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第31話:その名はパピルサグ

スタッフが美味しくいただきました(遠い目)

 しばらくすると、外から声が聞こえてきた。鬨の声というのだろうか、ドカカッドカカッっていう蹄の音も聞こえる。乗ってるのはラクダでは無いらしい。馬だ。砂漠で馬というのはどうかと思うけど、オアシスの中なら馬も普通に機能する。というか砂漠走ってきたんじゃないの? 速くない?


「始まった!」

「あらあら大丈夫よ、ラシードさん、強いんだから」

「うん」


 ナダメルさんがいつの間にかハサン君を抱っこしていた。母性本能というやつだろうか。仲間内で一番母性本能持ってるのってグレンだった気がするよ。あとノワール。料理してたの殆どグレンだったからね。


 マリーは母性本能ってよりも肋骨押し付けたい欲というか被虐されるのが気持ちいいからそれを他にもしてた感じ。エリンはなんというか感情薄かった気がする。いや、色々考えてはくれてたんだけど。葛葉くずのははおっぱい大きいだけ。だらけるし。ブリジットは何とか頑張ってんだけど空回りも酷かったなあ。フェニックスさんは大して話してないから知らない。


 そんなことを考えていたら外が一層騒がしくなった。どうやらラシードさんが敵のボスと一騎打ちしているらしい。ハサン君が飛び出した。いやいや、さっきまで震えてなかった?


 テントの外に出ると、馬に乗ったターバンの男とラシードさんが切り結んでいた。ラシードさんは馬に乗ってないからその分不利だ。体力的にもヘトヘトになってるみたい。ターバンの男はそれがわかってて遊んでいるみたいだ。


 恐らく、ラシードさんが周りの奴らを倒したんだろう。それで疲れきったところに襲ってきたわけだ。ターバンの男は略奪しないでいいのだろうか?


「へへぇ、いい女が残ってんじゃねえか!」

「あっ!」


 ナダメルさんがテントの前で男に捕まった。どうやら二人の切り合いに目がいってる間にテントから奪って回る奴らがいるみたいだ。


「その人を放せ!」


 ハサン君が震えた手で剣を振り上げる。バキン、と剣が飛ばされた。


「このガキ! ぶっ殺してやる!」


 ナダメルさんを放り投げて男は剣を持ち、ハサン君に振り下ろす。その時だった。晶龍君があっという間に男の目の前に移動して、男を蹴り飛ばしていた。


「ごふっ!」


 晶龍君は商人の息子のはずだから正体バレるかもしれないのに、ハサン君を助けた。そりゃあぼくだってハサン君を助けて欲しいと思ったし、自分で助けられるものなら助けていたよ。


「ハサン、大丈夫か?」

「お前、強かったんだな」

「ああ、うん、そうだな。ごめん」

「謝るなよ! おれが惨めになる」


 向こうの方ではハサン君のピンチに動揺したのかラシードさんがターバンの男から一撃を受けていた。


「やはり息子の事が気になるか?」

「そこまで、知っているのか?」

「当たり前だ。こっちには情報提供者が居るからな」

「なんだと! 誰だ!」

「言うわけねえだろうがよ」


 ターバンの男は剣での攻撃を再開した。ラシードさんは左腕を怪我したらしく、右腕一本で猛攻をしのいでいる。


「しつこい野郎だ。楽しかったぜ。アバヨ!」


 ターバンの男が剣を両手で持って、ラシードさんに振り下ろした。このままだとやられる! ぼくは夢中になって、ターバンの男の乗ってる馬に突進した。ぼくの頭のツノを喰らえ!


 ドシュッと音がして、ぼくのツノが馬の胴体に刺さった。まあぼくのツノぐらいで致命傷になるほど小さな馬では無いだけど。それでもターバンの男はバランスを崩した様だ。振り下ろした剣がラシードさんから外れると、その隙を見逃さず、ラシードさんがターバンの男を突いた。


「ぐっ、むっ」


 そのままターバンの男が馬から落ちる。


「ち、ちくしょう、あの野郎、騙しやがったな!」

「お前の情報源は誰だ?」

「へっ、セコルって奴だ。お前が居るけど子どもを人質に取れば良いし、あとは雑魚ばかりだってな。そんな小僧とか赤うさぎとか知らねえんだが」


 どうやら盗賊の証言によるとセコルが内通者だったらしい。ヨクバルさんが言うには半年前に雇ってくれって来たそうで。身元は割としっかりしていて商業ギルドとかいうところからの紹介だったそう。


「商業ギルドにも内通者が居るってことか!」


 ラシードさんが驚愕の表情を浮かべます。ヨクバルさんは薄々気がついて居たみたいで、やっぱりかって顔してます。


「へっへっへっ、だけどなあ、もうおしまいだぜ。ここに臭い袋を撒いといたからなあ。パピルサグってサソリのバケモンだ。お前ら終わりだよ!」


 なんと! パピルサグってデカいサソリの化け物なんだって。そんなのに襲われたら……晶龍君、どうしよう。あの、なんでジト目でぼくの方を見てるの? いや、ぼくは多分美味しくないからパピルサグに差し出さないでよ? そんなことしないって信じてるけどさ。


 それからしばらく警戒しながら待ってみたけど、パピルサグとかいう化け物は来なかったよ。きっと粉が失敗作だでたんだね。良くあることだよ。どんまい。

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