閑話 マリアンネ 緊急区長会議
急いで街長室に向かうとディアナに声を掛ける。
「ディアナ、緊急で区長会議を行う。至急、全区長に連絡を入れてくれ」
「分かりました」
先に会議室に向かい、区長達が揃うのを待つ。
寿命が縮む思いだった。
自由を愛するのが冒険者じゃないのか?
怪我を治してもらった後で、馬鹿にする奴はいるかもしれないと思っていた。
しかし、奴隷商人たちに子供がこの街で売れると思われるのは想定外だ。
最悪だよ。
シャーロット様の力の一端を見たが、肝が冷えた。
世界中の何処にいても殺せるし、呼び出せる気がする。
同行をお願いしてくれて助かった。
別の何かがあって探知範囲を広げていたんだろう。
それで、不思議な感情の団体が気になったから私に声を掛けたんだ。
他国では奴隷が当たり前だと分かると、目の前の奴隷商人と関係者だけに殺害を留めた。
その考え方が本当に奇跡だ。
あれだけの力があれば、全ての奴隷を救う事が出来ると思う。
でも、シャーロット様は街の住民を守る事だけを考えている。
全ての奴隷を助けようと思うと、街が潰れてしまう可能性がある。
結果を予測して止まってくれたんだ。
街の準備が整っていれば助けれるだけの奴隷を助けると思う。
やはり、奴隷という制度には反吐が出る思いだよ。
各区長達も入って来たね。
北西区:ダミアン ------ 研究員
北東区:エルヴィン ---- 元冒険者
南東区:グスタフ ------ 獣人(犬)
南西区:エルヴィーラ -- 商人
「何かあったのか?」
「ああ、エルヴィン。冒険者の馬鹿がやりやがったよ」
冒険者と聞いて、他の区長達の顔色が変わる。
はっきりと言えば、嫌悪感だろう。
イメージが良くないのは今更だ。
「それは、この街の元冒険者にも被害が出そうなのか?」
「それは無い。シャーロット様は、街の住民には余程の事が無い限り手は出さないよ」
「まあ、とりあえず何があったか話してくれ」
ダミアンらしいな。
全容を知ってから考えたいのだろう。
相変わらず仕事の合間に研究しているみたいだし。
「心して聞いてくれ。冒険者の馬鹿がお祭りで怪我を回復していただいた。しかし、陰で馬鹿な吸血鬼だと笑っていた」
この時点で他の区長が怒っているな。
気持は分かる。
常に守り続けてくれている土地神様を馬鹿にされている訳だからな。
「ここで怒るのは早い。シャーロット様は馬鹿にされたくらいでは激怒しない。その馬鹿どもは、奴隷商人に、この街では子供が高く売れると噂を流しやがった。結果、奴隷商人が子供を売りに街に向かっていたのを発見された訳だ。私が同行を頼まれなかったら冒険者は皆殺し、奴隷商人も皆殺し。恐らく、全ての国の奴隷を使っている人が皆殺しになった。私がまずいと思って声をかけた結果、目の前の奴隷商人と噂を流した冒険者だけの粛正に終わったよ」
「今の冒険者はそこまで腐っているのか?知っている奴だったか?」
「ああ、エルヴィンも知っていると思うぞ。Aクラスの赤い翼だよ」
エルヴィンも青褪めたな。
深刻さを理解したか。
だが、お前が想像する以上の深刻さだ。
「それはあれか?どこまで噂が広がっているか分からないという事か?」
「そういう事だ。どれだけの馬鹿がこの街に押し寄せるか分からない」
「今回の議題は、街の出入り制限と住民を増やす為の拡張の計画だ」
「なるほどね。馬鹿は殺されるから放置でいいけど、助け出される奴隷の人数が予測出来ないのか」
「ダミアンの言った通りだ。しかも、奴隷は獣人やエルフの子供もいた。シャーロット様がいれば街の住民に被害は無いが、子供を取り返しに来ただけの獣人やエルフが殺される可能性がある。例えば子供を攫う冒険者や奴隷商人が命乞いで、この街の吸血鬼が子供を集めているなんて言ったら最悪の結末が予想されるだろ?シャーロット様はよく未来の話をされる。近い未来、奴隷を助けている自分の命を狙われ続けられたらどう思うか想像出来ない」
区長達も理解してくれたか?
他種族がシャーロット様のように嘘を見抜けるとは限らない。
吸血鬼だから血を集めていると思われる可能性がある。
他の人間が奴隷としていても、この街で殺されていると考えるかもしれない。
他の人間が奴隷を殺したとしても、この街で殺されたと考えるかもしれない。
無実の種族の血が流れる可能性が極めて高い。
更に人間に不信感を覚える可能性もある。
「とりあえず、私が商人組合に話を通しておくよ。奴隷を保護しているとね」
「エルヴィーラ頼む」
「最悪だ。獣人は血の気の多い奴がほとんどだ。そんな噂を耳にしたら徒党を組んで攻めてくるかもしれない。皆殺しじゃねーかよ」
「皆も知っていると思うが、シャーロット様の強さは桁違いだ。社にいながら世界中の生き物を殺せる。そして呼び出す事もできる。私は激怒したシャーロット様を見て終わったと思った。まさか、私の言葉を聞いてくれるとは思わなかった。今の状況は奇跡だと考えるべきだ」
「まず、街の拡張の計画と食糧生産の計画を立てるよ。そして、殺意を持った他種族の取り扱いを変えてもらおう。シャーロット様なら全員無傷で取り押さえられる。そして、誰を探しているか記憶を覗いて助けてもらうようにお願いするのが一番じゃないか?」
「分かった。そのお願いは私からしておくよ」
「おい、俺は元冒険者として組合に落とし前を付けさせる必要があると思うぞ。最低でも冒険者組合が噂を消す努力をするべきだろ?」
「じゃあ、お前と私とシャーロット様の3人で冒険者組合に行くか?」
「ああ、俺が話をする。文句を言うなら皆殺しでも仕方が無いだろ?」
「そうだな。この街に罪を押し付けられては堪らんからな」
「他に意見はあるか?」
「検問の兵士を獣人にしてくれないか?俺から理由を話すし、シャーロット様ばかりに頼るのも良くないだろ?」
「そうだな。その案で行こう、グスタフ頼む」
こんな所か?
本当に最悪だよ。
「今日の会議はここまでにしよう。各々よろしく頼む。エルヴィンは明日動けるようにしておいてくれ」
「ああ、分かった」
「とんだ内容だね。計画を頑張るよ」
「本当に最悪だぜ」
「全くだね」
翌日にシャーロット様の社にお願いに行った。
「シャーロット様、お願いがあって来ました」
いつものように笑顔で社から飛び出て来た。
笑顔でいてくれるだけでいいのに…。
「マリアンネ、どうしたの?」
「罪人の取り扱いを少しだけ変えたいのです。昨日の冒険者の噂がどこまで広がっているか分からないので、子供を取り返しに来る獣人やエルフが殺意を持って街に入ろうとするかもしれません。ですので、事情を把握する為に取り押さえ、可能であれば誰を助けようとしているのかを調べて助けてあげて欲しいのです」
「なるほど。子供を助ける親の気持ちか…。分かったよ。子供は助けてあげないとね」
「はい。それと、この後、私とエルヴィンを連れて冒険者組合の本部に向かって欲しいのですが、よろしいですか?今回の件で街の評判が下がるのは納得がいきませんので、冒険者組合にも動いてもらいます」
「分かったよ。今すぐ向かえばいいの?」
「はい。私の記憶を覗けば場所が分かると思いますので、お願いします」
「分かった。えっと…、ここだね。じゃあ、エルヴィンを連れて行こうか転移魔法。エルヴィンも今から向かっていいんだよね?」
「はい。お願いします。俺が話しますので見学していて下さい」
「分かったよ。じゃあ、行くよー。転移魔法」
懐かしいな。
こんなに嫌な気持でここに来る事になるとは思わなかったよ。
扉を開け中に入る。
多くの冒険者の視線が刺さる。
絡んでこなければ無視でいい。
顔馴染みの受付の女に声を掛ける。
「久しぶりだね。今すぐ組合長に会わせて欲しい」
「今すぐですか?約束が無いとマリアンネさんでも難しいですよ」
「いや、今すぐだ。俺が話がある。文句があるなら即皆殺しだがいいか?」
馬鹿な冒険者が少し殺気立っているな。
シャーロット様を見て何も感じないなら引退しろ。
早死にするだけだ。
「エルヴィンさんまで物騒ですね。2人が話があると伝えて来ますね」
「ああ、急いでくれ」
「おいおい、引退した2人が何を偉そうにしているんだ?」
「俺の言葉が聞こえなかったのか?殺すと言ったんだぞ?」
馬鹿が絡んで来たか。
こういう奴が増えたのか。
「やるのか?老骨が目障りだぜ!」
「シャーロット様。すみませんが、こいつと同じ感情の奴を殺して下さい」
「はぁ?女の子頼みかよ。落ちた…」
「終わったよー」
「ありがとうございます。静かになりました」
10人ほど死んでいるな。
まあ、いずれ死んだんだ。
早いか遅いかの違いだ。
受付の女が戻って来たようだ。
「何があったんですか?組合長が話は聞くと言っていましたけど」
「ああ、煩いから殺した。10人ほど倒れている奴は死んでいるから片付けておいてくれ」
「え?本当に死んでいるんですか?争った形跡もないのに…」
「確認すれば分かる。私達は組合長の元に行かせてもらうよ」
「はあ…、どうぞ…」
受付の女には可哀想だが仕方が無い。
諦めて片付けてくれ。
私達は階段を上り3階一番奥、少し重厚な扉の前まで来た。
「シャーロット様、マリアンネ。俺が主導でいいよな?」
「私はいいよー」
「ああ、好きに話せ」
エルヴィンが少し乱暴に扉を開けると、組合長と秘書が驚いてこちらを見た。
「よお、久しぶりだな組合長。話が通るのが遅いから10人ほど冒険者を殺しておいた」
「エルヴィン、突然何を言い出すんだ?」
「まあ、冒険者の死なんてどうでもいいんだ。組合長は知っているか?とある街の馬鹿な吸血鬼が無料で怪我を治してくれるっていう噂?」
「ああ、冒険者の間では有名だな。それがどうした?」
エルヴィンも攻めているな。
本人がいるのに馬鹿な吸血鬼なんて良く言えたものだ。
本当はそんな事思ってもいないし、言いたくないのに…。
「ほぉ、知っているのか。じゃあ、その吸血鬼が子供を高く買い取っているって知っているか?」
「ああ、噂になっているぞ。それがどうした?」
最悪だな。
組合長が知っていて放置か。
これは、皆殺しか?
「知っていて放置しているのかよ。今から2択を選ばせてやる。噂を消すか皆殺しだ。どちらを選ぶ?」
「エルヴィン。お前はそんなに強く無いだろ?何を言っている?」
「お前の目は節穴か?噂の吸血鬼様を一緒に連れて来ているのにも気付かないのか?ああ、赤い翼は殺した後だから考慮しなくていいぞ」
「その女の子がか?おいおい、赤い翼はAクラスだぞ。例え吸血鬼でも勝てんよ」
「それが答えか?1階で10人ほど死んでいるが、見てきたらどうだ?」
「そこまで言うなら確認してやろう。エルマ、見てきてくれ」
「かしこまりました」
5分も待つ必要が無かったな。
秘書の走る音が聞こえるよ。
「SクラスとAクラスの冒険者も死んでいます。ほとんどが中堅ですが、争った形跡すらありません」
「はぁ?本当か?そんな事が可能なのか?」
「おい、どうでもいい会話は聞きたくないんだ。噂を消すのか皆殺しか早く決めろ。ここで嘘を吐いて、間違っても討伐隊を送ろうなんて考えるなよ?皆殺し決定だからな。冒険者が全員で攻めて来ても街に入る前に皆殺しだよ。お前らは舐め過ぎだ。相手の力量も分からないなら冒険者辞めろ」
沈黙か…。
思考が停止したのか?
「おい、別に冒険者組合の本部を街に移籍してもいいんだぜ?お前が組合長をやる必要も無い。何なら俺がやってもいい。俺も元冒険者だからなるべく殺したくないと考えていたんだが、ここまで腐っていたとは思っていなかったよ。他種族を攫う仕事を奴隷商人から貰ったりしていないよな?」
ああ、その可能性もあるか。
冒険者がダンジョンに入らず人攫い。
「おい、組合長でも秘書でもいいから早く答えろ。無理やり記憶を覗かれたいのか?」
「そ、そんな事まで、で、できるのか?」
終わったな。
記憶を覗くまでも無い。
組合長が奴隷商人と繋がっている。
「シャーロット様。組合長の記憶を覗いて、人攫いの仕事をしている冒険者と奴隷商人をここに集めれますか?」
「いいよ。こいつが親玉か。あとで地獄を見せてあげるね」
私には何をしているか分からないが本当に怖い。
冒険者と奴隷商人がどんどん部屋に集まってきた。
Sクラスの冒険者まで人攫いか。
終わっていたんだな。
「終わったよ。全員動けなくしているけど次はどうしたい?」
「次は、冒険者が攫った子供たちをここに集めて下さい。その後に、奴隷商人が抱えている奴隷も集めて下さい。お願いします」
「分かった。ちょっとだけ時間が掛かるから待っててね」
孤児院だけでは支えきれない数になりそうだが仕方が無い。
どれだけ集まって、どれだけ親元に帰せるか…。
多い!
50人以上いるな。
しかも、エルフと獣人ばかりだ。
奴隷商人では手が出せないから、冒険者を使って攫ったのか。
最悪な状況じゃないか。
「終わったよ。これで、檻に閉じ込められていたり、働かされていた子供は全部だよ」
「ありがとうございます。怖い思いをした子供たちには悪いんだが、帰る場所が分かる子はどれだけいるか手を挙げてくれないか?」
手を挙げたエルフの子10人。
獣人の子2人。
人の子0人。
残りのエルフの子5人。
獣人の子10人。
人の子20人。
「シャーロット様。手を挙げた子供たちを親の元に帰してあげる事は出来ますか?」
「うん。できるよ」
「手を挙げた子供たちにお願いがあるんだ。シェリル街にいる吸血鬼の女の子に助けてもらったと親に伝えてくれないか?約束してくれるならすぐに親元に帰してあげれるが、どうだ?」
「エルヴィン、気にしてくれてありがとね。でもいいよ。怖い思いをして話せないんだよ。手を挙げた子は今から親の元に帰してあげるね」
見ていると本当に凄い。
親からしたら突然目の前に、攫われた子供が戻って来るから驚くだろうね。
問題は残された子だ。
人の子は売られたんだろう。
獣人の子は親が殺されている。
エルフの子は親の記憶が無いんだ。
難しい事を考えるのは止めよう。
まずは、この子供たちを保護してあげないと。
「シャーロット様。帰れない子供たちを連れて街に帰りましょう。処分は街からでもできますよね?」
「そうだね。子供たちに怖いものを見せる必要は無いから。じゃあ、帰ろう。転移魔法」
孤児院に移動してきて、すぐにカーリンに声を掛ける。
「カーリン、何人までならこの孤児院で面倒を見れる?」
「全部で20人が限界です。敷地に余裕はありますが、お風呂とトイレと食事が無理です」
「じゃあ、トイレを増やしてお風呂を拡張して食事の手伝いがあれば何とかなる?」
「はい。シャーロット様。それなら何とかなります」
「よし。今から孤児院を改造するよ。お風呂は10人くらい一緒に入れるようにすればいい。トイレは下水道と繋ぐだけ。食事も魔石があれば準備できるよね?」
私たちは唖然として見ていた。
魔法の延長なのだろうか?
木材も動かしているのだが…。
本当に規格外だよ。
お風呂は広くして大人でも5人は寝転がれるくらいだ。
上水道では他の地区に影響が出るかもしれないと考えたのだろう。
水の魔石を作って常時水が追加されるようにしている。
そして、溢れた水の排水は下水道に繋げているのだろう。
さらに、火の魔石を入れる場所を用意して温度調節も出来る。
トイレも同じものを簡単に用意してしまった。
食材の保菅箱も倍の大きさになっている。
台所も広がっている。
寝る場所が狭くならないように二段式になって階段で上に行ける。
子供が寝転がって落ちないように柵まで付いている。
そもそも、建物全体を広くしているから意味不明だよ。
魔石を用意したり建物を改造したり…。
本当に無茶苦茶だよ。
土地神様だよ。
「さあ、どうだー!」
「えっと…、完璧です。もう完璧過ぎて笑ってしまいますよ」
カーリンが笑顔で現実逃避している。
エルヴィンは苦笑している。
研究者からしたら堪らない状況だろうな。
子供たちが帰って来た。
「何かでかくなってない?」
「いや、中見たら別の家だよ」
まさにその通りだよ。
「仲間が増えたからね。あ、服と布団を買ってくるよ。転移魔法」
クリスタも帰って来たね。
「何か変わりましたね。えっと中は…、何ですかこれ?お風呂何時でも入れるじゃないですか。しかも、足を伸ばして入れますよ。泳げそうだし、流石最新式!」
「クリスタ。教師で誰か孤児院に住んで手伝ってくれる人はいないか?」
「女性ですよね?ちょっと聞いて来ます」
カーリンが現実に戻って来たみたいだ。
「はい。男の子は先にお風呂に入って。新しく来た子も一緒だよ。分かった?」
「「はーい!」」
「こら!新しく来た子たちは怖がっているんだから手を引いてあげなさい」
「分かってるよ。さあ、行こうぜ!」
「「うん」」
「女の子はちょっと待っててね。後でゆっくり入ろう」
「「はーい!」」
カーリンの適応力が高過ぎるね。
子供を動かすのが上手い。
「ただいまー。カーリン、獣人の子の分を手直しお願いね」
「分かりました」
「シャーロット様、先程の冒険者は適当に処理しておいて下さい」
「あ、固めたまま忘れてたよ。後で痛い目を見てもらうよ」
子供を攫うような冒険者だ。
地獄を見せてもらうんだな。
体が動かせない状況で放置も地獄だ。
完全に忘れられていたのが笑えるよ。
クリスタがビアンカを連れて来たね。
「ビアンカ、孤児院での生活に問題は無いかい?」
「はい。クリスタから話は聞いていましたし、子供だけなので大丈夫です」
「給料お願いしますね!」
「抜け目ないね…。分かってるよ。ちゃんと考えておく」
「エルヴィン、区長全員の給料を下げる案を出すから賛成してくれよ?」
「流石に賛成するわ。本当だったらどれだけお金が掛かったか分からないからな」
確かに設備投資と子供の服などを、全てシャーロット様が負担してくれているからな。
しかし、この状況で孤児院5万ギルは流石に酷いな。
子供の5000ギルも51人となると25万5000ギルか。
まあ、私の本来の仕事だな。
それにしても、本当に驚かされる。
シャーロット様の怒りは子供に絶対に向かない。
どれだけ怒っていても子供の前では出さない。
余程、大切に育てられたんだろうね。
冒険者が吸血鬼を育てるんだ。
相当な覚悟が必要だったはず。
同じ母親として尊敬してしまうね。
自分が育てた娘が500年以上も愛してくれるんだからさ。
少し触れましたがシャーロットは本当に愛されて育てられました。
だから子供には激甘です。