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第12話:ホブゴブリンはデカい

デカぁい! 説明不要!

とはならないですね。ホブゴブリンのホブは大きいって意味なんだそうで。ゴブリンスレイヤーだと「田舎者の」って意味らしいけど。

 ぼくは茂みに身を隠した。見つかったらこの集団だと一溜りもない。ぼくだって自分の身の丈くらいは知っている。一対一なら負けないけど、二体以上は無理だと思う。いや、二体くらいならギリギリいけるかも?


「探せ、まだ死体があったけぇからそう遠くには行ってねえはずだ!」


 きゃー、そういう知恵もあるんだ。ゴブリンってバカなのかと思ってたんだけど、こいつは知恵が回るんだな。よく見たら他のゴブリンよりも少し大きい気がする。きっとリーダー格なんだ。


 そう言えばゴブリンにリーダー格が居る時って危ないってグレンが言ってたなあ。なんだっけ、ゴブリンスタンピードがどうとか言ってたと思う。ヴリトラとかシルバー爺とかは大したことないわいとか言ってたけど、人間にとっては危ないってグレンも言ってたなあ。


「オヤブン! こっちにバカの片割れが居ますぜ!」

「なんだと? 連れて来い!」

「それが足を挫いてるらしくて」

「ちっ、バカが更にバカな事になってんな。おい、担いで連れて来い!」


 大きいゴブリンが指示を出すと周りのゴブリンたちが慌てて動き出した。まもなくして、両脇を持たれてさっきのゴブリンが運ばれて来た。


「おい、そこのバカ、勝手な行動しやがって」

「す、すいません。ちょっと腹ごしらえに牛をぶっ殺そうと思っただけなんです」

「何、牛だと? いくら草原でもこんなところに牛なんて居るわけないだろうが」

「そ、それが、居るんですよ。どこから迷い込んできたのかは分かりませんが」


 どうやら牛さんの事を話してるみたい。しまったなあ。全員始末できなかったからこんな事になっちゃったのか。


「それが本当なら美味い肉にありつけるな」

「そうでしょう? 人間の街を襲う前に前祝いでパーッと」

「ふん、お前はどの道留守番だ。何人かついてこい。残りはこいつを巣まで運べ」


 大きいゴブリンは指示を出すと、そのまま牛さんの方へ進んでいく。これはまずい。早く、早く報せないと!


 ぼくは森の中を音を立てるのも構わずに走った。ゴブリンぐらいだと気付いても追って来れないはず。ゴブリン、遅いからね。


「おい、茂みで何か動いたぞ!」

「もう一人のバカを殺した相手かもしれん。油断するなよ!」


 どうやらぼくを警戒してる様だ。姿を現したら間違いなく「なんだホーンラビットか」で終わっちゃうからなるべく姿を見せない様に移動しよう。


 そうこうしていると森を抜けた。牛さんは静かに座っている。ぼくは牛さんのところに駆け込んだ。


「牛さん、逃げよう!」

「おや、どうしたね?」

「ゴブリンが、あいつよりも大きいのも居た!」

「ホブゴブリンだろうね。厄介なことになったもんだ」


 あ、あれがホブゴブリンなんだ。グレンはゴブリン討伐はしたけど、ホブゴブリンは出会ってなかったと思う。ぼくが見たことないから。


「さて、いよいよここまでだねえ。あんただけでも逃げなさい」

「い、いやだよ! ぼくも、ぼくも戦う!」

「困った子だねえ……」


 そんな話をしているとゴブリンの先頭がぼくらの前に現れた。手には棍棒を持っていて、ぼくと牛さんに振り下ろしてくる。ぼくはそれをひらりとかわすと土手っ腹に蹴りを叩き込む。牛さんは棍棒を角で受け止めて、突き返した。


「あー、あー、何やってんだテメェら!」


 そして森から現れる巨体。ホブゴブリンが配下の奴らを連れて現れた。


「確かにデカいな。食いでがある。それに、ありゃあホーンラビットだな。まあ腹の足しにはなるだろうよ」


 ゲヒヒヒヒと下品に笑うホブゴブリン。どう戦うか、じゃなくて、どう食うかしか考えてないんだろう。ぼくらに負けるなんて思っても無いはずだ。


「そら、解体してやれ!」


 ホブゴブリンが号令を下すと一斉にゴブリンたちがぼくの方に向かってきた。ここだ、とぼくは思いっきり踏み込んで、角をホブゴブリン目掛けて突き立てようとした。


「おおっと、狙いは良かったがあめぇな」


 ぼくの角はホブゴブリンに掴まれてしまった。


「おめぇは後でゆっくり解体バラしてやるよ。大人しくしときな!」


 そう言うとぼくは木に叩き付けられた。とても痛かったけど、痛がってはいられない。牛さんを助ける為にも立ち上がらないと……


「へっへっへっ、これで邪魔者は居ねえ。さて、おめぇの番だよ、クソ牛」

「あの子には、手は、出させない!」

「知るかよボケェ! それを決めるのはおめぇじゃねえ。オレ様だ!」


 ホブゴブリンが手にしたデカい剣を振りかぶる。あれだけ刃が分厚くてデカければ牛さんも一溜りも無いかもしれない。万事休す、もうダメだ!


「ファイアアロー!」


 その時、その場に声が響いて、無数の炎の矢がゴブリンたちに撃ち込まれた。まさか、グレンが助けに来てくれた? ファイアアローならグレンもマリーもなんならブリジットも使えたはずだし。葛葉くずのはは狐火って言ってたから多分違う。

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