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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第2章 多種族国家シェリル

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人魚と魚人

素直にヴィーネに聞いてみたよ。

かなりの確率で知っていると思うからね。


聞かずに海に飛び込んだら拗ねちゃうから。


「ヴィーネ。海中に住んでいる人っているかな?」

「いるよ。人魚と魚人だね。海中にお城があったはずだよ。2種族とも地上でも水中でも生活できるんだよ。便利だよね。人魚は人の上半身と魚の下半身。魚人は逆だね。王様がいるのは人間と一緒だよ。ポセイドンって言うんだ。だから、お城があるんだけど奴隷はいないね。あとは、王様が作った石の家に住んでいるよ」


物凄い詳しいよ。

やっぱり聞かずに飛び込まなくて良かった。


「魔石で自由に移動できるようにしてあげれば、こっちにも遊びに来てくれるかな?」

「そうだね。国として交流できると思うから、とりあえず行ってみよう。転移魔法(テレポート)


あれれ…。

物凄い荒れてるよ?

戦争があった国みたい。


ヴィーネの知識は古かったかな?


私達は呼吸が必用無いから海中でも平気だよ。

服が濡れちゃうけど帰ってから洗って乾かすしかないね。


「とりあえずボロボロのお城に行ってみよう」

「そうだね。王様のポセイドンはいるかもしれないから」


石の家も崩れているね。

戦いでもあったのかな?

海中を泳いでいる人は誰もいないよ。


お城の中に入ったら物凄い大きな人魚?がいたよ。

頭に王冠を乗せて立派な髭を生やしたおじさんに見えるけど、下半身はドラゴンの尻尾みたい。


確かにお城のお家が必要な大きさだね。

4mくらいあるんじゃないかな?


三叉槍を手に持ってるけど戦う意志は感じられないね。

元気もないみたい。

1人だからかな?


「こんにちは。私はシャーロット、隣は娘のヴィーネだよ。ポセイドンかな?」

「そうじゃが、儂に客など100年振りか…。何用かな?」


私たちを見ても特に何か言ってこないね。

いつも吸血鬼の私は警戒されるんだけど…。


「お城があるって聞いて来たんだ。私たちは多種族が暮らす国を作ってて、人魚や魚人も誘いに来たんだよ。暮らすのが無理でも、海にしかない物を売るお店をやってくれるだけでもいいんだ。魔石で移動可能にするつもりだったんだけど何かあったの?誰もいないよ?」

「ここにジェラルディーンが来た時はもっと綺麗だったよね?何があったか話してくれたら力になれるかもしれないよ?」


ジェラ姉ちゃんの名前を聞いて少し表情が変わったよ。

期待感に満ちた顔だね。


「まさか、ジェラルディーン様と関係があるのか?魚人が人魚を捕まえて人間や獣人に売ったんじゃよ。人間や獣人の間では人魚の血は万病に効く、長寿になれる、とか言われておるらしい。あとは、王族たちの鑑賞用らしいのう。魚人は陸に上がって海の近くに国を作っておるようじゃ。人間や獣人を奴隷としていると聞いておる。儂が出来たのはそこまでじゃよ。妻や娘を助ける事はできなんだ」

「じゃあ、おじさんの記憶を覗かせて。生きてる人魚を全員助けてあげるよ」

「やっぱり母さんは助けると思ったよ。助けた後はどうしようかな…」


「そんな程度で助けられるならいくらでも記憶を覗いてくれ。儂の妻や娘たちまで捕らえら売られておるんじゃ。頼む。生きている者だけでいい」


王様なのに物凄い泣いているよ。

海中だから涙は見えないけど感情が泣いているんだ。


また、人間と獣人が悪さしているよ。

原因は魚人みたいだけど、どうしようもないね。


でも、奴隷にもされているんだよね。

ほんと良く分からないよ。


本気出すよ。

お母さん、人助けの為だから許して。

心臓が止まり銀髪が足下まで伸びる。


「お、お主。ただ者では無いと思っておったが真祖か。海に吸血鬼が来たのを不思議に思っておったんじゃよ。娘は古代種(エンシェント)ドラゴンじゃろ?良く分からん組み合わせじゃな」

「ヴィーネの産みの親がジェラ姉ちゃんだからね。私の魔力で孵化させたから、私の娘なんだ。まずは記憶を覗かせてもらうね」


ポセイドンの頭に手を置いて記憶を覗く。

生きている人魚は100人くらいだね。

召喚魔法(サモンマジック)

範囲高位回復魔法(エリアハイヒール)


お母さん、また人を救えたよ。

すぐに戻すからね。


髪が縮み心臓が動きだす。

心臓が動くと本当に安心する。


私の中にお母さんの血があるのが分かるから。


「揃っているかな?記憶にいた生きている人魚は皆、呼んだよ」

「おお、妻よ。それに娘たち。ありがとう。本当にありがとう」


助けた人魚は女性しかいないみたい。

何回見ても家族が揃った場面はいいものだね。


それにしても娘たちって…。


「おじさん、流石に子供が多過ぎだよ。奥さん大変だよ」

「本当だよね。まさか全員が娘だとは思わなかったよ」


人魚の鱗の色は違うね。

妖精と一緒で魔法の属性の違いかな?


それにしても、おじさんだけだよ?

異常に大きいの。


他の人魚は私達とあんまり変わらないもん。

奥さんも大きさは娘と同じくらいだよ。

どうなってるんだろうね。


不思議だよ。


「本当にありがとう。お礼をしたいんじゃが、この通り何も無い。すまんのう」

「あなた。助けて頂いたのに何も無いのはいけませんよ。何かできる事があるでしょう?」


奥さんの方が強そうだね。


「海のサンゴとかお魚をお店で売ってくれるだけでいいんだ。住む場所も作り直してあげようか?」

「助けて回復して頂いた上に住む場所まで用意して頂いては、流石に申し訳がありません」

「気にしなくていいよ。皆が仲良く住める国を作ってるからね。遊びに来れる環境を用意しないと。今のままだと魚人が怖くて何もできないでしょ?海の家は私が直すから母さんは結界用に巨大な魔石を探して来てよ。海底なら落ちてると思うからさ」


な、なんて母使いの荒い子なの!

普通逆じゃない?


私が家を直せばいいんじゃないの?


「早く探しに行ってよー。母さんの作る家は格好が悪いから私がやるんだよ。言わせないでよね」

「行ってきます…」


言わせちゃったよ…。


ああ、涙が出そう。

泣いたっていいよね?

だって女の子だもん!


娘に酷い事を言われちゃった。

はいはい、巨大な魔石ねー。


中心に置いて3重(トリプル)結界を私が張れば、まず侵入不可能だね。

ジェラ姉ちゃんなら破壊できるけどさ。


うわーー!

考え事をしていたら、大きなお魚に食べられそうになったよ。

物凄い、頭が尖ってて歯がギザギザで怖いね。


氷魔法(アイススピア)で頭を串刺しにしたよ。

昔海の近くに行った事があって、その時におじさんが魚の頭に銛を刺していたから。


死んだみたいだね。

びっくりした…。


おおーー!

さっきより大きいお魚が横を通って行ったよ。

丸い頭で10mはあるんじゃないかな?


海の中って凄いね。

みんな大きいよ。


魔力で満ちているから大きく成長するのかな?


見つけた。

魔力を吸収している岩。

10mくらいの大きさだから十分でしょ!


よいしょっと。

転移魔法(テレポート)


「はい、持ってきたよ。先に結界だけ張るよ。綺麗に削るんでしょ?好きにやってよね」

「母さん拗ねないでよ。それにしても、大きいね。これなら安全な結界が張れるよ」


匠の技だね。

家も綺麗に治っているよ。

光の魔石を置いているのかな?


石の街が綺麗に輝いて見える。


「ここにいる人と、海水と、私たちとジェラ姉ちゃん以外通れない結界を張るけどいいかな」

「すまんのう。よろしく頼みますわい」

「ありがとうございます。必ずお礼をしますので」


100人くらいだから、シェリル国の半分の大きさでいいね。

3重(トリプル)結界。


万が一ジェラ姉ちゃんが遊びに来たら面倒だからね。


魔石から魔力が減らない。

回復量の方が多いね。


それを見た職人が魔石も綺麗に削っているよ。

半球状に削ったね。

結界の形を見た後、回復量にあまり影響しない様に削るあたりが職人だよ。


勿体無いから削り取った部分も利用するよ。


「ヴィーネ。結界の魔石を中心に置いてきてよ。私は近くに時空魔法(ゲート)の魔石を作って置くからさ」

「大きい魔石だけど結界だし中心に置いた方がいいね。母さん、時空魔法(ゲート)の魔石はお城の中に置いてよ。みんな家族みたいだしその方がいいよ。あと、シェリル国と繋ぐ前にお店を結界で覆ってかないと海水で沈んじゃうよ。忘れていたでしょ?もー、あとは私がやるから、母さんは待っててよ」

「はーい。待ってまーす」


それもそうだよね…。

今繋いだら、シェリル国が沈む所だったよ。


ヴィーネはほんと賢いよね。

()()()だから当然だよね。


ヴィーネは結界の魔石を綺麗に削って回復量も問題ない事を確認していたね。

そのあと転移(テレポート)したから、シェリル国に帰って結界で店を覆ってるね。


削り取った魔石でも十分な大きさだから持って行ったみたい。

本当に賢い娘だよ。


「おじさんも私たちの国に遊びに来る?」

「そうじゃのう。儂は流石に大き過ぎるじゃろ?海で妻と仲良くしておるよ」

「私はお店のお手伝いに行くつもりです。あなたはここを守っていて下さい。物凄い結界を張ってくれたみたいですので、お城にいるだけでいいですよ。ああ、お魚を捕まえておいて下さい。商品になりますから」


やっぱり奥さんの方が強いね。

せっかくだしシェリル国の名産品を奥さんに味見してもらおう。


「奥さん、名前は何て言うの?私はシャーロットで、娘はジェラルヴィーネ、愛称ヴィーネだよ。ヴィーネって呼んであげてね」

「私はアムピトリーテーです。必ずお店に商品を並べますから、任せて下さい!」


気合が入っているね。

気楽にしてくれればいいのに。


「その前に、私たちの国の名産品だよ。お酒と果物。どうぞ、飲んで、食べてみてよ。皆、お酒が飲みたくてお金稼ぎを頑張っているんだよね…」

「それ程なのですか。では、1口だけ、ゴク…。えっと…、もう1口、ゴク…。あなた、残りをあげます。お魚を捕まえる気になると思いますよ」

「ほう。では、ゴクゴク、ゴク。なんじゃこりゃー。魚やサンゴが商品になるんじゃな?必ず売れるようにしよう!」


娘たちにはりんごをあげたよ。


「この果物、物凄く美味しい。凄い、地上で食べた食事なんて忘れたよ。いや、地上であった事なんて忘れたいから、これはいいね」

「皆子供でしょ。地上でも問題なく活動できるのなら学校で勉強する?文字の書き取り、計算、魔法や魔石の知識を覚えれるよ」


「あなた達、勉強させてもらいなさい。弱いから魚人に捕まったのです。魔法の使い方を学び、二度と同じ事が無い様にしなさい」

「「分かりました。お母様!」」


「あ、娘は名前あるよね?勉強する時に名前が無いと困るんだ」

「勿論あります。私が皆を名付けましたので大丈夫ですよ」


あれ?

ポセイドンがいない。

ああ、お魚を捕まえに行っているみたいだよ。


これだから大人は駄目だよね。

すぐお酒に目が眩んじゃう。


やっぱり()()()()()だよ。


「母さんただいま。お店の準備もできたし、時空魔法(ゲート)の魔石でお城と繋いできたよ。皆で見学においでよ。その方が安心でしょ?」

「そうですね。娘たちは全員連れて行きます。夫の事は気にしないで下さい」

「せっかくだし魔石で発動している時空魔法(ゲート)通って移動しようか」


私たちはヴィーネが設置した時空魔法(ゲート)を通った。

そしたら、シェリル国に来たのに、まだ海水の中だよ。


不思議な気分。

結界から出たらずぶ濡れだけどね。


人魚が着替える場所も用意しているよ。

水で海水を洗い流せるようにしている。

今後は服を着たり靴を履いたりすると思うからね。


流石だよ。

完璧すぎて言葉も無いよ。


人魚は結界から出ると尾が足に変わったよ。

見ると本当に不思議だね。


いや、ドラゴンが人に変身するんだから、不思議でもないのかな?


私たちは各種族のお店と中央区を案内したよ。

「素晴らしい環境です。娘たちはここで学ばせて頂きます。よろしくお願いします」


念話(テレパシー)、国長です。人魚のお店が、ハイオークのお店の横に出来たよ。お魚やサンゴが、そのうち売りに出されるから楽しみにしていてね。あと、100人の人魚が学校で学ぶ事になったから悪い事したら罰を与えるよ。気をつけてね」


早速、念話(テレパシー)で報告しているね。

完璧な国長だよ。


母さんは娘を可愛がる事に専念するよ。


アムピトリーテーに100万ギルを手渡した。

「これで、地上で履く靴や服を買ってあげたりしてね。あとは、お魚やサンゴを売ったお金で色々してくれると嬉しいな」

「ありがとうございます。これほどの恩を受けたのです。必ず恩返しをして見せます。娘たちも勉強が終わったら、お店のお手伝いをさせますのでよろしくお願いします」


娘たちはなるべく遊んで欲しいな。

大勢でする本気の鬼ごっこは楽しいからね。


「そんなに頑張らなくていいよ。私たちは友好的な種族が安全に楽しく暮らしていける国を作りたいだけだからさ。気張らずにゆっくり楽しんでくれたら嬉しいな。娘たちにも友達が出来ると思うから、子供はなるべく遊んで欲しいな」

「困ったら、あそこに見える社に来てね。大体の事は解決するからさ」

「分かりました。ありがとうございます」


「じゃあ、私たちは社に帰るね。またねー。転移魔法(テレポート)

「服を着たままお風呂に転移(テレポート)するとは思わなかったよ。びっくりするじゃない」


「服を脱いで。洗って乾かさないといけないからさ」

「はーい。くっついて脱ぎにくいね。んーっと。んーっと」


服を洗って乾かすのは私の仕事だね。

お母さんも歳を取るまでは洗ってくれていたから。


布団を敷いて寝る前に褒めてあげないとね。

頭をなでなでして、ほっぺたをぷにぷにして、抱きしめてあげたよ。


ヴィーネは真っ赤な顔をしていたね。

前と同じ内心は喜んでいたよ。


「じゃあ、寝ようか。おやすみー」

「おやすみ…」


今日も人助けができたし国に招待できたよ。

いい1日だったね。


ヴィーネが更に早く抱き着いてきたよ。

賢い国長も、母さんの前では甘えん坊のヴィーネちゃんだね。

ヴィーネの仕事が丁寧で完璧なのは、シャーロットに褒められたいからです。

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