閑話 アルビーナ 知らない世界
私はハーピィの族長アルビーナだよ。
名前を付けて欲しいと頼まれたからね。
どんな名前がいいか分からないから何と無く付けたよ。
あの時の感謝は忘れる事は無いだろうね。
会った瞬間に格上である事は分かった。
戦ったら殺される。
逃げても捕まる。
しかし、話してみると友好的だった。
ハーピィを救いたいと言っていたし救ったとも言っていた。
嘘を言っているかどうか分からないが、これ程の力を持っている2人が嘘を吐く理由がない。
だから、信じる事にして洞窟に案内した。
シャーロット様は本気で救うと言ったと思う。
攫われた仲間で生きていたら全員を呼び出すと。
そして髪が銀髪に変わった瞬間に思った。
桁が違いすぎる。
私では計り知れない力の持ち主だ。
期待感が膨らむ。
そしてどんどんと仲間が増えていく。
まるで夢の様な光景。
しかし、私は見逃さなかった。
呼び出された仲間たちの無惨な姿を。
羽をほぼなくしたボロボロで泣き崩れていた姿を。
人間や獣人は私たちの羽をお金に換えているのは知っていた。
ここまでの事をするのかと怒りが涌いた時、優しい光が仲間を包み込んだ。
奇跡だと思った。
これほどの回復魔法は見た事も聞いた事も無い。
無理矢理抜き取られた羽を復活させるなど夢のようだ。
そして、国を作るから良かったら来ないか誘われた。
絶対に逃したらいけない機会だと思った。
全員に急いで準備をさせた。
転移魔法だと思う。
簡単にそれを使用する事が凄いのだが、連れて来られた高台には湖に森がある。
ここを自由にしていいというんだ。
さらに魔獣対策もしてくれた。
果物の木もたくさん植えてくれた。
世界樹を植えた時は意味が分からなかったけど。
高台だから人間や獣人に怯える事も無い。
世界樹に捕まり自由に空を羽ばたける。
あー、気持がいい。
あれが、ハイエルフの国だね。
確かに大きな世界樹が植わっていた。
そのおかしさがなんだか嬉しかった。
約束の名前を付け終わった後、シャーロット様とヴィーネ様に案内された国は凄い。
選別をして綺麗にした後だとヴィーネ様が言っていた。
邪魔な人間や獣人を消したらしい。
それも含めて未来の為を考えてだと思う。
街は隙間が多かったけど中央の施設は素晴らし過ぎる。
孤児院の中は本当に様々な種族の子供たちが楽しそうに遊んでいる。
その中にハイディも混ざって遊んでいる。
なるほどね。
未来は種族の争いを無くした国をここに作るつもりなんだ。
子供たちが同じように勉強し遊べば、今までの人間や獣人のような考えはしない。
一緒にいるのが当然だと考えるようになるはずだ。
商品になるから狩りをしようなんて考える馬鹿はいない。
仮にそんな奴が出たとしても他の奴にやられるだろう。
学校で学べる内容も素晴らしい。
私たちの独学でしかなかった知識、代を重ねる度に積み上げて来た。
それを、シャーロット様の知識が軽く飛び越える。
そして、その知識を無料で教えてもらえるんだ。
子供たちを学校に通わせる事は決定だよ。
勉強している内容のレベルが高いと感じた。
話しを聞いていても理解できなかった。
知識が足りていない証拠だよ。
帰ってきたら私たちが子供たちに教えてもらうべきだろうね。
病院は怪我の治療を行ってくれるらしい。
回復魔法だけに頼らないように研究を重ねているそうだ。
回復魔法は貴重だ。
つまり、ある程度の怪我なら治療可能という事じゃないか。
この国は未来を考え続けているのだと思った。
私達は空を自由に飛び回る事が出来るようになった。
この国には歩いて入る事ができるようになっている。
最終的には結界を解除したいらしいので、その時は自由に空から入れる。
ヴィーネ様は生え変わった羽を売らないか聞いてきた。
羽を買い取る方式にしてもいいと言っていた。
お金があれば色々な事ができると教わった。
これだけの人数が揃ったんだ。
抜け落ちる羽もたくさんある。
それがお金に変わるんだ。
凄い事じゃないか。
誰も辛い思いをせず、空を自由に飛び、お金も手に入る。
友好的な種族を集めて、この国を種族が集まる中心にしたいと言っていた。
種族別の国を用意してあげて教育など難しい事はこの国で行なう。
そうすれば、種族の特徴などを自然と学べる。
どんどんと未来が明るくなっていくじゃないか。
気まぐれで適当に集めた羽を、服を売っているお店に持っていったらとても喜ばれた。
お金に換えてくれるそうだ。
そのお金で食べた事の無い果物を買って帰った。
お金は十分に余ったよ。
素晴らしいじゃないか。
最高だよ。
工芸品や装飾品にできればもっとお金になるらしい。
残念だが私たちは手先が器用じゃない。
そこは諦めよう。
羽がお金になるとはこういう事だったんだね。
仲間を攫うのではなく協力してもらう形で手に入れるようにしたんだ。
ヴィーネ様は別に羽が欲しい訳じゃないと思う。
羽を使ってお金を稼げば買い物ができると伝えたかったんだ。
古くなった羽が新しい羽根に代わり抜ける。
その古くなった羽がお金に変わる。
これは全員に伝える必要がある。
買ってきた果物を食べるが残念だよ。
植えてくれたりんごだけ意味が分からない程に美味しい。
それだけで、ここに住む価値があると思ってしまう程だよ。
神様に天国に連れてきてもらったのかもしれないね。
シャーロットが回復したタイミングの意味を理解しています。
とても感謝しています。




