閑話 エルヴィン 飛ばされた先
何だ?
何故俺はここにいる?
冒険者組合の組合長の部屋だよな…!
「お、おい、アリスター!俺は何故ここにいる?他の奴らも元冒険者だな。何があったか分かるか?」
「お前たちがいきなり転送されてきた。俺も分からん。何故お前たちがここに来るんだ。国で仕事があるだろ?まだ冒険者組合に膿が見つかったか?」
「ちょっと待て、国で仕事って何だ?俺は国で働いていたっていうのか?俺がか?ありえねーだろ。俺が誰かの下について働くとか、もしかして操られていたのか?ダンジョンで何かあったか?」
「お前、本当にどうした?吸血鬼と一緒にここに来たじゃないか。ああ、記憶を消されたのか。それなら納得出来るぞ。何かしたかしらないが命があって良かったな。まだ好きな事が出来るじゃないか」
「はぁ?吸血鬼と働いてたって事だろ?操られていたに決まってるじゃねーか。お前何言っているんだよ。相手は魔人だぞ。俺が素直に言う事を聞くと思うか?ありえねーだろ?操られて記憶まで操作されていたって事だろ。当然殺しに行くに決まってるだろ。どこにいるんだよ?」
「止めておけ。全員即座に殺されるだけだ。Sランク冒険者が一瞬で殺される相手にお前が何かできるのか?そもそも、吸血鬼は別に悪い事はしてないぞ。お前を操っていたかどうかは流石に分からないが、人攫いする冒険者を始末して攫われた子供たちを助けただけだ。お前もいただろ」
「ああ、Sランク冒険者が即座に殺された記憶もあるな。子供を助けた記憶もある。だが、誰がやったか分からねーな。俺が国では扱き使われていた可能性だってあるだろ?子供を助けた吸血鬼は血を求めていただけかもしれないじゃねーか。吸血鬼だぞ?子供の血が好物だった可能性もあるじゃねーか」
「それは無いな。あれだけの力があれば、ここに来て冒険者が攫った子供を集めるまでも無く、どれだけでも子供の血を集めれる。お前たちは近寄らない方がいい。記憶を消された原因は知らないが確実に殺される相手だ。殺されに行きたいのか?」
「お前が見てそれ程か。じゃあ、誰か聞きに行ってくれよ。流石に殺されに行く気はねーからな。お前組合長だろ?ちょっと誰かを聞きに行かせてくれよ」
「駄目だ!危険すぎる。冒険者組合から接触をする気はない。敵対行為だと思われたら皆殺しになる。そんな危険を組合長の俺が指示できる訳無いだろ。相手は記憶を覗けるんだぞ。秘密に送る事も不可能だよ。諦めろ。冒険者に戻ってダンジョンに潜るか別の仕事をするかした方がいい」
「おいおい、俺は生きてるじゃねーか。それ程の力があるなら何故俺を殺さないんだ?記憶を消すまでが限界で、俺が動き出す前に即座にここに飛ばしたんだろ?今は弱っているかも知れねーぜ。絶好の機会じゃねーか。冒険者全員で滅ぼそうぜ」
「あり得ないな。俺の予想だと、お前達が悪い事をして、国と吸血鬼の記憶を消されて飛ばされただけだと思うぞ。恩情で助けられただけだよ。確実にな。それほど桁違いに強いんだ。頼むから馬鹿な真似はするな。冒険者は首の皮1枚で繋がっているんだぞ?お前が全員の首を切るのか?」
「意味が分からねーよ。何で全員なんだ?俺が動いても俺が死んで終わりじゃねーか。それが冒険者全員の責任になる意味が理解出来ねーよ」
「お前たち元冒険者がここに飛ばされたからだよ。冒険者を判断するつもりかもしれない。相手は世界中の人間をどこからでも殺せるような化け物なんだ。記憶を消したお前たちを送り込んで冒険者組合の動きを監視している可能性もある。馬鹿な真似をするなら拘束するぞ。冒険者組合の膿を全力で出しているんだ。支部も含めてだ。お前の行動で世界中の冒険者が殺される。いいから理解しろ。何でお前は人の話を聞かない。お前は記憶を消されているなら、俺の話を信用するべきだろ?違うのか?」
「お前、ここに吸血鬼が来た時に操られたんじゃねーのか?今も操られている可能性があるだろ。何でお前の話が確実に信頼できる。吸血鬼と会った事があるって事は操られている可能性もあるじゃねーか。違うのかよ?」
「お前は馬鹿か?俺を操って冒険者組合を綺麗にして何の得があるんだ。意味が無いだろ。そんな事も理解できない頭で働いていたのか?口だけの男だったんじゃないのか?あまりにも口だけだから、記憶を消されてここに飛ばされたんじゃないのか?俺はそう思ってきたぞ」
「はぁー?俺が口だけだって言うなら今から攻めてやるよ。居場所を言えよ」
「それが馬鹿だって言ってるんだ。何度も同じ話をさせるな。無駄だ。口だけじゃないなら、お前は馬鹿だよ。馬鹿だから記憶を消された、それでいいだろ。もう終わりだ」
「終わる訳ねーだろ。馬鹿にされて黙ってられるかよ。自由を愛する冒険者が馬鹿にされたままでいいのかよ?いいわけねーだろ」
「馬鹿で口だけじゃないならSランクを超えてくれ。下にいるから殺し合いでもすればいい。あの吸血鬼に勝つにはSランクじゃ足りない。口だけじゃないなら、ここにいるSランクに勝ってみろ。ここでやるのは止めてくれよ。汚れるからな」
「何でSランクに勝つ必要があるんだよ。ランクなんて関係ねーだろ。俺が乗り込むっつってんだよ。早く教えろよ」
「話を聞く気もないのか。お前はなんだ?ただの元冒険者だろ?俺は組合長だぞ。今まで黙って聞いてやったが限界だ。下にいる雷切を呼んできてくれ」
「かしこまりました」
「おいおい、ここでは汚れるから戦わないんじゃないのかよ?」
「戦いにならないから心配するな。血も出ないだろうよ。お前Sランクと戦いができると思っているのか?本当は怖いだけだろ。残念だがもう遅いよ。俺にも我慢の限度ってものがある」
「組合長、用件はなんですか?」
「ここにいる奴らを殺しても気絶させても構わんから、部屋を汚さないように対処してくれ」
「ちょっと報酬下さいね」
「ああ、俺の財布から報酬を出すよ」
「なめ…」
「他の人達は戦う気が無さそうですけど、どうしますか?」
「そうだな。こいつと同じ理由でここに送られてきたとしたら危険だな、全員頼むよ」
これは冒険者組合に対するヴィーネの嫌がらせです。
シャーロットを何度も悲しませてきましたからね。
組合長の対応が間違っていたら滅んでいました。




