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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第2章 多種族国家シェリル

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閑話 ビアンカ ハイオークの講習

とても大切な役目を任されました。

新たな住民となった、ハイオークの方達にこの国の素晴らしさを伝えねばなりません。

シャーロット様の神々しさを理解して頂かなければいけません。


まずは、現地での講習です。

家の事を説明しなければいけません。


北西区の西に新しくできたハイオークの集落に向かいました。

相変わらずシャーロット様の力は桁が違いますね。


私のいる場所が以前は森だったのか疑いたくなります。

積んである木が物凄い迫力です。


住居に畑にお風呂まで何でもありですね。

神様ですね。


「こんにちは、族長さん。私はビアンカと申します。講習を担当します、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします。全員、頭を下げろ!」

「「よろしくお願いします!」」


そんなに厳しくされなくてもいいのですけどね。

でも、種族としてのルールがあるかもしれませんので口は出しません。


「では、家の使い方です。水飲み場を説明します。こちらの器具を上げると水が出ます。下げると水が止まります。全ての家に設置されています。飲める水ですのでご自由にお使い下さい」

「こんなに簡単に飲み水が手に入るのですか。とんでもないですね」


みんな驚いてますね。

私も最初は驚きました。

井戸から水を汲むか、川まで行くのが当たり前だと思っていましたからね。


「こちらが台所になっております。既に火の魔石が置いてあります。火の魔石は置いてあるだけで熱を出しますので、ここで料理が出来ます。もし、火加減をしたいのであれば、魔石を減らすか、距離を離すなりして下さい。木材の家ですので魔石の扱いは注意して下さいね」

「この石が魔石といって熱いのですか。あっち…。熱いですね。お風呂にある物と一緒ですか?」


触ってみたくなるんですよね。

気持は分かりますがとても熱いですよね。


「そうです。お風呂は火の魔石の数で温度を調整して下さいね。常に熱いので気を付けて下さい」

「分かりました。燃えている様な熱さですね。驚きました」


「あと、こちらがトイレです。扉を閉め鍵をしてご利用下さい。使い終わった後はこちらの器具を上げると水が出ますので、それで綺麗になるはずです。実際に上げてみますね。このように、トイレの中を全て水で流すようになっております。お尻を拭く紙も用意してあります。こちらでお尻を拭いて下さいね。紙であれば一緒に流しても構いません。買い物をする際はトイレ用の紙を買って下さいね」

「違う世界に来た気分です。ここまで違うのですね」


この国が特別ですからね。

神様が住んでいますから。


他国ではこうはいかないのです。

この国の住民で他国に住みたがる人はいないでしょう。


「何か質問はありますか?」

「トイレの汚れが残った場合はどうすればいいですか?」


「先程の飲み水を利用して洗い流して下さい。それで掃除は終わりです」

「それだけですか…。分かりました」


それが本当に楽でいいですよね。

トイレの汲み取りは本当にきつい作業です。

他国では奴隷を使ったりするのが普通ですから。


「他に質問がなければ街を少しだけ歩きますね。付いて来て下さい」

「分かりました。全員離れるなよ!」


少し話で聞いていますが差別されてきた種族だそうですね。

そのせいでしょうか?


本当に固まって歩いています。


「この集落のすぐ隣が、北西区と呼ばれております。防護壁を左にして壁沿いに進んでいくと、社とお墓があります。こちらのお墓がシャーロット様のお母様、シェリル様のお墓です。そして、シャーロット様は社の中にいる事が多いです。何かあればお願いをしに来て下さい。一応注意ですがお墓への悪戯は子供でも厳罰です。この国で一番罪が重いので注意して下さいね」

「お墓への悪戯が一番罪が重いのですか。分からない事だらけですね」


歴史を知らなければ分からないでしょう。

知ればきっと悪戯する気も起きませんよ。


偉大な神様のお母様のお墓ですからね。

どれだけ大切にしているかと思うと涙が出そうです!


「さて、社から南に歩いて行くと、左手にある街が北東区と呼ばれています。前に見えている噴水まで歩いて行きますね…。噴水まで着いたら北を向いて、左から孤児院、病院、学校です。今から学校に入って細かい説明をしますね。」

「「分かりました」」


今日も授業をやっています。

私は休みですが、子供が増えれば2つの教室を使う日が来そうですね。

空いている右の教室に入り席に座って頂きます。


「色々と疑問があるかと思います。まず、この国の簡単な歴史をお伝えします。村から始まり街になり現在は多種族国家シェリルになりました。シャーロット様が滞在してから500年間、病人、怪我人、魔獣に襲われた等での、死者は1人もいません。全員が寿命で亡くなっています。つまり、この国に病人や怪我人はいません。その為、街の住民は土地神様と崇めている訳です」

「病院が全て治してくれるのですか?」


そう思いますよね。

そういう未来になるといいですね。


「病院は病気を治す所ですが、完璧ではありません。日々、人の体を調べ、病気を調べ、治し方を研究しています。シャーロット様は未来を考えて、ご自分がいなくなった際、国の住民が困らないように病気や人の体の研究を進めるように仕組みを作られました。学校もその一環です。さまざまな事を学び、そして、気になった事を調べていくように子供たちを育てているのです。ですから、この国は世界で一番発展しています。病人がいないのは、この国には半年に1回お祭りがあります。シャーロット様はその度に全員の治療を一度の魔法で行なっているのです」

「一度の魔法で全ての怪我や病気を治すのですか。神のような力ですね」


その通りです!

土地神様なんて呼んでいますが神様でいいのですよ。

本当に分かってない人が多過ぎるのです。


「さて、この国の簡単な決まり事を説明しますね。他種族を尊重する事、喧嘩はしない事、以上です。何故そんな簡単な決まり事で問題が起きないかと言いますと、シャーロット様が国民の感情を全て把握しています。つまり、問題が起きる前に解決してしまうのです。しかも、罰がありますので、誰も他種族を見下したりしませんし問題を起こしません。そして、この国は5つの区で出来ています。区で選ばれた区長の中から街長が選ばれ、5人で国の運営方針を考えています。シャーロット様は手伝う事があっても口を出したりはしません。命令もしません」

「あれだけ強大な力を持っているのに支配も何もしていないのですか。理解できませんね…」


だから神様なんです!


理解しようとするからおかしいのですよ。

神様ですから私たちを導いてくれているのです。


「シャーロット様の願いは1つだけです。世界中の奴隷や孤児となった子供を助ける事です。あの方が本気を出せば今すぐに出来るのですが、今の国ではどれだけいるか分からない孤児を保護できるか分かりません。ですから、我慢しているのです。国で保護できる数の子供たちだけを救っているのです。ハイオークの方たちを国に招いたのも、子供をもっと多く助けたいからです。食糧があれば助けられますからね」

「具体的にどれほどの力があるのでしょうか?」


わかりやすい例ですとあれですね?


「厄災のドラゴンを退けられます。5度戦って一度も負けていません」

「それはとんでもない力ですね…。本当に視線だけで殺されてしまいそうです」


「その気持ちは分かります。あの方が本気を出せば、社で寝転がりながら世界中にいる人を即座に皆殺しに出来ます。それ程の力がある方が国を守ってくれていると思って頂ければ十分です。殺された住民はいないので安心して下さい。お墓に悪戯したり人を殺そうとしたりしなければ大丈夫です。国防隊という組織がありますので、その組織で国を守るのが理想ですね」

「はい。徹底させます!」


難しい事ではないと思いますが…。

まあ、徹底してくれるなら悪い事はないでしょう。


「現在この国には、人間、様々な獣人、ハイエルフ、妖精、そしてあなた達、ハイオークが住んでいます。これからも、種族は増えていくかもしれませんが、問題は起こさないようにして下さいね」

「分かりました。必ず問題は起こしません」


「詳しい話は子供たちが勉強すると思いますので聞いて下さい。何か質問はありますか?」

「シャーロット様は吸血鬼なのですか?」


ふむふむ。

吸血鬼の真祖だと街長が言ってましたね。

ハイエルフの長老が伝説の存在だと言っていたとも。


「この国には2000年以上生きているハイエルフの長老がいます。その人が言うには伝説の吸血鬼の王である真祖というらしいです。伝説過ぎて詳しい話は誰も分からないのです。ただ、できない事はほぼありません。そして、吸血鬼ですが誰の血も吸いません。誰も眷属がいません。眷属になりたいと志願した場合の対応は分かりません」

「伝説の中の伝説の吸血鬼である事は分かりました。この国は厄災のドラゴン以外に攻められた事はないのですか?」


「人間の国が攻めて来た事はありますが、王族、貴族と攻めて来た兵士は皆殺しです」

「桁違いですね。隠れていようが関係無いのですね」


「記憶を覗いて、記憶にいる人を全て殺す事が出来ますし、逆に助け出す事も出来ます。神様ですから不可能は無いのですよ」

「そうですよね。神様ですからね」


あーー!

本音が出てしまった。

しかも、相手も納得してしまった。


まあ、事実ですし問題なしです。


「他に質問はありませんか?」

「はい。まだ環境に慣れるので精一杯です」


「では、お仕事頑張って下さい」

「はい。全力で頑張ります」


ハイオークの方達は集落に戻って行きました。


私は社に寄り道をして賽銭箱にお金を入れます。

「シャーロット様が幸せになれますように!」


孤児院に戻り子供たちに囲まれます。

「何してたの?」

「ハイオークの方たちに、シャーロット様の素晴らしさを伝えてきたのよ」


「とても大切な事だね」

「そうよ。とても大切な事ですよ!」


子供たちの頭を撫でてあげます。


だって神様なんですから。

それに、とってもお可愛いんですよ。


シャーロット様の為に全力で頑張って下さいね。

純粋にシャーロットの幸せを願う信者です。

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