土地神様の観察
なるほど、なるほど。
エルヴィーラは結界の魔石を自分で用意したいんだね。
私にお願いすれば簡単だけど恐縮しているのかな?
ダミアンと会った後にレナーテと会ったのは結界の魔法を使えるか確認したかったのかな?
レナーテは万能だから結界の魔法は使えるね。
ダミアンの所に戻ったのは魔石を買おうと思ったのかな?
きっと、全部私からの貰い物で怒ってるんだね。
仕方が無いから子供たちに探してもらう事にしたのかな?
うんうん。
お菓子があれば、あの子たちは頑張るよ。
あの勢いを見ると、お菓子食べ放題に近い感じだね。
エルヴィーラも商人なのに太っ腹だね。
それで、子供たちが魔石を見つけたけど足の速さが種族によって違うと。
エルヴィーラとクリスタの前で身体強化して走ってるねー。
足の遅いハーピィを背負って追いかけたから慌てたかな?
んー、素晴らしい光景だね。
ゆるーす!
「母さん、何を笑顔で街の様子を伺っているのさ?」
「ん?種族なんて関係ない友情を目にして喜んでいるんだよ」
「あー、今街の中を身体強化した子供が走っていたね。他の子供を背負っていたから罰は無しかな?」
「その通り。まあ、皆お菓子を前にしちゃうと無意識に身体強化しちゃうんだけどね。ちゃんと遅れる子が出ないように背負ったのは素晴らしい事だよ。未来は明るいね。そろそろエルヴィーラがお願いに来る頃だよ」
「魔石を削るんだね。ドワーフならできると思うよ」
「おそーい!知ってたなら先に言ってよ。自分たちで頑張ろうとしてるんだよ?」
「ダミアンが毎回魔石を貰いに来るから、当然の事だと思ってたんだよ」
「ダミアンは研究に使ってるからいいの。個人利用じゃなく街の発展になるから許してるんだよ。毎回魔石と魔法を要求するのは、ダミアンや研究員しか流石に許さないよ」
「まあ、そうだよね。選別した意味ないからね。でも、社に来る人の数は変わらないね」
「やっぱり、それが答えなんじゃないかな。黙って施しを待っていた人を飛ばしたんでしょ?社に来ている人も健康祈願とか、私達の幸せとか、そういう理由でしか参拝してないからね。変わらないって事は、いい選別だったって事だよ。流石私の娘だね。賢い子なんだから」
頭をなでなでしてあげた。
照れているけど喜んでいるね。
優しい子だから無暗に殺されないように、ちゃんと送り飛ばした。
獣人は獣人の里。
元冒険者は冒険者組合。
それ以外の人で減った人は余りいないんだよね。
しっかり働いている人は残してるんだよ。
厳しい事を言っていたけど優しいのはお婆ちゃん譲りかな。
エルヴィーラが向かって来たね。
お仕事をしようかな。
「ヴィーネ、代わりに魔石加工する?」
「母さんの魔石の形は品が無いから私がしようか?」
な、なんですと?
とんでもない事を言ってくれるじゃない。
「発動する向きを分かりやすくした形だと思うけど?」
「発動する向きが分かるって言ってもさ、入れる魔法によって形を変えた方が素敵じゃない?毎回瓢箪みたいな形にしてるからおかしいよね。別に三角形でも台形でもいいのにさ。もう、頭の中が瓢箪だよね」
「むむむむ、見せてもらおうじゃない。あなたの魔石加工の実力をね」
笑っているよ。
自信があるんだね。
いいじゃない。
母を超えてみなさいよ。
そして、ドワーフを探そうか本気で考える事になった。
エルヴィーラも首から下げられる形で大満足だよ。
少しだけ厚い板状の台形だね。
結界の形を聞いてから魔石を加工したね。
母さんは負けたよ。
優しさの詰まった魔石加工だったよ。
「母さんは寝ます!」
「負けたからって怒らないでよー」
「負けてません。寝ます!」
「はいはい。寝ましょうねー」
これじゃあ、どっちが子供か分からないじゃない。
「じゃあ、おやすみー」
「おやすみー」
私の勝ちー。
甘えん坊のヴィーネちゃん。
すぐに抱き着く癖が出ていますよ。
街は常に観察されています。
神の目から逃れる事は出来ません。




