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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第2章 多種族国家シェリル

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ハーピィの国

ジェラ姉ちゃんの話を聞いてハーピィが気になっていた。

まず、温厚な種族かどうか知りたい。

そして、生活環境を知りたい。


可能なら湖をハーピィの国にしてあげればハイディも喜ぶ。

やっぱり1人ぼっちは寂しいよ。


よし、ハーピィを探しに行こう。

「ヴィーネ、ハーピィの集落が何処にあるか知っている?」

「勿論知ってるよ。母さん、やる気だね。行こう。転移魔法(テレポート)


ここは森だね。

近くに湖もある。


なるほど。

これなら環境としては変わらない。


問題はハーピィの現状だ。


近くにいるハーピィに転移魔法(テレポート)してくれたみたい。

大人のハーピィは子供より更に色鮮やかな羽だよ。

顔はハイエルフに近いね。


話しを聞いてみよう。

「ねえ、ハーピィってどんな生活しているのか教えてくれないかな?」

「あんた吸血鬼じゃないかい?何でそんな事を聞くんだい?」

「羽を毟られていた子供のハーピィを保護したんだよ。だから助けてあげたいんだ」


「あんた達、子供のハーピィを保護したって言うの?私たちの羽は高く売れるらしくてね。人間や獣人に狙われるようになったのよ。本当は大空を羽ばたいていたいんだけど待ち伏せされるんだよ」


最低だね。

空を飛んだら目立つから後を付けるんだ。

そして、休んでいる所を捕まえる訳だね。


「私は記憶を覗いて攫われたハーピィを全て救う事が出来るよ。どうかな?今の集落に案内してくれないかな?」

「母さんの話は本当だよ。ハイエルフの国も作ってあげたんだから」

「ハイエルフの国を作っただって?あんた達、あの堅物に信頼されているのかい?ちなみに吸血鬼の女の子は分かるけど銀髪の子は何だい?」


私は見た目が吸血鬼だから分かりやすいよね。

ヴィーネは銀髪の女の子だけど雰囲気が普通じゃないからね。


「私は母さんの娘だけど、古代種(エンシェント)ドラゴンだよ。変身しないと信じてくれないならするけど?」

「いや、あんた達が格上なのは分かっているよ。だから、話しているんだ。集落に案内するよ。飛べるんだろう?付いて来て」


なるほどね。

戦っても勝ち目がない。

逃げても逃げ切れる気がしない。

だから、話を聞いてくれたのか。


結果的には良かったけど、やっぱり種族が違うと難しいね。


え…。

何でこんな場所に住んでいるの?

石山の洞窟の中じゃない。


「どうして洞窟の中に住んでいるの?」

「戦えば負けないからね。大勢で守っているのさ。自由に飛び回れる時代じゃなくなったんだよ」


ハイエルフとほとんど一緒だ。

隠れるか戦うかの違いだけど攫われているんだ。


翼をもつハーピーが高い山の洞窟の中に隠れる。

飛んでいれば捕まってしまうから。

何でそんなに酷い事をするの…。


「ここが集落さ。まあ、何もないけどね。皆ここにいるよ」

「もう本気だよ!全員の記憶を覗かせて。攫われて生きている子は全員呼び寄せるよ」

「母さんはやっぱり優しいね。それでこそ母さんだよ」


少しだけハーピィの女性に笑顔が出た。

ずっと難しい顔をしていたから。


「そんな事までしてくれるのかい?分かったすぐに皆を集める。少し待って欲しい」

「いいよ。誰か攻めて来たら殺すから任せて」

「皆殺しだね」


世界を知れば知る程、人間と獣人の嫌な一面ばかり見えてくる。

全てがそうではないけど、これがジェラ姉ちゃんが見せたい世界なのかな?


私の予想では人を食べる種族もいると思っているけど。

どうなんだろう?


それを見て助けたいと思うのだろうか?

自然の摂理だから放置するのだろうか?

考えがまとまらないよ。


「皆集めたよ。本当は1000人ほどのハーピィがいたんだ。今はこのありさまだよ。100人にも満たない数しかいない。突然攻められたから対応できなかったよ」


何て酷い状況なの。

何故こんな事をするの?


考えるのは後にしよう。

「皆の記憶を覗かせてもらうね」


お母さん、何度も血を使うのを止めてごめんなさい。

皆を助けたいの。


心臓がゆっくり止まり銀髪が足下まで伸びる。

この姿ならヴィーネと姉妹に見えるね。


「あ、あんた本当に吸血鬼なのかい?」

「吸血鬼の真祖だよ。私の姿は気にしないで。この姿なら世界を見る事が出来るから」

「母さんの本気の姿だよ。君たちを本気で助けたいと思ったのさ」


何人生きているかな?

羽を毟って殺していない?

それとも成長を待っているの?


人間や獣人の考えが分からない。


皆の記憶を覗いて行く。

やはり遠くに散らばっている。


1つの国に集まっていない。


完全に商品だと思われている。

ふざけているよ。


みんな助けるよ。

召喚魔法(サモンマジック)


絶対に羽を毟られている。

それだけじゃないかもしれない。


そんな姿を仲間に見せたくない。

範囲高位回復魔法(エリアハイヒール)


お母さんの血を使うね。

心臓が動き出すと安心できるんだ。


お母さんの娘でいられるから。


「こんなに大勢をありがとう。本当にありがとう」

「翼が治ってるわ。また飛べる。狭い籠の中じゃない!」

「ああ、私の子供が帰って来た!」


皆が泣いて喜んでいる。

本当に良かったよ。


「どうかな?皆で私たちが住んでいる所に移住しない?湖があって森があって今は世界樹もあるよ。どうかな?」

「とんでもない環境じゃないか。私たちはハイエルフと敵対していない。世界樹を飛んでも大丈夫だと思う。お願いするよ」

「決定だね。みんな持ち物を持って集まってね」


「分かったよ。皆、新しい住処を用意してくれるみたいだ。移動するよ。恩人の言葉を疑う真似をするんじゃないよ」

「勿論さ。すぐに用意するよ」

「ああ、家族で暮らせるだけでいいんだ」


そうだよね。

家族で暮らすのが一番だよ。


良かった。

ハイディの仲間を助ける事が出来たよ。

孤児院の生活は悪くないと思うけど1人は絶対に寂しいよ。


「用意出来た。よろしく頼むよ」

「それじゃあ、行くよ。転移魔法(テレポート)


リザードマンがいた湖に到着。

シェリル国のすぐ近く。


高台だから私たちの住む社も良く見えるよ。


「こ、ここを自由にしてもいいのかい?」

「ハーピィは魔獣は大丈夫なの?湖の周りを囲って魔獣が入れないようにできるよ」

「私が世界樹をここに植えてあげようか?果物の木もたくさん植えよう」


ヴィーネが優しい事を言っているね。

それより、世界樹って何本も植えていいのかな?


駄目なら後で考えよう。


「子供は飛ぶのが下手だからお願いするよ。湖の周りを囲って欲しい。世界樹って何本も植えれるものなのかい?あればハイエルフと何も衝突せずに暮らせるから嬉しいけど」


やっぱり疑問に思われてる。

私も疑問だけど社にも植えてるしいいよね。


駄目なら伐採だよ。

伐採!


「分かったよ、土魔法(ストーンウォール)。ヴィーネあとお願いね」

湖の周囲と森を300m囲ったから魔獣は入れないね。

今いる魔獣は殺しておこう。

闇魔法(ブラックホール)


「任せてよ、湖の近くにあったら綺麗でいいね。創造(クリエイション)魔法(マジック)【世界樹】。母さん、果物を適当に買ってくるからお金頂戴」

「そうだね。気になる果物適当に買ってきて」

時空魔法(ゲート)で取り出した5万ギルをヴィーネに手渡した。


「世界樹はどれだけ高くしたい?ハイエルフは100mくらいの高さにしたよ」

「高台にあるんだ。半分で十分だよ。とんでもない素敵な環境だよ」


よーし、世界樹に魔力を送っちゃうよ。

「50mおっきくなーれ!」

「えー?それで大きくなっちゃうのかい。あんたとんでもないね。滅茶苦茶だよ」


「母さん、果物買ってきたよ。適当にばらまくよー」

「ありがとう。果物、たくさんおっきくなーれ!」


完璧だ。

またまた完璧だよ。

森と湖しか無かったのに世界樹と果物林ができあがったよ。


「母さん、そろそろ言葉を考えてよ。魔法の呪文のように言うとかして。恥ずかしいから…」

「まだ慣れてないの?あと数回聞けば慣れるよ」


「まだ続けるんだ…、私は隠れてるね」

「照屋さんなんだから。可愛いから許しちゃうよ」


(私は母さんの言葉を許してないよ!)

「ん?小さな声でしゃべっても、聞こえなーい!」


「いいよ、自由にやってて。私はお風呂に入って寝てるからさ。じゃあねー」

あー、逃げたよ。

卵を投げつけた産みの親と同じだよ。


「こんな感じで生活はできそうかな?」

「ああ、十分だよ。これ以上の安息の地はないよ」


ハイディも呼んであげよう。

召喚魔法(サモンマジック)


「あれ?ハイディ授業中だったのに。シャーロット様、ここどこ?」

「ハイディの仲間を連れて来たんだよ」


「本当だ!みんな一緒だ。1人ぼっちじゃないよ。ハイディ、1人じゃない」

「ここで生活しながら学校に通う?」


「うーん、大人になるまでは孤児院でいいよ。楽しいもん。1人じゃないって分かったから、それだけで嬉しい。シャーロット様、ありがとう」

「いいよ。ハーピィの他の子供たちも学校に通う?」


1人じゃないって安心できたから孤児院でもっと楽しめるね。

ハイディの笑顔が輝いていて良かったよ。


「楽しいよ。ハイディ文字も書けるように練習してるし、計算も練習してるし、魔法も練習してるんだよ」

「そんな環境があるのかい。何か条件があるのかい?」


「そうだね。名前は必須だよ。それだけ。名前を付けてくれれば通っていいよ。あと、学校の子供たち、人間や獣人やハイエルフや妖精やハイオークがここに遊びに来てもいいかな?」

「あんたの街の子供たちだ。それだけたくさんの種族がいて問題が起きてないんだ。信じるよ。私たちは名前が無いから皆で考えておくよ。街には結界が張ってあるようだけど、どうすればいいかい?」


土魔法(ストーンロード)

北西の防護壁の端に降りれる様に道を作ったよ。


「この道は街まで降りれるようにしておくよ。歩いて来てもらうけど、それはいいよね?」

「ああ、それくらいなら大丈夫さ」


「私はここから見える社にいるから名前が決まったら訪ねて来てよ。皆に街を紹介するからさ」

「あそこだね。分かった。ありがとうよ」


「あと、何か不足とかあるかな?食べ物が足りないとか何か欲しいものがある?」

「森があれば大丈夫だよ。それに、果物まで用意してくれたからね。世界樹で暮らせるし最高の環境だよ。これ以上は贅沢さ。自分たちで何とかするよ」


「分かった。何かあったら社まで来てね。ハイディ、学校に帰るよ」

「そうだった。勉強中だったよ。ハイディ、帰らないと」


「じゃあ、またねー。転移魔法(テレポート)


私は学校の教室に移動してクリスタの顔と睨めっこした。

怒ってますよね?


私の責任ですね。


「シャーロット様。生徒を授業中に誘拐されると流石に困ります」

「クリスタ先生、本当にごめんなさい。間違いなく私が悪いです」

「ハイディ、授業に戻るよ」


念話(テレパシー)

「北西の湖にハーピィの国を作りました。子供たちが学校に勉強に来るようになります。悪い事したらとんでもない罰があるよ。気をつけてね」


「ハーピィの国を作って来たのですか?完全に2つの教室を使う必要がありそうですね」

「クリスタ先生、よろしくね。今、一生懸命名前を考えて付けてると思うから、子供たちはハイディと湖に遊びに行ってきていいよ。ちゃんと約束をして来たからね。またねー。転移魔法(テレポート)


クリスタから逃げるように社に帰った。

本当にジェラ姉ちゃんと似てるかも。


ヴィーネと同じ事をしてるし。


あれあれー!

ヴィーネちゃんが不貞寝してるよ。

もう、寝た振りしてるのバレバレ。


そうだ念話(テレパシー)

「ジェラ姉ちゃん。ハーピィの国を作っちゃった。もう必要ないから」

「また、私の暇潰し奪ったの?あんた達、いい加減にしなさいよ。ドワーフの国を作るわ。見てなさい」


ドワーフって何だろう?

初めて聞く種族名だ。


会った事が無い種族は気になるね。


「ヴィーネちゃん。ここにドワーフの国を作る意味ってあるかな?」

「もー、なーに?ドワーフは装飾品を作ったり工芸が得意だよ。大酒飲みだけどね。奴隷にされて仕事をさせられたりはしてないと思うから、国を作る必要があるのか分かんないよ」


「暇だし今度見に行こうよー」

布団に入ってヴィーネを突っつく。


「分かったよ。今度ねー」

不貞寝は続いたけど暫くすると抱き着かれるから、気にしないよー。

皆大喜びです。

街長は大慌てです。

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