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第168話:ノワール対伏虎(ノワール視点)

ノワール無双。エリンもね。どっちかだけでも勝てそうでしたが。まあ伏虎は一番の小物だから。

 ブランのアホが部屋の中で戦い始めたにゃ。フェザーとエリンが居るから外に誘い出せとあれほど言ったにゃに。


「余所見をする余裕があるのかよ!」


 伏虎とかいう若造が火の玉を飛ばして来る。やれやれ。この程度の技がにゃーに通じるとでも思ってるのかにゃ。


 にゃーたちベヒーモスは幼体と成体の周期を何万年かに一度行う。だから、この身体としてはそこまで歳はとってにゃいんだけど。まあ精神は老成してるからにゃあ。


「火の玉飛ばすしか取り柄はにゃいのか?」

「こんなものは単なる牽制技だ。本気を出せば貴様なぞ消し炭よ」

「へぇ、大きく出たんにゃね。やれるもんならやってみたらいいにゃ!」


 にゃーは伏虎を挑発しながら火の玉をギリギリで交わしていく。時にわざと直撃を受けたりもする。無論、ベヒーモスたるにゃーの外皮がこの程度で傷付くなんて事はにゃいのだけど。


「交わしきれておらんようだな。いくつかは当たっているぞ!」

「くっ、こ、こんなもの痛くないにゃ!」


 実際に痛くないのだけど、いかにも痩せ我慢という雰囲気を出すのがコツ。これで、今年のにゃかでみー賞はいただきにゃ!


「逃げる場所を間違った様だな」


 伏虎がニヤリと笑う。この場所は燃えやすい木がいくつもある場所。きっと森を切り開いていく残りに、薪を確保する為の場所なのだろう。その証拠に炭焼小屋も近くにあった。


「そうでもにゃいわよ」

「反対側に逃げていれば川があり、そちらなら耐え切ることも出来ただろうに。やはり愚かだな」

「それはわざわざご忠告どうもにゃ。でもこれで大丈夫なのにゃ」


 にゃーは前足を片方上げて合図を送った。周りの木々がざわめき、そこからエリンが姿を現す。


「ノワール、ご苦労さま」

「ご苦労さま、じゃないにゃ、とっとと打ち合わせ通りに拘束するにゃ!」

「もうしてるよ」


 伏虎の方を見ると様子がおかしい。何故か動けないようだ、えっ、木々からは何も出てないにゃよ?


「木の枝で縛る、なんて事はしてないから心配しないで」


 そう言われてにゃーはハッとした。そうか、枝でも幹でもなく、身体を縛り付けるもの。つまり、根だ。


「ぐ、ぐおおおお!?」

「はい、チェックメイト。森があるところで私に勝てるとは思わない事だね」


 確かに、森がないところだと精霊魔法をいくつか使うだけの、まあそれだけでも強いけど決め手に欠けるのに、森があると多分誰も勝てにゃい。ブリジットと葛葉くずのは、マリーが束になってやっと五分だにゃ。


「こ。こんなもの、燃やし尽くして」

「植物が燃えるものばかりだと思わない方がいいよ。例えば、こいつとかね」


 そう言ってエリンが出してきたのは小さな花。淡紅色の綺麗な花だ。


「君をとらえている花だよ。匂いはそこまでキツくないから」

「甘ったるい香りだな。ええい、焼き払ってやる!」

「だからやめといた方がいいって……ほら」


 伏虎から身体から炎を立ち上らせたが、直ぐに膝を着いた。いや、この場合、前足に力が入らなくなったのか、前にうなだれるように倒れ込んだ、というべきか。


「それはね、夾竹桃の仲間の植物で、燃えると物凄い濃い毒素を撒き散らして動物を麻痺させるんだよね」


 にゃーたちが吸い込んだらどうするにゃ! そんなやべーもん使うにゃら報告して欲しかったにゃ。


「が、ががっ。く、くそ……」


 完全に伏虎は身体を動かせないみたいにゃ感じだ。呆気ないけどこんなものかもしれない。相手の全力を封じて勝つ。申し分ない勝ち方にゃ。


 こうなるとブランの方の心配が頭を過ぎるにゃ。あいつ詰めが甘いから大丈夫かにゃ? にゃー達は様子を見に行って見ることにするのにゃ。


「ま、待ちやが、れ、」


 まだ伏虎の息があるみたいにゃ。これは以外だにゃ。単なるかませ犬かにゃと思ってたんにゃけど。


「伏虎サマを、舐めるなぁ!」


 伏虎から怒気が吹き出して身体が燃え上がった。全身が炎の塊になった様な姿だ。


「溶岩虎の本性を出せば、元に戻るのに数百年掛かるが、今は構わん。オヅヌ様の為にも貴様ら全員焼き尽くす!」

「うひー、怒ってるねえ。どうする、私がやろうか?」

「うーん、にゃーもやらないと後でグレンに怒られそうにゃのにゃ」


 エリンとの相談を終えてにゃーは身構える。相手の伏虎は身体をドロドロの溶岩と化しながらこちらに迫ってくる。


「伏虎、一つだけいい事を教えてやるにゃ」


 にゃーは体内の気を膨れ上がらせた。身体がどんどんと膨らんでいく。


「外に出たのはお前の炎が原因じゃないにゃ。室内だとこの形態を取れなくなるから外に出たのにゃ」


 その姿は小高い山のよう。そして、この形態は酷くお腹が空くのにゃ。


「その溶岩、残らずいただくにゃ!」


 そうして大きな口を開けてにゃーは伏虎の全身を呑み込んだ。少し熱いけど、まあ喉元過ぎれば忘れるにゃー。

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