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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第2章 多種族国家シェリル

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閑話 ジャラルヴィーネ 後始末

ワイバーンの記憶を覗いた時は最悪な気持ちになった。

母さんに見せなくて良かったよ。


同時にしなくてはいけない事もできた。

母さんが孤児院に遊びに行っている間に終わらそう。


確実に怪しまれていると思うけど察してくれると思う。

街に来たワイバーンの時に何も聞かれなかったから、予想が付いているはずだもん。


私が普通のドラゴンだったら何とも思わなかったかもしれない。

でも、私は母さんの娘でありお婆ちゃんの孫だから。


それに、古代種(エンシェント)ドラゴンとしてやらなければいけない。

古代種(エンシェント)ドラゴンは地上世界の繁栄を見守る種族だから。


叔母さんの仕事を肩代わりするみたいで嫌だけど、仕方が無いね。


転移魔法(テレポート)

知識の中にあったワイバーンの巣に移動した。


ここに族長がいるはずだ。


高い岩山にできた洞窟の入り口にワイバーンが2人いた。

見た目の区別はほとんどつかないけど言葉を操り年齢も高いと思う。


「族長の元に案内して欲しいんだけど中にいるかな?」

「何だ?人間の子供が何故ここにいる?誰かが落としたのか?隊長、俺が喰っていいですか?」

「部下が失礼な事を言ってすみません。族長の元に案内します」


ふーん。

皆殺し決定かと思ったけど違う人もいるんだね。


「暗い洞窟です。私の後ろに付いて来て下さい」

「優しいね。お願いするよ」


ワイバーンの隊長の後に付いて洞窟の中を歩いた。

思ったよりも深くまで続いていたよ。


何で空を飛ぶ種族が洞窟に住むのだろうか?

空気も悪いし、とても汚い。


ここに住む理由が想像できてしまう。

不愉快だよ。


「こちらでございます」

「ありがとう。君は下がっていた方がいいよ」


早速下品な首飾りが目障りだ。

確実に新しいものだと分かる。


叔母さんとの約束を守れないのかな?


「ブルーノ君、君が首からぶら下げているもので察しはついたよ。古代種(エンシェント)ドラゴンとの約束を守れないの?叔母さんが子供だけを食べる事は禁じたはずだ。お前の部下も子供を攫いに来た。死にたいの?」

「これは昔の骨でございますよ。それに、約束したのはジェラルディーン様でございます。あなたではございません。ジェラルディーン様なら分かって下さいますよ」


苛々するな。

力の差も分からないの?

海に落としたあいつと一緒だよ。


「私の産みの親はジェラルディーンだよ。だから、君の名前も知っている。代理で私が来たんだ。即座に殲滅しても良かったけど、全体がクズだとは限らないから見に来たんだよ。君の話し方だと今日でワイバーンは絶滅する事になるけど、いいのかな?」

「産みの親ですか…。くっくくく、捨てられて孤児にでもなりましたか?人間の貴族でも綺麗な服を着ておりますよ。そんな、ボロボロの服しか用意出来ない貧乏な母親に育てられているなんて、お可哀想に」


こいつは、今わたしに何を言った?

母さんを馬鹿にしてお婆ちゃんの服まで馬鹿にしたのか?


叔母さんでも母さんの服を馬鹿にした事は会ってから一度もないよ。


落ち着こう。

このままだと母さんが来ちゃう。

さっさと殺して、さっきの真面目そうな隊長を族長にすればいい。


こいつは反省をしていない。


「言葉が止まりましたね。余りにも悲惨な環境に悲しんでいるのですか?もしかして、変身もできないのですか?私と会話したいなら、せめて古代種(エンシェント)ドラゴンと証明して欲しいものですね。隊長、こんな出来損ないを中に入れるとは何を考えている。あとで罰をくれてやる!」


変身したらお婆ちゃんの服が破れちゃうじゃないか。

もう、終わりにしよう。


「変身?私はこの姿が好きなんだ。変身をしたら服が破れてしまうからお前に見せる気は無いよ。お前は殺すの決定だよ。約束を破るだけではなく母さんもお婆ちゃんも馬鹿にしたからね」

「くっくくく。何を世迷言を。お手製のボロボロの服でしたか?布切れが破れて怒るドラゴンなんていませんよ。貧乏な家族に拾われたのでしょう。ジェラルディーン様も理解不能な事をしていますね。中途半端な出来損ない。魔力も十分に与えてもらってないのですね。まあ、ゴミの魔力を与えてもらったかもしれませんが所詮この程度ですか」


洞窟が崩れないように抑えているのに、こいつは馬鹿なのか?

今の状態でもお前を殺す事など容易いと理解できないのか?

それとも、私を馬鹿にしたいだけか?


いや…。

母さんもお婆ちゃんも馬鹿にした。

何度も何度も馬鹿にしたんだ。


もう、知らない。

何人死んでも知らない。

お前たちを殲滅する事は決定した。


見せてやるよ。


死ぬ前に地獄の痛みと恐怖を教えてやる。

絶望の中で自分の愚かさを恨め。

能力全…。


後ろから優しい匂いに抱きしめられた。

ああ…、怒ってしまったよ。

母さんが来ちゃうよね。

まだまだ甘いな。


「ヴィーネ。そんなに怒ったら洞窟が崩れちゃうよ。みんな死んじゃうけどワイバーンは殲滅する事にしたの?」

「ごめん母さん。色々と馬鹿にされちゃってね。つい、怒っちゃったよ」


「お前が母親?あっははは。これは傑作。たかが吸血鬼か。ボロボロの布切れを娘に着せる事しかできない弱者が何の用だ?隠れていれば死なずに済んだものを。お前程度で何ができるんだ。隊長、さっさと殺せ!」

「母さんごめん。こいつはすぐに殺すから…」


母さんに頭を優しくなでられた。

そして、目の前に来て私の目を見て話し始めた。


「ヴィーネ。一番大切な私の娘。もし、今の服を着るのが嫌なら別の服を着てもいいよ。服よりもあなたが大事なの。お母さんの服が無くなっても気にしないよ。今はあなたがいるからね。だから、ヴィーネの好きなように行動していいよ」

「母さん。私はお婆ちゃんの服を着ていたいんだ。だから、このままが一番いいんだ」


母さんは笑顔で頭を撫でてくれた。


「そっか。じゃあ、服が無くなるまでは一緒に着ようね。目の前の馬鹿を殺すのは決定で後は誰を殺せばいいのかな?そこの君、真面目そうな顔をしているね。子供だけを食べるクズを教えてくれないと皆殺しだよ?どうする?」

「は、はい。族長と部下の1人です」


「ほら、真面目な人もいるじゃない。部下をここに連れてきて。今日からあなたが族長ね。好きな物を食べればいいと思うけど子供だけを食べるのは許さないよ。分かってくれそうだね」


隊長は部下を連れに戻って行った。

2人だけ殺せば大丈夫かな?


母さんはやっぱり予測していたね。

そして、族長の首飾りを見て確信しちゃった。


煩い声が近付いてきた。

子供だけを食べるクズは、やはり入り口にいた奴か。


「隊長、何ですか?隊長!子供を喰って何がいけないんですか?勝手に増えるから好きなだけ喰えばいいじゃないですか」

「それは、ワイバーンの子供だけを殺し続けても同じ事が言えるのかな?子供は可能性の塊だよ。誰かが許したとしても私が許さない。子供だけを食べる事は絶対に許さない」

「母さん。あとは私がやるから。私の仕事だからさ…」


私が未熟だから母さんを呼んでしまったんだ。

後始末だけはきちんとしないと。


「隊長、何を怖気づいている。殺せばいいだけだ。こんなガキ2人とっとと殺せば終わりだろう。族長の地位に憧れたのか?」

「族長がこれ程の馬鹿だったとは本当に申し訳ありません。きつく他の者たちは教育致します。今回は2人でお許し下さい」


「ヴィーネ。好きにしていいよ」

「分かったよ、母さん。お前達2人には喰われる者の立場を教えてやる。闇魔法(リトルデスワーム)、ゆっくりと喰われて死ね。隊長、君の名前は?」

「ブルクハルトです。ヴィーネ様」


本当に真面目な感じだ。

ワイバーンにも真面目な人はいるんだね。

母さんのお陰で皆殺しにせずに済んだよ。


2人が小さい虫に食われて絶叫しながら転げ回っているよ。

あえて、声は消していない。


ワイバーンは痛みを知らなければいけないからね。


「私はシャーロット、娘はジェラルヴィーネだよ。じゃあ、ブルクハルト頑張ってね。ヴィーネ、行こうか」

「うん、今日はすぐに寝たいな。いいでしょ?母さん」


母さんは笑顔で頷いた。

「じゃあ、お風呂に入ってすぐに寝よう」

「うん。お風呂にも入らないとね。じゃあね。転移魔法(テレポート)


社に帰ってきて、一緒にお風呂に入って、一緒に布団に入る。

母さんの匂いが大好きだ。

母さんに抱き着いて眠る。


この幸せな時間が大好き。

母さんに抱き着いて眠れば、起きた時、嫌な事は忘れているからさ。

ヴィーネの本気の余波はどれ程になるか分かりません。


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