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100年前の恋バナ  作者: コーノ・コーイチ
一生食べたい菜の花のみそ汁
15/22

三話 家族会議


 後日、高見家は長男のマサさんと次男のリョウジさんの立ち合いのもとにヨシエさん、トシさんで話し合いました。


 良一様は奥様が大事にされていた畑をなんの了承も得ずに勝手に使われたことを怒っており、この件に関してマサさんは「例え身内の敷地であれ、土地を土地主の許可なく使用するのは無礼な行いである」とのことでトシさんを責め、トシさんは謝罪し頭を下げました。


 そして、良一様が奥様に関するものや奥様に似ているヨシエさんを遠ざけようとしているという件に関しては最初、良一様は認めませんでした。


 ですが、リョウジさんに詰め寄られてしまいます。


「オレのお母さんが亡くなった時も荷物一式を捨てよったやん。んで、ヨシエが嫁に出ていく時はおかんの着物や化粧品、しまいには桐ダンスまで嫁ぎ先に送るつもりやったんやろ?」


 それを問われ、良一様は難しいような、バツの悪そうな顔をしました。

 そこでマサさんは、ハッ!として言います。


「まさか、もう次の女の目途が立ってるんじゃないだろうな!?」


 瞬時に良一様は首を大きく左右に振りました。

 否定の意なのですが、親子として付き合いの長いマサさんやリョウジさんは何かを感じ取り、大きくため息を吐きます。


 そこで良一様は諦めたのか弁明をします。

「……寂しいんや」


 言うと、この場にいたマサさん、リョウジさん、トシさん、ヨシエさんが肩を落としました。ついでに、襖の前で聞き耳を立てていたミエちゃんもガックリとしていました。


 マサさんとリョウジさんが呆れて言います。


「なるほどな、トシがなんでお父さんの許可なく畑を使った理由がなんとなく分かったよ。お母さんとの日々を否定することで立ち直ろうとするお父さんを許せなかったんだ」

「それにトシはおかんの好きだった菜の花を植えてあげたかったんやろ」


 トシさんの行為はお母さまのためでもあり、良一様に対する反骨心でもあったようです。


 こうなると、みんなトシさんの味方に回ります。

 その空気を感じ取ったのか、良一様はついに頭を下げました。


「すまんかった。妻を忘れたかったんは事実や。お前らはお前らなりに立ち直ろうとしたんやろうけど、ワシにとって、妻を思い出すことは後ろを振り向くことなんや」

「だからって、すぐに次の女に乗り換えるとか」


 マサさんが言うと、即座に良一様が否定します。


「すぐにという話やないぞ!」

「おとうちゃん、それ墓穴や」


 ヨシエさんが言い、良一様が「あっ」と間抜けな声を出しました。


 こうして良一様とトシさんがお互いに謝るという喧嘩両成敗のような形で話し合いが終わりました。

 結果として、畑の菜の花は無事に収穫ができ、ヨシエさんの結婚はもう少し先のこととなりました。


 そして、私は菜の花料理をみんなに振る舞うことができ、評判は上々でした。

 みんな口々に「美味しい」と言ってくれました。

 トシさんも、なんとか私に聞こえるくらいの小声で、「おいしいな」と言って下さいました。



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