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第15話:仲間との合流

ええ、名前は私の小説に出てくるお馴染みのやつです。ヴリトラと晶龍だとネーミングセンスが違うと言われそうですが、奥さんの名前はティアマトーと設定してるので細かいこたァいいんだよ!

 水面がぶくぶくと音を立てた。ここ、川だよね? なんでぶくぶく言ってるの? 何かが水の中に潜んでる? ぼくはいつでも逃げられるように戦闘態勢を取った。逃げるのかって? そりゃ逃げるよ! このぶくぶくがゴブリンより弱い保証はないし、何よりも水の中に引き摺り込まれたら一巻の終わりだからね。


 本当なら一目散に逃げるべきなのかもしれないけど、後ろから追いつかれたらどうしようもなくなる。まあ恐らくはぼくには追いつけないだろうけど。なにせ、ぼくはホーンラビットだからね。逃げ足だけには自信あるんだよ。


「まあまあ待て待て、今出るから」


 水の中から声が掛けられた。あれ? なんだか聞き覚えある様な。


「よう、久しぶりだな、ラビ!」

「えっ、えええ? ヴリトラ? じゃない、もしかして晶龍君!?」

「覚えててくれたか! 久しぶりだなあ」


 このでかい蛇みたいなのはドラゴンであるヴリトラの息子、晶龍しょうりゅう君だ。一度、ヴリトラの家族に挨拶に行った時に会った。その頃はもっと小さかったんだけど。


「大きくなったねえ」

「いや、ラビには言われたくねえなあ」

「あはは、ぼくは小さいままだもの」


 そう、あの時はぼくの方が大きかったんだ。滅多に居ないぼくより小さなドラゴンだったからなんだか嬉しくなっちゃったんだよね。


「それでなんで晶龍君がここに居るの?」

「そりゃあまあお前を……」

「ぼく?」

「あ、やべっ、い、いやな、うちでそろそろ成龍になる為の度に出ろって言われてさ」

「へぇ、そうなんだ。まあ可愛い子には旅をさせようって聞いた事あるもんね」

「どっちかと言うと龍は千尋の淵に子どもを叩き込むって方だろ?」

「ヴリトラ優しいからそんな事しないじゃない」

「そんな訳あるか!」


 ヴリトラはぼくと旅をしてる時にもしょっちゅうぼくのことを気にかけてくれてたからきっと優しいんだ。きっと晶龍君だって優しく見守ってたんだろうけど、敢えて厳しくしてるとかそういうやつだ。


「そ、それでさ、ラビはここで何やってんの?」

「実はさ、ぼく、グレンに追い出されちゃって」

「あー、それは知って」

「え?」

「……知っておいた方が良いから話してくれよ」


 まあ言われなくても話すんだけど。やり切れない気持ちを持ったまま故郷に帰りたくないし。ぼくはグレンにテイムを外され、パーティから追放された時のことを話した。


「あのクソ親父!」

「ま、待ってよ、晶龍君。ヴリトラさんは悪くないと思うんだよ」

「じゃああのクソニンゲンだな? ラビがこんな風になってんなら親父も同じ目にあうかもしれねえし」

「ヴリトラは、強いから大丈夫じゃないかな?」

「あー、まあ、親父は強いよなあ。親父が負けるのなんて夫婦喧嘩の時の母ちゃんくらいだもん」


 どうやらヴリトラのところはお母さんが強いらしい。まあヴリトラよりも一回り大きいらしいから当たり前かもしれない。


「で、この後ラビはどうすんだよ?」

「ええとね、故郷の森に帰ろうかと思って」

「そうか。よし、じゃあ俺がついて行ってやるよ!」


 突然晶龍君が変な事を言い出した? えっ? ついてくるの?


「で、でも晶龍君って水から離れたら満足に動けないよね?」

「いつの頃の話ししてんだよ。もう大丈夫だってーの。だいたいそうでもなきゃ旅立たせてくれてねえよ」

「そっかぁ、晶龍君も大きくなったんだねえ」

「やめろよ、その保護者ムーブ」

「だってぼくの方が歳上じゃない」


 そうなのだ。初めてあった時は本当にちっちゃくてたいそう可愛らしい姿だったんだよね。それから徐々に大きくなったんだけど。


「ほれ、こうやって化けることも出来るんだぜ」


 そう言うと晶龍君は人間の姿に変化した。と言っても普通の大人じゃなくて、どう見ても子どもなんだけど。なんなら初めて会った時のグレン程度だ。


「さすがに晶龍君は化ける年齢をあげた方がいいと思うよ」

「この方がみんな食い物とかくれるから便利なんだよ!」


 さすがに食べ物は自分で取ろうよ。だいたい、そこら中に生えてるからご飯には困らないと思うんだよ。


「ラビ、ドラゴンは草は食べないからな」


 心の中を読まれた!? いや、確かに思わず草をハミハミしてたんだけど。水は飲んだけどご飯はまだだったからね。


「よし、じゃあここから北西の方に行くと街があるんだ。そこに行こう!」


 それはぼくが回避して通り過ぎたところです。戻ったら捕まっちゃうかもしれない。牛さんは無事だったのだろうか?


「そっち行くと戻っちゃうから、ぼくはこっちに進むよ」

「ん? そっちは頂上の方じゃん。山登りして地形でも確かめんのか?」

「確かめても走るだけだもん。川が渡れるところを探しに行くんだ」

「そっか、ラビ、お前泳げなかったよなあ」


 泳げなくはないよ! 泳ぐのが嫌いで、泳いだらお腹痛くなるだけだもん!

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