第161話:フェザーとの戦闘
まあ次回に続くって事で。ラビ君のターンに戻りました。
いつの間にやらあれよあれよという間にみんなに出会って、フェザー、あのフェニックスと模擬戦をする事になってしまった。
開幕、いきなり炎が塊になって何発もぼくの方に飛んでくる。いや、これ、訓練とか模擬戦とかそういうレベルじゃなくない?
ぼくは赤いオーラを出して炎弾を弾く。傍目には全弾直撃したように見えるがぼくにはダメージはない。
「ラビ!」
ああ、グレン、心配しなくていいよ。今のは軽い挨拶……いや、重かったよな。フェザーからしたらぼくの存在は不要なものだろうからブチ切れてるのかもしれない。
「へぇ?」
フェザーの声が楽しそうにトーンをあげる。おそらくは彼女の攻撃が通じてないと肌で感じたんだろう。
「普通のやつはよ、それを食らったら慌てて回避するか、そのままいい香りで焼けるかなんだわ。香りもしてねえのに、回避もしねえ、つまり、避ける必要すらなかったって事だろ?」
無茶苦茶な言い分だ! いやまあ、避けなくても大丈夫そうな気はしたんだよね。もちろんこんがり焼かれたかった訳じゃないよ?
「じゃあ次はこっちだな! 喰らえ、灼熱演舞、青炎波動!」
フェザーの身体が赤熱から青白くなっていく。熱が辺りを溶かしていくほどの余波を産む。
「ふむ、ちと危険じゃな。氷壁」
「そうね。熱くてかなわないわ。絶氷」
「ほほう? ブリ姫が動くか」
「ジジイ! あんたはその呼び方やめろって言ってんでしょうが!」
「ジジイだなんて傷付くのう。年齢的にはそんなに変わらんじゃろ?」
「変わるわよ、変わりますとも。あんたとノワールは別格じゃないのよ」
「ブリちゃん、まるで私が年寄りみたいな言い方するにゃあ」
「あんたらは年寄りの範疇超えてんのよ! いやまあ、妾も年長組ではあるんだけど」
ブリジットが何歳かというのはとても興味がある話なのだが、そんな事も言っていられない、それにあの技は……
「フェザー、その技はイフリートのおじちゃんの……そ、そういえばイフリートのおじちゃんはどこ?」
「オレがこの技を使ってる事が理解出来てるんなら答えは分かってんだろ? 喰ったんだよ。いやあさすがはイフリート。腹の中がグツグツ煮えた感覚だったよ」
イフリートのおじちゃんを、フレイを喰った? この女が? フェザー! いくらグレンの今のテイムモンスターでも許さない! というかグレンはそれを許したのか? だとしたら相棒としてぼくがグレンの目を覚まさせてやる!
『ぼくの中のぼく、力を貸して!』
『貸しても何も、全部お前のもんだろうがよ。ここんところ肉食ってっから制御は容易いだろ?』
『ぼくだとコントロールし切れずに辺り一面に恐慌をばらまいちゃうからね』
『ちっ、細かいのは要練習ってか。でも忘れんなよ。お前はオレなんだからな』
ぼくの腹の中で赤い魔力が渦巻く。目の前にいるフェニックスに叩きつけるだけだ。目の前のフェニックスは悠然とぼくの方に歩いてきている。
「じっくりと焼いてやるぜ。オレはウェルダンが好みなんでな」
『焼かれて、たまるか!』
ぼくは腹の中の赤い魔力を解放する。それは指向性を持って、一直線にフェザーへと向かう。
『赤き絶槍!』
名前をつけるとしたらそんなところか。フェザーは動く必要がないのか動けないのかは分からないが、そのままその槍を喰らう。
「ぐ、ぐおおおおおお、ぐがっ、力が奪われて……くそっ、制御し切れねえ!」
青白い炎はフェザーから分離し、宙空へと浮いた。このままだと破裂して周りに被害が及んでしまう。そうなる前に魔力で包んで捨てなくては。
「やれやれ、コントロールは今後の課題の様だな」
そう言ってフェザーの口から出て来たのは……
『イフリートのおじちゃん!?』
「フレイと呼べと言ったであろう。いやまあ良い。ともかくこれは何とかせねばな。おい、ラビ、フェザーにトドメをさせ」
はあ!? いきなり出てきたと思ったらフェザーにトドメをさせって? 一体なんなんだか。
「早くしろ。このままだともたんぞ」
言われるがままにフェザーに近づき、倒れているフェザーの心臓を一突きして殺す。いや、この感触はなれないよね。
「よくやった、ラビ。さあ、フェザーよ、炎の中より甦れ!」
フレイが言うと、フェザーの死体が青白い炎に飛び込んで、それがどんどん収縮していき、やがてフェザーそのものになって、そのまま降り立った。
「ふう、ヤバかったぜ。ありがとさん」
「修行が足りんからそうなるのだ。だが、魔力量は上がっただろう?」
「え? マジ? やったぜ! ありがとな、ラビ!」
フェザーが満面の笑顔でぼくの手を取って上下にブンブン振ってくる。いや、本当に何が起こってるのか説明してくれないかな? なんで、フレイは、フェザーは無事なの?




