ドワーフを訪ねる
「おじさん、りんご酒を1本とブドウの樽酒をお願い」
「どこかに遊びに行くのですね。りんご酒はシャーロット様の植えたりんごで出来ていますので、大人気ですよ。お1人様1本までにしていますから。合わせて4万ギルです」
私はおじさんにお金を渡す。
「もしかしたらドワーフが街に来るかもしれないから、たくさんお酒が必要になるかもしれないよ」
「それは大変ですね。前もって手配しておきます」
「よろしくねー。転移魔法」
社に移動してヴィーネに尋ねる。
「ヴィーネ、ドワーフに会いに行こうよ。皆が自分たちで頑張っているんだよ。ドワーフがいた方が力強いよ。さらに街が発展するよ」
「来てくれるか分からないよ?頑固だし基本的に洞窟に住んでるから太陽が苦手かもしれないよ。まあ、行って聞いてみれば分かるね。じゃあ、行くよー。転移魔法」
ここは洞窟の入り口かな?
「ヴィーネ、なんでここに転移したの?」
「火吹きドラゴンの記憶だと、ここで攻防していたものしかないんだ。その後、洞窟に逃げたから火を吹くのを止めたみたい。迷惑な人だよ」
本当に迷惑だよ。
どれだけ被害をまき散らしているのよ。
注意しても全然治さないんだから。
ほんとにもう。
私達は歩いて洞窟を進む。
中に人がいるのは分かっているから道に迷う事はないけど、入り組んでいるね。
あえて迷路のように掘っているのかも。
道に迷わずにドワーフだと思われるおじさんに出会う。
人間の大人の平均的な身長の半分くらいかな。
でも、体系は樽みたい。
手足は太いから力強いかも。
「こんにちは。あなたはドワーフですか?私はシャーロットです。隣は娘のヴィーナです」
「お、お前は吸血鬼じゃないか?た、助けてくれ。俺の血は上手くないぞ」
意外と臆病なのかな?
それとも、私達の雰囲気を感じているのかな?
「吸血鬼なのは正解だけど500年以上誰の血も吸ってないし、肉も食べてないから安心してよ。お酒もお土産で持ってきたんだ。話がしたいんだけど駄目かな?」
「母さんお酒を買いに行ってたんだ。まめだねー」
おじさんはお酒という言葉に少し反応した。
だけど恐怖が勝っているみたい。
口を開いてくれない。
開けないのかも。
「うーん。おじさんが皆に紹介してくれないと勝手に奥に入って行っちゃうよ?それでもいいなら私も好きにさせてもらうんだけど、どうする?」
「俺が警備をしてるんだ。それは流石に困る。何もしないと約束してくれるのか?来た理由を聞かせてくれないか?」
警備がこんなに怖がっちゃ駄目だよ。
でも、逃げないだけましかな。
「私たちは今、多種族が暮らす国を作っているんだ。それでハイエルフと妖精とハーピィは全て救ったんだよ。ドワーフは魔石の加工ができるって聞いてね。街の発展に欠かせない存在じゃないかなと思って誘いにきたんだ」
「その話は嘘じゃなさそうだ。噂で聞いたんだ。攫ったハイエルフやハーピィが突然消えたってな。あんた達が救ったて言うなら納得だ。桁違いに強いだろ?分かった。奥に案内する。付いて来てくれ」
魔石の加工もできるって事は魔力が見えているのかも。
頭に魔力を集めていないから種族特性かな?
だから怯えていたのかもしれないね。
おじさんの後を付いて歩いて行く。
やっぱり複雑にして敵の侵入を防いでいる気がするな。
結構距離を歩いた後に、やっと他のドワーフたちが見えてきた。
光の魔石で照らしているね。
みんな私たちを見て怯えている。
やっぱり魔力が見えているのかも。
気にしても仕方がないね。
この先の事だけ考えよう。
おじさんに連れてきてもらった場所が族長の家かな?
洞窟を掘って作った家だね。
明らかに天然の洞窟じゃない。
壁や柱が綺麗に装飾してあるから。
「族長。お客さんだ。ドワーフの力を借りたいそうだ」
「とんでもないお客さんじゃなー。お前が殺されていない所を見ると敵対するつもりはないみたいで安心じゃよ。どんな御用ですかな?」
族長というより長老みたい。
白い立派な髭があるからそう思うのかな。
「私たちの国で一緒に暮らさない?今、友好的な種族を集めた国を作っているんだよ。ハイエルフと妖精とハーピィは世界で私たちの国の近くにしかいないよ。それで、ドワーフは魔石を加工できるらしいし、街の発展に力強い存在になってくれそうだから誘いに来たんだよ」
「とんでもない話じゃ。あの噂が事実って事か。人間や獣人が怒り狂っていそうなのが笑えるのう。儂らの国も作ってくれるという事かな?」
「太陽が苦手なら地下に街を作ってもいいよ。地上でも大丈夫なら土地が余ってるから一緒に暮らしてもいいよ。どちらにしろ、ドワーフは皆一生懸命に働くでしょ?だから好きな方でいいよ。母さんは今まで人間や獣人を救ってきたけど、今は友好的な種族を救う事に変えたんだ。もちろん子供の奴隷や孤児は保護するけどね。私たちの街に怪我人や病人は1人もいないよ。母さんが全て治してあげているから。でも、研究も進めている。様々な分野の研究にもドワーフの力があれば心強いって思うんだ。どうかな?」
ヴィーネの説得は凄いね。
様々な知識があるから誘い方が私とは違うもん。
悔しいけど私の娘だから許せちゃう。
「とんでもない話じゃな。地下に街を作ってくれるのか。儂らはどうも眩しいのが苦手でのう。別に太陽の下にも出れるんじゃが眩しくて仕方がないんじゃよ。話を聞く限りだとこれからの文化の発祥の地になりそうじゃな。儂らは研究や開発が好きなんじゃ。魅力的な話じゃ。所で酒はあるのかのう?」
「気にすると思ったよ。お勧めのお酒を買ってきたから飲んでみてよ」
時空魔法でりんご酒と樽酒を出した。
「りんご酒と樽はぶどう酒だよ。他にもお酒はいっぱいあるけどりんご酒は格別だと思うよ。私が丹精込めて育てたりんごだからね。飲んでみてよ」
(へー、あれは丹精込めた呪文だったんだ)
何か聞こえたけど気にしなーい。
「じゃあ、お勧めのりんご酒を頂こうかのう。ゴク、ゴクゴク…。美味過ぎじゃー!たまらん、たまらんぞー!」
お爺ちゃんが叫びながらりんご酒全部飲んじゃった。
皆で飲んで、来る気になったら嬉しいなって思っていたんだけど…。
「決定じゃ。この酒だけで移住する価値がある。ドワーフは世界中に散らばっておるが儂の部族は1000人程じゃ。奴隷になったりはしとらんから救う事は考えんでもええぞい。できれば洞窟に住みたいのう。じゃが、地下を同じように掘ってくれても構わん。お主等には簡単に出来るのじゃろう?」
「西の森の地下を掘ろうか。あそこなら誰もいないし、木の根が届かない程深ければ問題もないでしょ。中央の研究所とも繋げれば更にいい感じじゃないかな。どうかな母さん?」
「いいと思うよ。あそこなら上下水道の設備ともぶつからないからね。設備が気に入ったら街に住んでもらえばいいよ。この洞窟の入り口からだと遠くなるし、皆が住んでいるこの場所をそのまま作ろうか。魔獣や密偵が国に入らないように結界を張っているから地上に掘り進むのは止めてよ。あと、地下水脈やダンジョンを掘り当てたらすぐに報告してね。子供たちは勉強してるんだけどドワーフはどうする?文字の書き取りや、計算、魔法の使い方を教えてるんだよ」
「素晴らしいのう。このままを作ってくれるのか、流石じゃのう。内容を聞く限りだと、子供たちには勉強をさせたいのう」
「母さん、この空間を切り取って交換した方が早いよ。次元切断すればイメージしなくてもそのまま移動出来るじゃん。国長の私がするよ。母さんが力を使おうとすると姉の血が騒ぐからね」
「流石ヴィーネちゃん。私の娘だね。もう何でもありだよ。国の事は任せたよ。私はお願いを偶に聞くだけの土地神様だよ」
「この空間を切り取るじゃと?お主等一体何者なんじゃ?やろうとしとる事は理解できるのじゃが、それをできる存在がおるのか。なるほど。土地神様と呼ばれるのも納得じゃのう」
「やるのは国長の私だよお爺ちゃん。私たち2人とも国では神様扱いされてるんだ。じゃあ移動しちゃうよー。力を解放!次元切断、次元交換。移動終了ー。地上との出入り口を森の中に作るよ。土魔法。あと、研究所にも繋げてあげるね。土魔法。作った道は掘らないでよ、一応コンクリートで作ったから色で分かると思うけど族長からも説明しておいてね」
「ま、まさか、もう終わったのか?儂らはお主等の国にいるのか?意味が分からんぞ。本当に神じゃないのか?儂は皆にそう説明するぞ」
「私の娘は凄いね。もう、可愛いよ!皆への報告は国長がしてね」
娘の頭をなでなでしながらお願いする。
なかなか報告しないから、ほっぺたをプニプニする。
「分かったよ。もう!」
念話。
「ドワーフ1000人程を国に招待したよ。西の森の地下に移住したよ。入り口は森の中にあるよ。研究も好きみたいだから研究所とも繋げたよ。魔石の加工もできるし装飾品が得意だよ。色々と相談し合ってね。ドワーフの子供たちも学校に通うからビアンカ説明よろしく。太陽光が苦手みたいだから隅の席にしてあげてね」
ちゃんと報告したから抱きしめて頭をなでなでする。
「偉いよー!流石ヴィーネだよ。もう完璧だよー!」
「分かったから。ここでは恥ずかしいからもう止めてよ…」
照屋さんだなー。
「ドワーフは個人に名前はあるのかな?私たちはシャーロットとジェラルヴィーネ、愛称ヴィーネだよ。国の一番北にある社に住んでるよ」
「あるぞい。儂の名はアンゼルムじゃが、ジェラルヴィーネ…、似ておらんか?」
「何か困った事があったら社を訪ねてよ。母さん行こうか。またねー。転移魔法」
族長が気にしていたけど無視して社に帰って来ちゃったよ。
多分、ジェラ姉ちゃんとの繋がりを気にしたんだね。
ビアンカが説明してくれるよ。
あら、ヴィーネがぷんぷんしてるよ。
「人前でなでなでしないでよね。恥ずかしいから禁止だよ!」
なでなでしながら答える。
「分かったよ。人前ではしないよー」
「もう。本当にもう!」
怒っている振りしても顔がにやけているよ。
可愛い性格をしているなー。
「洞窟に入ったしお風呂に入ってから寝ようか」
「そうだね。やっぱり外の空気が最高だよ」
一緒にお風呂にゆったりと入り、一緒に布団に入る。
「じゃあ寝ようか。おやすみー」
「おやすみー」
ジェラ姉ちゃんはドワーフの国を作るんだよね?
関係無いし放置しておこう。
それにしてもヴィーネ凄過ぎるよね。
ジェラ姉ちゃんの力も、その姉の力も、私の力も使えるよ。
可愛い私の娘だから当然だよね。
国長に指名されたビアンカは喜んでいます。




