察してるみたい。抑え役なのだろうか。


「ちょっと皆さん! ギルドの中での揉め事はやめてください!」

「うるせえ、このブス! 引っ込んでろ! てめぇから殺すぞ!」

「ひっ」


 ミアマちゃんが頑張って注意したけど逆に怒鳴られて縮こまった。こういう時って上の人が居ると思うんだけどこのギルドには居ないの?


「ギルマスが居ねえのは分かってんだよ。怪我したくなきゃ引っ込んでろ。それともてめぇも戦利品になりたいのか?」


 ミアマちゃんは可哀想にガタガタ震えている。さすがにおもらしとかはしてないよね。臭わないし。


「じゃあ行くぜ!」


 チビがラシードさんに飛びかかっ……てない! 飛びかかったのはナダメルさんだ!


「きゃあ!」

「奥様、危ない!」


 ラシードさんが必死にそれを受け止める。


「ちっ、止められたか。やっぱり強えなあ、ラシードさん。残念だよ」

「卑怯者が!」

「余所見してて良いのかい?」

「ぐっ!」


 ラシードさんがチビと交戦してるとメガネがライラさんとドロテアさんを目掛けて魔法を放ってきた。その魔法をマーサさんが魔法で叩き落とす。


「物騒な事しないでよね。うちの子たちはまだ嫁入り前なんだから」


 マーサさんがメガネと魔法で応戦しあってる。その隙にハゲとデブの二人がかりで晶龍君に殺到してきた。


「大人しく捕まれ」

「うるせえ! とりゃ!」


 晶龍君はデブの攻撃をヒラリと避けると横っ面に蹴りを見舞った。あれ、吹っ飛んだけど、大丈夫?


「野郎!」


 ハゲが今度は剣を振り上げる。晶龍君は振り下ろされる剣の軌道を見切って、剣を思いっきり蹴りあげた。剣が天井に突き刺さる。なんか受付カウンターの向こうから新たな悲鳴が聞こえた気がした。きっと気の所為だと思う。


「ほう? 強いな」

「ショウ君かっこいい! ケッコンしてあげる!」

「三食昼寝付きなら私もー」

「ライラ、貴女……」


 晶龍君に黄色い声援と欲まみれの声援を送るドロテアさんとライラさん。マーサさんはライラさんに呆れてる。


「小僧!」

「その小僧に手も足も出ないで負けるんだぜ?」


 デブが晶龍君を圧殺に来た。体積も表面積も大きいのはなかなかだが動きが鈍重過ぎて捕まらないだろうと思っていた。


「貰った!」


 なんと晶龍君が避けた方向にハゲが躍り出て無理やりぼくを奪っていこうとする。


「ラビ!? しまった!」


 晶龍君はデブの攻撃を避けるのにリソースを吐いていたからぼくを保持するのが気が逸れたみたいだ。


「心配しなくても早く売ってやるよ!」


 ぼくはじたばたした。男に抱っこされるのは気持ちよくない。晶龍君はまだ仕方ないけど、この中ならマーサさんかライラさんとドロテアさんかな。ナダメルさんはぼくを殺しかけたのでNGだ。肋骨が擦れて痛いって言ってるのに抱きしめてくるマリーばりに危険だ。


 そのままぼくはハゲに連れ去られてしまった。他の奴らはメガネが煙幕を張って逃げたみたい。晶龍君とか直ぐに追ってくるって思ってたけど、ぼくが居なくなったのに気付いてなかったのかな? いや、しまったって言ってるからデブとの戦闘で阻害されたんだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ