表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/200

第107話:アシュリーとの再会(NOT浮気)

お互いの両親への挨拶は途中なのでまだ婚姻は成立していません。ティアマトの所に挨拶→危機を聞いて駆けつけですね。

 辺りには死屍累々といった感じの兵士たち。いや、本当に死んでる人は少なそうだけど。多分パイリンさんの優しさだよね。


 晶龍君の掌底を食らって崩れ落ちる巨漢。ゆっくり倒れる様はなんかとても印象に残ったよ。そのままずぅん、と音を立てて地面に突っ伏す。音はして無かったかもしれないがぼくには聞こえたんだよね。うさぎの耳の良さを舐めるなよ?


「こんな、こんな、バカな!」


 信じられんとばかりにうるさく喚くデブ。確か元信だっけ? 結局あいつなんかやったんかな?


「強くて美しい……まさにマイエンジェル! さあ、ボクと江戸こうとタウンでトゥギャザーしようよ」


 なんかキラキラさせながら男がパイリンに近づいていく。なんかすごい無性に腹が立つんだけど。いやまあ今日みたいな夜の草原では目立って便利なのかもしれない。


「えっ? 結構です」


 パイリンさんの返事はとても納得いくものだった。そりゃあそうだ。


「ホワーイ? どうしてだい? 欲しいものはなんでもあげるよ。遠慮しないでくれたまえ」


 すごく不思議そうに聞いてくる。きっとこいつは今まで断られたことがないのだろう。なんか目から漏れてるようなかんじがするし。


「そうか、そこの男に囚われてるんだね! 待ってて、ウェイト! ボクが二人の間の障害を除いてあげよう!」


 そして男は晶龍君の前に立つ。


「さあ、どこからでもかかってきたまえ!」


 晶龍君は頭を抱えるとスタスタ歩いてキラキラ男に歩み寄り、顔面がめり込むくらいに拳を叩き込んだ。


「おとといきやがれ」

「えーん、怖かったぁ」


 パイリンさんが晶龍君の所まで走っていってそのまま飛びつきながらスリスリしている。


「お、おい、パイ、みんなが見てるから」

「大丈夫、見てる中でやるのもなかなか悪くないと思うの」

「言いながら脱ぐな! オレは嫌だぞ」

「そんな! 私を抱きたくないの? 飽きちゃったの?」


 パイリンさんの目が光を失っていく。あ、これはもしかして悪に覚醒するのか? ラスボスはパイリンさんだったか?


「ちげーよ。パイの裸をオレ以外の奴が見るのが嫌なんだよ」

「ショウ君……」


 あ、良かった。目に光が戻っただけでなく、逆にキラキラし始めた。さっきのキラキラ男のが伝染うつったのか?


「ショウ殿、助っ人感謝するでござるよ。もうすぐ旗本たちが来る故、皆はワザリア族の方に」


 モンドさんに言われてぼくらは草原の奥の方に歩いて行った。少し歩くと向こうから矢を番える感じがする。


「くっ、攻めてきたか!」

「おおい、大丈夫だぞ。トゥグリル、弓を下ろしてくれ」

「おお、ショウか! わかった。今巫女姫を呼んでくる!」


 トゥグリルがそう言うと奥に引っ込んだ。直ぐに奥の方からアシュリーさんが走って来た。


「晶龍様!」


 そのまま晶龍君に飛びつく。そして涙を流しながらしがみついている。


「来て下さると信じていました。怖かった、怖かったのです。ああ、本当に」


 いや、アシュリーさんや。怖かったのは分かりました。そりゃあ軍隊が攻めてくれば怖いですよね。あの、あなたからは見えないかもしれませんが、その、パイリンさんのお顔がですね、花のかんばせから般若はんにゃな感じになってるんですよ。ああ、怒気が、怒気がドキドキな感じで、もう。


 アシュリーさんは顔を上げて、そのままパイリンさんの方に思いっきり土下座をした。


「取り乱していたとはいえ、龍神様のご伴侶に失礼を致しました。この度は我らをお救いいただきありがとうございます」

「まあ、そうですね。余程怖かったのでしょう。私の不肖の夫でしたら喜んで貸しますわ」


 あ、パイリンさんの顔から怒気が消えた。アシュリーさんが土下座したからかな。顔を見ないようにしてるみたいだけど、もう怒りは治まったと思うからそろそろ顔を上げてもいいんじゃないかな?


「ラビ様、でしたね。またお会いできて光栄です」


 ぼくの声は分からないだろうからとりあえずきゅきゅーって鳴いとくか。そのまま草食べとこ。


「ささやかですが、宴を用意させます。お待ちください」

「宴? そんなの要らなくないか?」

「いえ、その、蜃様にもお手伝いいただきましたので」


 アシュリーさんがそう答えると砂漠の方の砂が持ち上がって蜃さんが姿を現した。


「随分早い再会になりましたなあ、晶龍様」

「まあな」

「少しのうちにそこな娘を娶られましたか。どうやら半龍のようですな」

「ああ、広利王様の娘だ」

「なんと! それでは東西の龍の架け橋となるような結婚ではありませんか。これはかなりめでたい」


 蜃さんがものすごいはしゃいでる。よっぽど嬉しかったみたいだ。そうこうしてる内に宴の用意が出来たみたいで、ぼくらは簡易的に作られた宴会場の主賓の席に通されてしまった。今回はぼく何もしてないからね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ