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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第2章 多種族国家シェリル

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閑話 グスタフ 飛ばされた先

俺は何故ここにいる?

いつからここにいるんだ?


「グスタフさん?また会いましたね。何してるんですか?後ろのやつらは部下ですか?」

「ん?分からん。俺は何をしていたんだ?後ろの奴らだと?」


俺は後ろを振り向いて同じように頭を抱えている獣人を見た。

皆知っている顔だ。


「え?シェリル国の区長じゃないですか。獣人を纏めてるんじゃないんですか?」

「ん?そんな国知らないぞ。何を言ってるんだ」


聞いたことの無い国の区長をしていた?

しかも獣人をまとめていただと?


「何かあったようですね。とりあえず、里長と話して下さい」

「ああ、そうだな。それが一番早いな」


里長は知っている。

それに会ったばかりだ。


「また会ったな。今度は大勢の獣人を連れて来たじゃないか。お前の部下だろ?何があった?」

「いや。分からん。俺は何故ここにいるのか分からない。部下だったのか?知っている奴だが…」


里長は難しそうな顔をしている。


「お前、シェリル国って知っているか?シャーロットって知っているか?」

「両方とも知らないな。俺に関係があるのか?」


知らない国の知らない奴を里長が知っているのか。

俺の記憶を消したのはシャーロットって奴か?


「お前…、何かしでかしたな。記憶を消されてるよ。それ程の何かをした」

「記憶を消されたのは俺が何かしたせいだっていうのか?そいつを殺せば記憶は戻るのか?」


「止めておけ。お前たちは獣人の里で静かに暮らせ。確実に相手の優しさでお前たちは生きている。お前は罪を記憶消去で許されたんだ。感謝する事はあっても反論する権利はないだろうな」

「記憶を消されてるんだぞ!相手はただの悪い奴の可能性もある。何故お前はそいつの味方をする。獣人の大勢が記憶を消されてるんだと思うぞ?明らかに獣人に対する攻撃じゃないか」


「お前、ここで俺と最近話した記憶あるだろ?無いのか?」

「ああ、獣人の孤児を助けた時だろ。それがどうした?」


「お前は助けてない。ただの話し相手だよ。お前らの記憶を消した人はこの里に飛ばせば安全だと判断したんだ。本気で敵対するような行為をするなら後ろの奴らも含めて全員縛るぞ。それほどの恩人だよ。つまりお前は、それ程の恩人に見放されるような行為をしたんだ。記憶消去も国の秘儀や安全を守る為だろう。記憶を消す様な相手がお前を殺せない訳ないだろ。お前は馬鹿か?記憶を消して、わざわざ獣人の里に送ったんだ。無駄に殺されないようにしてくれたと考えるべきだろう。後ろの奴らが部下だったとすると、まとめて何かをやらかしてるよ。交渉に行きたいとか、会いたいとか考えるなら、獣人の全里との敵対行為になるぞ」

「意味が分からん。俺の行為で何故全里の敵対行為になる。俺のお陰で獣人の里は連携しているだろ?俺に感謝する事はあっても敵対行為になる意味が分からんぞ」


「お前のお陰で連携ね…。お前は一度しか話し相手として連れて来られてないが、その人は2度訪れている。シェリル国には多くの獣人の子供が楽しく暮らしているのは他里の長が確認もしている。その人のお陰で多くの獣人の子を救えたし裏切り者も見つけ出せた。さらに裏切り者を出さない様に仕組みを考えている所だ。お前はどうするんだ?記憶を消されてもここに転送されたのは相手の恩情だ。踏みにじるか?それとも受け止めて静に暮らすか?里で暮らすなら仕事も与えてやる。後ろの奴らもな。どうする?」

「俺たちは獣人の恩人を相当に怒らせているって事か?それでも殺されずに記憶消去で許してもらっているって事か?理解できないぞ。やられたらやり返すのが獣人じゃないのか?俺たちだけに我慢させるのか?お前らはいつから腰抜けになったんだ」


獣人の連携は俺が仕切っていたはずだろ?

何故こんな扱いに俺がなるんだ。


「獣人の連携はお前のお陰でも何でもない。他人の手柄を自分の物にする。記憶を消された状態のお前の本音がそれか。お前は行き先を教えたら1人で行くのか?」

「記憶を消された仲間か何人もいるんだぞ。1人で行くのはただの蛮勇だ。獣人は敵に対して仲間で攻めるのが基本じゃないのか?」


「なるほどな。記憶を消してこれならお前はやはり罪を犯しているよ。1人で攻める勇気もない。俺の話を聞く気も無い。お前、俺に助けてもらえると思ったんだろ?つまり、それが答えだ。お前は、あの人に縋りついて迷惑をかけ続けたんだよ。それが度を越えたんだ。だから国の記憶を消して、この里で保護してもらえという意味で送られたんだよ。国の秘密や里の秘密を守るのは長として当然。記憶を消されても、お前は国の秘密に繋がる部分を消されているだけに見える。相当の優しさだ。獣人の里なら殺しているからな。その人は吸血鬼だが本当に人助けをしているよ。子供を大切にする人だ。お前の行動で獣人全体を悪く思われたくは無いし国に残っている獣人も迷惑する。最後の機会をやる。仕事をするか捕まるかだ。今すぐ決めろ」


何故だ?

俺達は記憶を消されたんだぞ。

それを許せというのか?


今まで獣人はやられたらやり返すのが基本だっただろ。

何故俺たちにだけ我慢を強要する。


後ろの仲間と共に攻めるか?

仕事を承諾した振りをして仲間を集める。

記憶を消された奴らは確実に復讐をしたいはずだ。

何人集まるか分からないが消された恨みは晴らさせてもらう。


「終了だ。おい、全員捕縛しろ。お前たちは危険だ」

「待て!俺は仕事をすると返事をする所だったぞ」


「嘘を吐くな。仲間を集めるつもりだったんだろ?それが縋りついた行為だと言っているんだ。本気で恨んでいるなら1人で乗り込めばいい。お前は蛮勇と言ったが、何故知らない相手に勝てないと思ったんだ?自分の力だけでは何もしたくないだけだろ。お前は拘束させてもらう。別に記憶を消された理由なんて聞きに行けばいい話だ、他の獣人がな。後ろの奴らも縛れ。本音を引き出すまでは確実に拘束する。仲間を集めて攻めるような恥を掻きたくはない。早く縛れ!」

「かしこまりました」


「おい、何故、何故だ。俺たちは獣人だ。やられたらやり返す獣人だ、何故…」


「やっと静かになったな。これは相当の事をやらかしていたんだろう。あの人の力が強大だから隠れていただけだな。相手の優しさを踏みにじって来たんだ。俺の優しさも簡単に踏みにじった。それがお前だ。性根までは記憶を消されても変わらない。獣人の里の連携は上手く行っている。お前に邪魔をされたくない。上手く機能すれば、シェリル国とも交流できる。やっと殺し合いから抜け出せたんだ。邪魔するな」


何故なんだ。

俺は獣人として本音で話したんだぞ。

昔のお前なら一緒に攻めてくれただろ。


どうして俺を責めるんだ。

俺は、俺はこんなに悔しい思いをしているのに。

獣人は仲間思いだと思っていたのは俺だけだったな…。

ヴィーネはシャーロットの為だけに優しいです。

グスタフが攻め込んできたり、無惨に死んだと知ると、シャーロットが少しでも悲しむと思い、里に送りました。

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