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第151話:オークの軍勢とその皇帝

一気にエンペラー戦です

 オークジェネラルが絶命したのを確認して食い始める。うーん、ちょっと筋肉質? お肉が硬いね。火を通したら柔らかくなるかね? いや、煮るのもいいんだけど時間かかるよねえ。煮るのにも冷めるのにも。


 それでも食ったら力は湧いてくる。今なら大抵のやつには負けないぞ!


『へぇ、なら向こうから来るオークの大群を全部相手にしてもらおうか』

『どれくらいいるの?』

『いち、にい、たくさん、だ』

『数が分からないよ!』

『まあ量で言えばこの空間ぐらいは埋まりそうなくらいだ』


 なんかとんでもない声が聞こえた。いや、どうするんだよ。ぼくらは一人しかいないんだから。


「いたぞ、あそこだ!」


 たくさんのオークとジェネラルよりは背が低いけど他よりは大きいのが四体。それだけでも手が掛かりそうなのにさっきのジェネラルよりも更に大きくて偉そうなのが出てきた。


「手下達に告ぐ! そこのホーンラビットは我が手下たる雪柳ゆきやなぎ殿を倒した仇だ。悔しいか? 悔しいだろう? さあ、武器を取れ、鬨の声を上げろ、命を惜しむな!」


 デカいのがそう言うと全員の身体が薄く光り始めた。えっと、何コレ?

『ちっ、ありゃあ鼓舞だな』

『子ブタ? 大きいけど?』

『違うわ。鼓舞だ、鼓舞。味方を奮い立たせて実力以上を出す能力だ』


 なんという厄介な、でもオークを率いるなら納得の能力だ。でも雪柳ってなんだ? まさかジェネラルの名前が雪柳? あいつ、女だったか? っていうの頭の中でもう一度考えてみた。


 いや、一応どこもここもあそこでも思い出せば出すほどにあのジェネラルは雄だった事が分かる。何故かって? 玉は飲み込んだよ。噛み砕くには偲びなかったからね。


「グオオオオオオオオオ!」


 洞窟の中だから反響するのか、今にもぼくらを飲み込んで流しそうな人数がこちら目掛けて押し寄せてくる。


 交わすにはスペースがないとだめだけど、そんな余分なスペースの確保すらも困難なこの状況下では意味をなさない。絶体絶命のピンチって訳。


『どうしよう、どうしたらいいの?』

『狼狽えんなよ、オレの本体。この程度の奴らなら準備運動にもならねえよ。狂い咲く薔薇の花園(ローズガーデン)!』


 ぼくの身体の中から何かが飛び散って、それがオークに触れるとバタバタと倒れていく。舞い落ちる薔薇の花弁の様に、まとわりつき、そして死体が死の花を咲かせる。でも、ローズガーデンって確かブリジットの技なんじゃ?


『あー、うっせえよ、カッコよさそうだからちょっと使ってみようとか思った訳じゃねえし。それにあいつのは赤い薔薇だったけど、こいつは黒い薔薇だからな!』


 いやまあ確かにそうなんだけど。あ、向こうの四体の他より大きいのがこっちに来る。


「我ら、オークナイト、エンペラー様の命により、貴様の命をいただく!」

「いざ、神妙にいたせ!」


 ぎゃーぎゃーとうるさいなあ。雑魚は邪魔だから引っ込んどいて欲しいんだけど。オークジェネラルを食った今のぼくならこんなヤツら瞬殺だ。


 まずは一番前で剣を振り下ろそうとしている奴の利き腕を切り飛ばす。汚ねぇ悲鳴が聞こえたが、無視だ。その次に後ろの方でぼーっと突っ立ってる、杖を持ってる奴の心臓を貫く。倒れた奴を踏み台にして、こっちに斧で攻撃しようとしてきた奴を交わし、蹴りを入れつつ、剣を持ったやつの治療をしようとしている奴の顎を砕く。最後に体勢を建て直して斧を振るう奴の首をはねた。


 周りの動きが全部スローモーションに見えて、思い通りに攻撃が加えられる。ぼくは生き残ってるヤツらが居ないことを確認しながら、いわゆるエンペラーに対峙した。


「役立たずどもめが。ウオオオオオオオオ!」


 魂まで凍りつく様な彷徨を聞いた。まあぼくは大丈夫だよ。これくらいのもので恐慌に陥る訳ない。なんならぼくの方が激しい恐怖を与えられる。いわゆる役者が違うのだ。


「ほほう? オレの彷徨を聞いても動けるか。よかろう。このオークエンペラーが直々に貴様の相手をしてやろう!」


 やる気満々にオークエンペラーは両手に剣を持った。まさか、二刀流? オークエンペラーはそのまま突っ込んで来た。まあ遅いんだけど。


 最初の一撃は右からか左からか、とか思っていたら蹴りだった。これはぼくがわざと受けてみる。何の変哲もない単なる蹴り。まあ威力は高そうだけど。まともに当たったら薄い壁くらいは破壊出来そうだね。


 続いて吹っ飛んだところに右からの薙ぎ払い。ぼくは身体を縮めてやり過ごす。そこに左の上からの袈裟斬り。身体を縮めるにはぼくの柔軟性が足りない。攻撃をまともに食らってぼくは床に叩きつけられた。


 それで手を緩めるエンペラーでは無いようだ。倒れているぼくに右から左から攻撃を加えていく。ぼくはなすすべもなくそれを喰らい続ける。しばらくして攻撃の手が止んだ。エンペラーは勝ち誇った顔をしていた。

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