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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第2章 多種族国家シェリル

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閑話 エルヴィーラ 残された人

街が静かになったね。

街長が選別のお願いをしたのかね。


グスタフは消えたかい。

まあ、当然だろうね。

組織の隊長として自分の力を誇示したかったんだろう。

区長なのに国を守る気概も無いとは情けないもんだよ。


エルヴィンも消えたかい。

まあ、仕方が無いかもね。

声が大きいだけで仕事をしていないからね。

シャーロット様にお願いしていたお陰で仕事をしていたように見えただけ。

国に必要な人かどうかと問われたら、確実にいらないだろうね。


私も煩い馬鹿は嫌いだからね。


残った区長は研究馬鹿のダミアンと私だけかい。

無意味な区長たちだったという証明だよ。


ダミアンは区長を辞めたがっていたから喜んでいるだろうね。


私は年寄りの婆だが仕事だけはしていたから残れたのかね。

まあ、残った理由はこの際関係ないよ。

仕事をきっちりすればいいのさ。

区長として集まる必要がないだけ楽になったよ。


そうだ、研究馬鹿に頼んでおいた話を確認しないとね。

正直入りたくないんだけどさ。


時間くらい守りな。


研究室のある病院に入る。

「エルヴィーラさん、具合が悪いのですか?」


受付に声を掛けられたよ。

まあ、仕事だからね。


「いや。研究室に用があるんだが入ってもいいかい?呼んでも出て来ないだろう?」


「街の人なら入っても大丈夫ですよ。誰も入りたがらないだけですから」

「そうだよね。本当に研究馬鹿は限度を知らないからね」


「ええ、早めに出て下さい。あそこの空気は体に悪いですからね」

「ありがとう。そうさせてもらうよ」


下りたくない階段を下り、奥に進む。

すれ違う人、全員の目が充血しているのは気のせいだと思おう。


病院にいるんだ。

目薬ぐらい貰いに行けばいいものを…。


「おい、ダミアン。約束の時間は過ぎていると思うがね」

「ああ、エルヴィーラさん。すみません、研究中は時計を見ないので。勿論研究に必要な時は時計を見ますけどね」


馬鹿の言い訳は馬鹿過ぎて聞く気も起きないよ。


「それよりどうだい?結界の魔石は実用可能かい?」

「身に着ける大きさで常時発動を考えたんだがね、自分を守るだけで荷物までは無理だね。荷物まで守りたいなら、それなりの魔石を荷物に積んでおく必要が出てしまう。余計な危険が増えてしまうと思いますが、どうですかな?」


「そうだね。そもそも魔石は貴重品だ。持ち歩いていると思われたくない。身に着けて服の下に隠しておくのが一番だろうね。そうしないと、魔石を狙った待ち伏せがあるかもしれない。面倒はごめんだよ」

「常時発動は絶対条件として、どれだけの攻撃を防ぎたいのですかな?攻撃が連続であるような状況だと魔力の消耗が大きくなる。常時発動させるための魔石の大きさもそれなりになります。一撃耐えて逃げてを繰り返すなら、ポケットに入るような大きさですね。ただし、攻撃を連続で受け続けてしまうと、魔石の魔力回復量より消費量が勝ってしまう。つまり透明な魔石になってしまうんですよ。そうしたら終わりですね」


なるほどね。

結界は常時発動だから魔力を消費し続ける訳だ。

攻撃を受けると魔力の消費量が増えてしまい回復量を超えてしまう。

保険をかけて、二連撃耐えても回復量が上回る方が安全だね。


「二連撃耐えれる魔石なら持ち運びできそうかい?」

「それだと鞄に入れて持ち運びか、シャーロット様にお願いして首からぶら下げられるように魔石を加工してもらうかだね。ただ、結界の魔法の特性上、完全に特注品だよ。大きい魔石で広めに守ればいいけど、それだと目立つ。小さい魔石で身に着けるなら結界の魔法を自分の体に合わせて発動してもらう必要がある。どちらにしろ、守る対象者を魔法使いに選んでもらう必要があるからね」


なるほどね。

人により身長も歩幅も違うから魔石の大きさも変わるね。

さらに、守る対象者を決めてもらわないと意味がない訳だね。


特注品なのは決定だね。


「聞きたいのだけど結界の魔法を使える人はこの国にいるのかい?」

「勿論お2方もいるよ」


この研究馬鹿が。

その時点で完全に特注品を超えてるよ。

土地神様に何度も用意してもらうなんて恐れ多いよ。


「ちょっと待った。あんたレナーテに確認したかい?」

「ん?彼女は孤児院を手伝っているだけじゃないのかい?」


これだから馬鹿は嫌なんだよ。

病院を手伝っていて今は魔法の教師をしているよ。


「あんたじゃ話が長くなりそうだ。私が確認してくるよ」


本当に少しは情報にも気を配りな。

ああ、面倒だね。


「要件は無事に終わりましたか?」

「全く終わってないよ。また戻る事になるからよろしくね」


「お疲れ様です」

「全く、その通りだよ!」


今の時間は授業中だけど今日の担当はレナーテじゃないはず。

孤児院に向かおうか。


「邪魔するよー」

「珍しいですね。どうしたんですか?」


カーリンに声を掛けられたよ。

珍しいと言うより初めて入ったからね。

施設を確認するまでもなく整っているだろうね。

この国で一番設備が充実しているのはここかもね。


「レナーテを呼んでくれないかい?」

「分かりました。上にいると思いますので呼んできます」


レナーテが来るまで施設を眺める。

整いすぎだよ。


これを知ったら辞められないね。


「何か御用でしょうか?」

「ああ、すまないが聞きたい事があるんだよ。結界の魔法を使えるかい?」


「はい。私の魔力ですと馬車を守るのでぎりぎりですが、使えますよ」

「素晴らしいじゃないか。魔法を使えるだけで十分さ。魔石に魔法を入れてもらいたいんだが、いくら払えばいいかね?」


「別にお金は要りませんよ。お給料を貰っていますから」

「商人としてそういう訳にはいかないよ。仕事には対価を払うべきだ。この国で結界の魔法を使えるのは3人しかいないんだ。それだけでも貴重だよ」


「カーリン、結界の魔法をお金に換算すると、いくらになるのか分かりますか?」

「冒険者が結界の魔法で道中を守ってもらうとしたら、距離によりますが数十万ギルです。魔石に魔法を入れるのでしたら1回1万ギルくらいでいいと思いますよ」


「では、1回1万ギルで魔石に魔法を込めます」

「そうかい。助かるよ。ところで、結界について聞きたいのだが体に密着するように魔法をかけるのと、三角形や四画形で魔法を発動させるのは、どちらが魔力消費量が大きいんだい?」


「体に密着させるような結界は私には無理です。魔力量よりも魔力操作が難し過ぎます。恐らく消費魔力は少なくて済みますが、この国の神様しか無理です」

「分かりやすい回答で助かるよ。ちなみにだけど、私が歩いても問題ない結界を張る場合、一日に何回魔石に入れれるかい?」


「魔石を用意して頂ければ、その日のうちに全ての魔石に入れれると思います。教師が休みの日の授業中なら時間が空いている事が多いので、50個までですかね。あとは、子供達の相手をしないといけませんので」

「研究馬鹿と違って分かりやすくていいね。ありがとうよ。じゃあ、今後お願いすると思うから、その時によろしくね」


「はい。分かりました」

「邪魔したね」


手を振って孤児院を出ると嫌な研究室に戻った。

「おい、研究馬鹿。レナーテも結界を使えるよ。1回1万ギル払うという事で交渉してきた。体に密着させるような結界は神様しか無理だそうだ。一応言っておくけど、ここには連れ込めないからね。教師が休みの日に50個までと決めてきたからね」

「何という事を…。それでは研究の進捗に影響が出てしまうではありませんか」


「あんた馬鹿かい。孤児院の子を研究室に閉じ込めたらシャーロット様に罰を与えられるよ。それで、二連撃耐えられる魔石をとりあえず10個ほしいのだけどねえ。いくらだい?」

「値段はシャーロット様に聞いて下さいよ。私はシャーロット様に貰っているだけですから」


この研究馬鹿。

魔石を貰い続けていたんだね。


「じゃあ、今魔石を持っているのはシャーロット様しかいないのかい?あんた、探せるようになるって言っていたじゃないか」

「勿論探せるようになっているよ。探す時間が勿体無いだけさ」


この大馬鹿が。

結局シャーロット様にお願いしないといけないじゃないか。

お願いするなら、ついでに魔法も込めてもらえばいい。

完全に神宝になってしまうじゃないか。


「神様以外で魔石を探せるのは誰か知ってるかい?」

「私が知っているのはクリスタと長老と子供たちですね」


まずは、子供たちに国内の森の中を探してもらうのが一番だね。

外に出れるのは長老とクリスタだけど流石に頼めないね。


「とりあえず1つ見本を寄越しな。子供たちに国内の森で探してもらうよ」

「それはいいね。どんな大きさでも私が買い取るよ」


「ああ、それも伝えておくから早く見本を寄越しな。探せないだろ?」

「これだよ。ちゃんと返して下さいよ。私がお願いして貰ったんだからね」


本当に手間のかかる馬鹿だね。

二度手間だよ。


私はやっと嫌な空間から抜け出せた。

「お疲れ様でした」

「本当に疲れたよ。二度と来たくないね」


時間は潰せたみたいだね。

ちょうど授業が終わった所みたいだ。


「ちょっと皆にいい話があるよ。国内の森で魔石を見つけてくれたら買い取るよ。この大きさなら1万ギル。それ以外でも全て買い取る。どうだい、宝探しみたいで面白いだろ。やるかい?」

「やるやる。おい、皆、本気で探そうぜ。お菓子食べ放題だよ」

「そうだね。皆で探せばすぐだよ。行こう」

「食べ放題か。毎日選べるよ、全力だー!」


今日はクリスタの授業だったね。

「エルヴィーラさんは魔石を探しているのですか?」

「ああ、国を出る時に結界の魔石が欲しくてね。あんまり神様に頼み事ばかりしても悪いからね。なるべく自前で用意しようとしているのさ」


「なるほど。ダミアンさんみたいに貰い続けるのは異常ですからね」

「あいつは馬鹿だから何とも思ってないんだよ。土地神様の物を貰っている自覚がない。研究材料を貰っているとしか思ってないのさ」


「国内の森にありますかね。ハーピィの森も探して、更にハイエルフの国にまで行きそうな勢いでしたよ?まあ、子供だから問題ないと思いますし、ハイエルフもハーピィも一緒ですから大丈夫でしょうけど」

「ああ、子供は素直でいいよ。10個くらい集まれば上出来なんだけどね。小粒のは全部ダミアンに1000ギルで買わせるさ。働いてくれているんだ。報酬は必要だろう?」


「そうですね。お菓子が買えるだけで喜びますから1000ギルで十分ですね」

「あのバカの研究も国の為にはなるからね。ふっかけるのは止めにしておくさ」


「商人らしくないですね。儲けを出さないなんて」

「いいのさ。国の発展の為だ。それくらいの分別はあるよ。じゃないと飛ばされていたさ」


「ああ、選別がありましたからね。残った人はそれだけで十分ですよね」

「そうそう、残っただけで十分。仕事を一生懸命にするだけで残れたのに、この有り様は情けないとは思うけど、それだけシャーロット様に縋っていた馬鹿が多かったって事さ」


「厳しい選別に見えて優しい選別だった訳ですね。本当に駄目な人が多かったんですね」

「そういう事さ。残念だが子供たちがすぐに大きくなるし、様々な種族が国に来るようになる。賑やかな国になると思うよ。その時までは生きていたいね」


「まだ大丈夫ですよ。歩けているうちは元気な証拠です!」

「そうだね。商人だし歩き続けるさ」


「みんなー、今日のお菓子代は見つけだぞ!掘り起こすから手伝ってくれ」

「おおー、任せろ!」

「全力で掘るぞー!」


もう見つけたのかい。

やるじゃないか。


「ところで魔石を削れるのは誰か知っているかい?」

「勿論土地神様だけですよ」


「結局振り出しに戻るのかい。まあ、削ってもらうだけのお願いならいいかね」

「そうですよ。健全なお願いです。今の人には不可能ですから」


泥だらけの子供たちが大きな魔石を持ってきた。

「どうかな?10個分くらいありそうじゃない?」


本当に大きいね。

やっぱり子供たちは凄いね。

この子たちが国を作るんだ。

楽しみで死ねないじゃないか。


「ああ、10万ギルをお菓子屋に払おう。子供が持つ金額じゃないからね。おやじが駄目と言うまでお菓子を貰い続けな。あとから私が払いに行くと言っておいて頂戴」

「おおーー!みんなー、お菓子貰いたい放題だぞー。今後も魔石を探そうぜ」

「おい、待て。走って向かうんじゃねーよ」

「ハイディも食べたい!食べたい!」

(しがみ付くな。背負ってやるから。お前らもハーピィを背負ってやれ)

(分かってるよ。背負ってやるから、大きくなったら空を一緒に飛んでくれよ)

(もちろんさ。お願いね!)


昔を思い出すね。

お菓子屋に走って買いに行く。

楽しかったもんだよ。


「おやおや、クリスタ。子供が子供を背負って元気に走って行くよ。身体強化使ってないかい?」

「そうですか?感動的な光景で涙で前が見えないですよ。神様に判断してもらいます」


「くっくっく。確かにもう見えなくなったよ。今時の子は足が早いねー」

「子供たちはお菓子の魅力には勝てませんから」


これは10万ギルじゃ足りないかね。


まぁいいさ。

綺麗な光景を見せてもらったよ。

素晴らしい国になる未来がそこまで来ているじゃないか。

神様は許してくれました。

感動的な光景でしたから。

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