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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第2章 多種族国家シェリル

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閑話 ビアンカ 私の使命

国長()から御使命がありました。

ドワーフを導いてあげなければいけませんね。


いきなり地下に移住させるなど神の御業。

当然それを理解していると思いますが説明が必用かもしれませんね。


太陽光が苦手という事でしたので夕方に向かいましょう。

この国は女性だから夜は危険なんて事はありません。


神が見ていてくれますからね。


研究室から向かった方が楽ですね。

「カーリン、ドワーフの案内をしてくるわ。子供たちをお願いね」

「分かりました。神からの御使命ですからね。頑張って下さい」


勿論よ!

流石カーリンは分かっているわね。

任されている子供たちをカーリンにお願いして病院に向かう。


「こんばんは。研究所に入らせてもらいますね」

「ドワーフに会いに行くのですね。お疲れ様です」


受付の女性と挨拶をして階段を下りる。


ああ、本当に嫌な空気。

風の魔石で換気しているはずなのに、研究員の纏う雰囲気が駄目なのかしら。


まあ、いいわ。

恐らく、入り口は奥にあるでしょう。

ダミアンさんの研究場所の近くに入り口が出来てますね。


気のせいかしら?

ドワーフの方と既に話している気がしますが…。


私の仕事は族長を案内する事です。

無視して先に進みます。


突然こんな道を作ったなんて途轍もない事ですよ。

距離的にはそんなに歩かなくても大丈夫ですね。

西の森の真下に街を作ったのかしら?


下りにはなっていますが問題はありませんね。

ここは室内ですから雨で濡れる事はありません。

見えてきましたね。


これは凄い。

もしかして、街を作ったのではなく、そのまま移動させたのでしょうか?

古くから住んでいたような雰囲気を感じる街並みです。


新しく作り直したとは思えません。


近くにいたドワーフの女性に尋ねました。

「すみません。案内を頼まれたビアンカです。族長はどちらでしょうか?」

「あの柱が目印ですよ。あそこの家に族長がおります」


「ありがとうございます」

「私にも子供がおりますので、よろしくお願いしますね」


「お任せ下さい。この国は子供の教育に本気で力を入れています。大丈夫ですよ」

「そうですか。ありがとうございます。これからもお願いしますね」


「ええ。では失礼しますね」


柱や壁を近くで見ると、きめ細かい繊細な彫刻がされています。

魔石も加工できて装飾もできて手先が器用なのですね。

街の発展には欠かせないですね。


「こんばんは。案内を頼まれたビアンカです。族長はこちらにいらっしゃいますか」

「おお、儂がそうじゃ。待っておったんじゃ。あの酒が欲しくてのう。酒屋に案内して欲しい」


「それは、後でご案内します。まず、現時点で気になっている事はありませんか?」

「ある!ジェラルヴィーネという名前。ジェラルディーンを思い出す。何か関連があるのかのう?」


ああ、厄災の被害に遭ったのですね。

心配は要りませんよ。


「まず、土地神様のシャーロット様ですがジェラルディーン様と5回戦って一度も負けておりません。喧嘩友達ですね。毎回尻尾を斬り落として、目の前で焼いて食べられて悔しがる顔を眺めるのが好きみたいです」

「やはり桁違いじゃったか。あの厄災と喧嘩友達とは凄いもんじゃ。しかも負けておらんとはな。目の前で尻尾を焼くとは信じられんぞ。とんでもない事をするお方じゃな」


そうですよ。

とんでもないお方です。


神様ですからね。


「ジェラルヴィーネ様、愛称ヴィーネ様ですね。この国の長をしています。産みの親はジェラルディーン様ですが、卵を孵化させたのはシャーロット様の魔力です。その為、母親はシャーロット様です。最強ですね。この国は世界一安全でしょう。シャーロット様とヴィーネ様が常に守っていますから。ただ、仕事をせずに神に縋っただけの住民を二度、記憶を消して転送しています。普通に仕事をしていれば問題ありません」

「やはり繋がりがあったのか。しかし、シャーロット様の魔力の力まで得ているとは本当に最強じゃな。ただの吸血鬼には見えなんだが、まさか伝説の真祖ではないじゃろうな?」


なかなか博識ですね。

真祖を知っているとは。


「その通りでございます。伝説の真祖ですよ。普段は育ての親のお母様、人間の血を使って普通の吸血鬼の姿ですが本気を出す時は姿が変わります。ヴィーネ様はジェラルディーン様の力と真祖の力を使える古代種(エンシェント)ドラゴンです。ヴィーネ様の髪が銀髪なのは真祖になった時のシャーロット様の髪の色と一緒だからです」

「とんでもない事じゃ。洞窟の街を丸ごと移動させるのも納得の力がある訳じゃな。真祖と古代種(エンシェント)ドラゴンなんぞ伝説の生物じゃ。短命種からしたら神じゃな。儂らでも、やはり神として扱うべきだな。長命種のハイエルフや妖精はどうなんじゃ?」


「この国には2000年生きたハイエルフの長老がいますが、普通の人の扱いです。それほどお2人の力が桁違いなのです。ハイエルフも妖精女王も様付けですね。神扱いしているかどうかは分かりません。攫われていた人も含め、一度に5000人ほどのハイエルフを呼び寄せ、世界樹の植えてあげて、怪我をしている人たちを回復魔法で治癒しています。更に食糧となる果物の木も植え魔獣の脅威を無くす為に防護壁で囲った国を作りました。妖精女王は全ての攫われていた妖精を救ってもらいましたのでとても感謝されておりますね。ハーピィも同様です。世界樹も植えておりますよ」

「噂でハイエルフやハーピィが消えたのは知っておったが、実際、とんでもない事をしておるのう。世界樹を植えるとか、しかも複数植えるとか滅茶苦茶じゃな。どれ程の力があればそんな事が可能なのか想像出来んぞ」


お爺ちゃん。

神の力を想像しようとするから間違っているのですよ。


神なのですから分かる訳が無いのです。

ありのままを受け入れて下さい。


「そのようにして様々な種族を助け、この国を友好的な種族の中心地にするおつもりです。子供たちの教育を一手に引き受け、種族間の問題を起きないようにし、種族の特性を生かしたお店をそれぞれ用意してもらう予定のようです。この国はいずれ友好的な種族の集まる世界一安全な国となるでしょう」

「土台はできておるのじゃな。途轍もない程の魅力じゃな。既に世界一安全な国であるのは間違いないじゃろうし、この国に攻めるのは人間と獣人くらいじゃろうな。あやつらは相手の力を把握する能力が欠けておる者が多い。特に王族や貴族なんかは産まれた時から偉いから、自分たちは選ばれた存在だと勘違いをし他国を攻める。馬鹿な話じゃよ」


現在の国長はヴィーネ様です。

何の憂いも無く他国を滅ぼすでしょう。

シャーロット様の為に奴隷や孤児の子供は救うで救うでしょうけど。


区長会議という神を利用するふざけた制度も無くなりました。

実に素晴らしい国ができつつありますよ。


「今は夕暮れですし外を案内しましょう。子供たちにも学校の位置や勉強する時間を教えたいのですが、どうしますか?」

「それは、儂から伝えるようにしよう。数人を連れて行く。軽く街を案内して下され」


「分かりました」

「おい。各部署の代表を呼べ」

「かしこまりました」


「少しお待ち下され」

「はい。お待ちしております」


1人足りないと思いますけど、どうですかね。


「集まりましたが、研究部署の代表は既に研究室に乗り込んだようです」

「すいませんのう。馬鹿が先走ったようです」

「いえ、大丈夫ですよ」


太陽光が苦手ですから病院を通り学校に通うのが一番ですね。

帰りは森の中の出入り口を使いましょう。


「子供たちの事も考えて、日中に移動する事を想定して案内させて頂きますね」

「ええ。よろしくお願いしますぞ」


上り坂は少し疲れますね。

ドワーフの方たちは全然平気のようです。


体力が違うのですね。


「こちらが研究室です。様々な分野の研究をしております」

「ほぉ。素晴らしいのう。そして、お前は何故勝手にここにおるんじゃ?」

「族長。研究がしたいからに決まっているではありませんか!」


「研究馬鹿に種族は関係ないみたいですね」

「すみませんのう。ほっといて案内して下され」


階段を上り受付の女性に声を掛ける。

「今後ドワーフの方がここを通ります。よろしくお願いしますね」

「分かりました。では、他の職員にもそのように伝えておきますね」


「ええ。お願いします」


施設の紹介もしておきましょう。

「ここが病院です。魔法だけに頼らず病気や怪我の治療を行います。治療方法は日々研究中です」

「これ程の大きさの施設で治療を行っているのですか。回復魔法に頼らないのは素晴らしい事ですね」


「病院を出て北を向いた左手が孤児院、右手が学校です。ドワーフにも孤児がおりましたら、預かる事もできますよ」

「そうなんですね。この国で孤児が出る事はまずないでしょうが、その際はお願いします」


「学校は13時からです。授業の内容は日々違います。この国の歴史や、文字の書き取り、計算、魔法の知識、魔石の知識などを教えております」

「子供は通わせるべきですね。お2人の知識が詰め込まれておりませんか?」


「その通りです。シャーロット様は子供を大切にします。この国で一番施設が整っているのが孤児院で、子供の勉強内容を考えているのもシャーロット様です」

「絶対に通わせるべきです。確実に私たちの知らない知識に溢れています」


そうでしょう。

神として自然に崇めるように教育しますよ。


「真っ直ぐ北に行けば、お2人が住んでいらっしゃる社があります。大体何でもできるお方ですので困った事があった時はお願いに行って下さいね」

「そうじゃな。できない事はほぼないじゃろうな」


悲しい歴史があるのですよ。

シャーロット様にもできない事があるのです。


「では、お店に参りましょう。ここを南に進めば商店街です。酒屋、野菜・果物屋、肉屋、服屋などがあります。偶に近くの集落から持ち込まれた商品が売られていたりもしますよ」

「酒屋に案内してくれ。今日はそこまでで十分じゃ。あとは、ゆっくり探索するよ」


相当お酒が好きな様ですね。

目的は多分りんご酒でしょうけど在庫がありますかね?


「こちらが、酒屋です。何か買われるのですか?」

「おお、店主よ。りんご酒をあるだけ欲しいのじゃ」

「申し訳ありません。あちらの商品は毎日お1人様1本までとなっております。大人気でして、買えないお客様が大量に出てしまうのです」


「そうか。じゃあ、ここにいる人数分を購入したい」

「それでしたら大丈夫ですよ。5本で5万ギルです」


「儂が払おう。お前達にはドワーフ酒があるじゃろ?」

「族長が何かおかしい事を言っていますね。そのお酒を飲んだことがあるような口振りではありませんか。私は自分で払いますよ」

「勿論俺も自分で払うよ。族長の態度が怪し過ぎる」

「私も払おうかねえ。お酒は自分で買うもんだ」

「俺も。この国で大人気の酒の味を知りたいな」


「儂の言葉を無視するとは…。ぐぬぬ、仕方がない。今日は1本で諦めよう」


みんな気前よく購入しましたね。

お酒にお金を払うのに躊躇は無いようですね。


そして、すぐに飲むのですね。

明日からは明るい時間に購入しましょう。


りんご酒の売り切れだけは流石に許せません。

シャーロット様からお母様への愛が詰まったお酒ですからね。


「何ですかこの味は。美味過ぎる!この味で移住を決めたのでは?」

「たまんねえ。たまんねえよ!絶対にドワーフ酒が陳腐に感じちまう」

「ああ、本当に美味しいよ。これは秘密にしたくなる気持ちも分かるわ」

「やばい、これはやばすぎるだろー!こんな酒があるのか。毎日通うの決定だ」

「お主等、分かっておると思うが他の者たちには内緒じゃぞ。売り切れてしまうわ」


「当然の判断ですね。情報が漏れたら終わりでしょう」

「ああ、この約束は絶対に守る。漏らす様なへまはしねえ」

「秘密にするよ。売り切れたら街の人も可哀想だ」

「ああ、当然秘密にするぜ。毎日俺が飲めないのがありえねえからな」

「それならいいんじゃ。頼むぞ!」


何ですか。

この無駄な結束力。

でも、5人で秘密にしてくれたら売り切れはないですね。


ですが…。

私は油断はしない性格です。

毎日買い溜めしておきます。


お酒に満足したみたいでご機嫌に森の出入り口から帰って行きました。


子供たちにシャーロット様の素晴らしさを伝えるのが私の使命です。

ちゃんと学校に通わせて下さいね。

リンゴ飴にりんご酒がシェリル国の名産になりそうですね。

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