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第189話:グレンvs魔王

謁見の間再び。今度は戦闘です。

「先に行きますわね、グレン」


 そう言って騎士団から離れたところでマリーが翼を広げた。どうやらリリティアの居場所を特定したらしい。


「事情を聞いてきますね」


 そう言って西側にある高い建物まで飛んで行った。やっぱり羽根があると便利だね。


「あちらの方からは死臭がするわね、妾が行って確かめて来るわ」


 今度はブリジットが北方にある塔に目をつけた。なんだかんだでそういう鼻は利くものね。


 さて、前から向かってくるのは騎士団の面々だろう。いや、正直あまりやり合いたくは無い。


「おやおや、おいたはあきまへんよ?」


 葛葉くずのはが手を振ると狐火がどんどん分身して、狐の形を取りつつ飛びかかっていった。炎に嬲られて騎士たちは転がりながら態勢を崩していった。その隙間をぼくらは通り抜ける。


「ここから先は通す訳にはいかん!」


 先程のゲオゴールとかいう騎士団長さんが立ち塞がった。立派な鎧、立派な剣、頑丈そうな体躯。正しく最後の砦と言って差し支えない。


「まとめてでも、一人ずつでも構わんから掛かってこい!」


 ゲオゴールが吠える。やれやれといいながら剣を振り回す。でかい剣だ。まあ鉄塊という程のものでもないが並の人間が片手でできるような芸当では無い。


「我に任せてもらおう」


 そう言って進み出てきたのはブランさんだった。


「力だけで世の中を渡っていけるなどという勘違いはただしておくべきだ」


 そう言って口の端をニヤリと上げる。


「さあ、行け、主よ。魔王へ引導を渡してくるのだ!」


 ぼくらはそのままブランさんの足留めで横を通り過ぎる事が出来た。目の前には大きな扉が。開けられる?


「お任せください。ぬぅん!」


 ヴリトラが人間形態で進み出て扉を開いた。大きな音を立てて扉が開く。そのまま中に進んでいくと玉座の間の様なところに着いた。


 壇上には椅子に着座している王らしき人物とその横で不敵な笑みを浮かべている宰相の様な人物がいた。そしていつの間にやら広間の両端に並んでいる騎士の像。恐らく動くんじゃないかな?


「おやおや、思ったよりも早かったですね」


 宰相らしき男が口を開く。


「魔王よ、貴様を退治しに来た!」

「……我を殺すか?」

「当然ではありませんか! こやつらは陛下のお命を狙ってきた侵入者ですぞ」

「そうか。ならば斥けねばな」


 そう言うと魔王らしき人物は椅子から立ち上がり、マントを羽織った。


「我が名は魔王、ベール・ゼフィルス。今代の魔王なり! 我が領土を脅かす人間どもに我の裁きを!」


 ベール・ゼフィルス。その名前を告げると、周りの石像が一斉に剣を掲げた。あー、やっぱり動くよね。しかも石像って事はぼくの赤き恐慌のオーラが通用しないんじゃ?

 

「やれい、我が近衛たちよ!」


 その合図とともに石像がぼくらに殺到してきた。物量攻撃!? そりゃ捌けないよ。


大渦潮メイルシュトローム


 シルバー爺がボソリと言うと石像たちの足元に渦潮が生まれて、石像を巻き込み、呑み込んでいく。


「やれやれ、世話の焼ける。では、後は頼みましたぞ」


 そう言ってシルバー爺はニコニコ笑っている。事も無げにこういうのをやってのけるんだよなあ。まあ、なかなか単体攻撃には適さない人だけど。


「おのれ! ならば、我自らが出る!」


 そう言ってベールは自らの手に剣を持ち、一足跳びにグレンに切りかかった。グレンは自分の剣でそれを受け止める。


「ほほう、我が斬撃を止めるか!」

「この程度でぼくがやられると思うな!」


 ベールとグレンは一進一退の攻防をしていた。どっちが優れているとかではなくて、なんか剣で会話しているかのような。いや、ぼくにはよくわかんないんだけど、剣を通じて説得してるんだってグレンは言ってた。


「ええい、何をやっているのですか。こうなれば、私の魔法にて跡形もなく砕け散りなさい! 血の聖餐杯よ、怨霊により、満ち満ちよ。封極死霊波デススマイルズ


 宰相っぽいやつの周りに闇が集まり、色んな死霊が引きずり込まれていく。そんな中で手の中に生まれた杯にその死霊が吸い込まれ、最後にそれを傾けると、こぼれた死霊が雪崩をうつようにこちらに迫って来た。


「ちっ、面倒くせえもんを。焼き尽くせ、聖炎セイントフレイム!」


 フェザーが前に出てその死霊たちを焼き尽くそうとする。炎自体に聖属性が付いてるという浄化の炎だ。


 だが、それでも死霊の波は止めきれずに、フェザーは波に呑み込まれた。


『フェザー!』

「おや、思ったよりも止められてしまったようですね。ならば今度は外しませんよ?」


 そう言うと宰相は再び詠唱を始める。またさっきのやつか? いや、待てよ? もしかして、あいつ相手ならぼくの赤き恐慌のオーラは通じるのでは? よし、ものは試しだ。やってみてダメだったらごめーんって言おう。

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