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第180話:復興のミナサノール(グレン視点)

書きたかったところその……いくつだろう? まあそのひとつって事で。

 ミナサノールの復興が始まった。まあ、街の人たちは殆ど被害もなく、建物自体も損壊は殆どないので、街のシステムを復旧するにはそこまで手間はかからない。


 主に炊き出しからである。デンティフェルさんの体調回復薬が入った特製です。ミナサノールの住民たちは大量の瘴気を浴びていたので、恐らく何らかの影響があると思われる。だから、体力回復と瘴気浄化の効果のある薬である。ちなみにラビのツノを使ってるらしい。


 ぼくらはこの街で一休みをして、魔王城に向かって進軍する予定だ。ぼくは色んな国から勇者という称号を押し付けられてしまったから。


 ぼくの仲間はみんな一休みして街のみんなと交流している様だ。一番人気なのはブランだ。子どもが群がって遊んでいる。ブランも楽しそうに、いや、あれは嫌がってるのか? とにかく子どもたちに追い掛けられている。


 ノワールは子どもたちの手が届かないところで昼寝をしている。ちっちゃい女の子が頑張って手を伸ばしているが、届かずにぴょんぴょんしている。ノワールはしっぽをギリギリ届くか届かないかぐらいのところでブラブラさせてるのがいとおかし。


 ブリジットは周りに若い女性が集まっている。偉そうにしてるから自信満々そうで人気が出てるらしい。女性たちの恋愛相談までしてるそうだけど、そんなに恋愛経験多かったっけ?


 マリーは教会でシスターや神父さんに祈りを捧げられていた。マリーとしても教会に居た方が天界との交信に便利だということで教会の復興を手伝ってる。なお、ジブリールさんとかいう方に「うちのマリアヌスがお世話になっております」なんて言われたけど、マリアヌスってマリーの事かな?


 エリンは猟師達と一緒に森に。復興に必要な木材の切り出しをするのに、必要な分だけ森から分けてもらうのを協力している。時々森の恵をお土産に貰ってくるのはありがたい。


 玉藻はギルドの裏手に墓を作って手を合わせている。恐らく玉葉さんという姉的存在の墓だろう。熱心に祈っているが、時々二人になっていたからきっと玉藻の友人も来ていたんだろう。


 フェザーはイフリートとずっと修行している。自分一人でというか二人のコンビで相手を倒せるのが目標らしい。ストイックなのかこれからの魔王軍との戦いを見据えているのか頼もしい話だ。


 シルバー爺は街の中を洗い流して穢れを祓っている。まあ本人は座ったまま水だけ動かしてるだけなんだけど。街の長老連中とお茶をしながらやっている。なお、街の長老連中は街の歴史を滔々と話していたみたい。多分あれは聞いてないよなあ。


 ヴリトラは晶龍君とパイリンさん、リンファさんと一家団欒している。まあ晶龍君とパイリンさんがイチャイチャしてるので主にリンファさんと遊んでいるのだけど。ああしていると子煩悩なお父さんって感じだなあ。


 ここまで話をしてきて分かるかもしれないが、問題はラビだ。ラビは恐らくアスタコイデスさんの従魔になったんじゃなかったかって思ったんだけど、実は誰とも契約してないらしい。


 ここで、ぼくは迷ってる。ラビと再び契約をするかどうかだ。きっとラビはぼくがラビが力不足だからパーティから追放したと思ってるだろう。


 確かにラビは強くなった。それは今回一緒に戦っていてわかった。ぼくの予想より強くなっていた。そもそもぼくはラビが強くなると思ってなかった。だから出来れば魔王軍から遠ざけるようにラビを追放したんだ。


 目の前でラビが怪我をして横たわる姿を見たくない。これから魔王軍との戦いは激化していくだろう。何しろ今から向かうのは魔都モルグール。魔王軍の勢力圏下だ。そんな所に、覚悟を決めているぼくらはともかくラビを巻き込む事は出来ない。


『グレン』


 堂々巡りの考えをしている時にラビから声を掛けられた。


『ここ、いいかな?』

「ああ、構わないよ」


 ぼくがそう言うとラビはぼくの膝の上に乗ってきた。そう、随分懐かしく思える様になってきたが、「いつもの場所」である。


『なんか悩んでたの?』


 参ったなあ、ラビにはお見通しだったみたいだ。


「まあ、そうだな。これからの戦いについてね。恐らくもっと激しくなってくるだろうから」

『大丈夫だよ、みんなも居るし。ぼくとグレンが居れば』


 そうか。ラビはとっくにぼくと一緒に行く事を決めていたんだな。当然のように。


「ラビ」

『ん?』

「ぼくともう一度契約を結んでくれるかい?」

『うーん、それはちょっとやめとこうかな』


 えっ!? 何それ? ぼくを捨てるの?!


『あのさ、ぼくはテイムされたからじゃなくて、ぼくの意思でついて行くんだ。ぼくは、グレンの相棒だからね!』


 そう言ってラビはにっこりと微笑んだ。その笑顔は段々と霞んでしまいには前が見えなくなってしまっていた。見えないなりにぼくはラビを抱きしめた。膝の上に居てくれて良かった。

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