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第174話:牛鬼vsグレン&ラビ

オヅヌwith牛鬼vsグレン&ラビですが、何回かに分けてお送りします。いや、こんなに長くなるとは思わなかったよ。

「ほほほほほ、では行くでおじゃる」


 牛鬼に乗ったオヅヌが周りの呪符を何か操作している。それに応える様に牛鬼が雄叫びをあげる。ただし、背中のオヅヌは落とさないように。いや、落ちないのかな?


 身体が蜘蛛なだけあって、脚の数は八つある。そこから前の四つの脚がすごい速さで襲いかかってきた。


「舐めるな!」


 グレンは吠えると、その攻撃を受け止めようとして、吹っ飛ばされた。


「ぐっ、なんて威力だ!」

『いや、威力確認する前に受け止めようとしてどうするんだよ!』

「ほほほ、牛鬼のパワーはそこらの牛の数千頭分でおじゃる。受け止めることなど出来はせんよ」


 そこらの牛のパワーはよく分からないけど、重い農耕具を引っ張っていたのは覚えている。かなりな力持ちだ。


「更には!」


 そう言ってオヅヌは牛鬼に爪で街の像を破壊させた。


「この通り、爪での斬撃は非常に鋭い切れ味でおじゃる。楽しみにしたパワーの前に切り刻まれても文句は言えぬぞえ?」


 ふふふと自慢げに笑う。相手のすごいところばかり自慢されるんだけど。


『グレンはなにかないの?』

「そうだなあ。ぼくの睡眠時間はナマケモノの約二倍だ!とか?」

『ナマケモノの睡眠時間って少なくとも十五時間ぐらいなかった?』

「一日終わっちゃうねえ」

『真面目にやれ!』


 言いながら四方から来る攻撃を巧みに交わしている。


「おのれ、ちょこまかと!」

「当たらないよ、そんな攻撃。当たったら痛いじゃないか!」


 さも当然のように言う。いやまあそうなんだけどさ。なんか避けるコツとかそういうのないの?


「えーと、気合いで?」

『それいつか当たっちゃうんじゃ?』

「うーん、脚の届く範囲にしか攻撃来ないし、その脚の攻撃も順番に来てるから」

『それが避けるコツじゃないか!』


 なんだかんだでグレンは相手の弱点を見切っていた様である。なるほど。これなら交わし続けられたのも納得だ。


「くくく、よく交わすでおじゃるな。ならば交わせぬ様に追い込むのみ! 牛鬼、蜘蛛糸縛りでおじゃる!」


 牛鬼が顔の口の部分から糸を吐く。射出された糸は空間を削り取っていく。触ったらどうなる? おそらくは身動き出来ないようにされるだけだ。


「ほほほ、そうれ、そうれ、逃げ場がどんどん無くなるぞな?」


 オヅヌは楽しげに操っている。全く腹が立つ。少しは動けばいいのに。あ、ぼく? ぼくはほら、自分で動いてもいいけど、グレンが頑張ってくれるから。


「しまった!」


 誤って牛鬼の糸にグレンが引っかかった。やはり、というか引っ張っても取れない。


「ほほほ、貰ったでおじゃる!」


 ここぞとばかりに大振りの攻撃。グレンは避けられない!? 絶体絶命のピンチ! そこでぼくが颯爽と、あの、ぼくの中のぼく? なんか方策は?


『知るかよバーカ。それにグレンなら大丈夫だっつーの』


 間一髪で攻撃を交わしたグレン。あれ? 捕まってたんじゃないの?


「マントを脱いだんだよ。くっついてたのはそこだけだからね」


 あー、そうか。脱皮みたいな感じか。ぼくは脱皮じゃなくて換毛だからなあ。あんな風にするりと着替えられたら良いのにね。


「おのれ! いつまでもそうしていられると思うなよ!」


 牛鬼は息を吸い込むと、紫色の煙を吐き出した。


「あれは、まさか毒?」

「ほほほ、その通りでおじゃる。物理攻撃から逃れられようとも、この毒の息からは逃れられまい!」


 うわあ、毒だって、グレンどうする? あ、顔が青ざめてる。毒はやっぱりダメか。仕方ない。ぼくが何とかしてあげるよ。


 ぼくは精一杯息を吸い込んで、ついでに毒も吸い込んだ。すうっ、うーん、あまり美味しくないなあ。まあでも食べられないことはないよね。


「自ら毒を吸い込むとは、死にに来たか、ツノウサギ!」

『悪いんだけど、ぼくには毒は効かないんだよね。いやあ、残念』


 そう。ぼくには毒は通じない。草原で色んな草を食べてたからかな? 毒草とかも中にはあったけど、平気で食べてたもんね。だから、ぼくの身体は毒には強いのさ!


『教えてやったのはオレだっつーの』

『やっと出てきてくれた。グレンと一緒だからって遠慮しなくていいのに』

『遠慮とかしてねえよ。お前が力を使えるようになったらオレは用無しだからな。消えちまうのよ』

『えっ、そんな!』

『まあ正確にはお前の中に取り込まれるんだよ。それが普通だからな。大体こんな二重人格みたいな事になってんのがおかしいんだよ!』


 それはそうだ、確かにそうだけど。でも、ぼくの中のぼくはもう長い友達みたいなものだからさ、消えて欲しくはないんだよ。


『知るかよ、それよりも戦いに集中しろ! グレンが反撃するみてぇだぞ』


 グレンの方を見ると腰に帯びた剣を抜いた。あの剣は、特に見た事ないけど、きっと別れた後に手に入れたものだろう。様になってるよ。

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