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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第5章 聖地シャーロット

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シャーロット 無茶苦茶

本当にもう…。

孫に甘いお婆ちゃんにしか見えないよ。


どういう事なの?

私を甘やかさないとかおかしいでしょ?


私もまだ子供だよ?

まあ、お母さんらしいけどね…。


私から娘たちを奪わなければ別にいいよ。

一度会話しただけで虜にしているのはいただけないけどね。


流石お母さんだよ。

手強いね!


・・・・。


さて、どうしたものかな。


精霊たちが動き出してしまった。

世界の魔力の姿になれるように努力している。


精霊女王が星の魔石に入れた呪術と記憶を破壊するつもりだね。


どのような監視がついているのか分からないから、止める事や助言もできない。


精霊たちは記憶の意味を理解していない。

難しく説明して成功したと言えるのだろうか?


ドリュアスが指揮していて、サラマンダーとフェニックスを除外している。

私だったらサラマンダーだけに監視をつけたりはしないから。


警戒心が少し足りないよ…。


フェニックスとの繋がりはサラマンダーの記憶を移す能力を使えばいい。

しかし、監視もサラマンダーだけにする理由は何もない。


見る見ないは別に関係ない。

見たい時に見れるようにしておくだけでいいのだから。


今の精霊たちでは監視に使用されている魔力の消費に気付けない可能性が高い。

身体強化を極めてようやく気付けるのかどうかの魔力量だと思う。


それに、世界に溶かしている星の魔力を使っていたとしたらどうしようもない。

精霊を生み出すと同時に能力を付与しているのは間違いないと思う。


精霊の誰もが監視用の能力を与えられたと認識していないのだから。


フェニックスは精霊に正しく能力が与えられていないと言った。

サラマンダーとドリュアスだけがとは言っていない…。


暗に教えてくれた可能性がある。

精霊女王と精霊全員が繋がっていると。


そして、大きな勘違いをしてしまった…。

人間と獣人に食べられ拷問され殺される。


神ならば雛の時からある程度の力があるはずだと考えるべきだった。

疑問を抱くべき点だったのに見逃してしまった。


何故それがないのか…。

本来は精霊女王が守るべき存在なのだと思う。


世界を作り生命の繁栄を管理する精霊女王はフェニックスの感情を抑制する力が与えられている。

精霊たちもそのように考えているし私も同様に考えている。


本来フェニックスと精霊女王は一緒に行動するべき関係であるはず。

精霊女王が世界に流す魔力はフェニックスからもらうべきなのだから。


精霊女王が星の魔力を生み出せないのは行動を見れば分かる。


フェニックスは精霊女王を生かす。

精霊女王はフェニックスを守る。


共存している関係だね。


精霊女王が殺されてしまう星ならばフェニックスが覚醒して滅ぼす。

星の良し悪しは精霊女王が判断できるようにしている。


話し合いの時にフェニックスは怒るべき状況だと言った。

つまり、現在の状況でも怒っていない…。


完全に感情を抑制されている。


フェニックスには怒りがない。


人間と獣人に食べられ拷問され殺されても怒っていない。

星の魔力を好き勝手に使われていても怒っていない。


フェニックスは殺されたら生まれ変わるから怒りの蓄積がない。

記憶を蓄積させているのは拷問の為だけではなく怒りの蓄積だった場合…。


精霊女王が死んだら覚醒。

精霊女王が感情抑制を止めたら覚醒。


フェニックスには拷問された記憶が入っている為、精霊女王を殺せない。

傀儡にした瞬間に感情抑制が一瞬だけ途切れても覚醒してしまう。


星の魔石を正常な状態にしたとしても精霊女王は気にしない。

既にフェニックス覚醒の条件は整っているのだから。


フェニックスはこの国に来るまでは力に目覚めたいと思っていた。

つまり、いつでも覚醒させる事ができる状態だと考えられる。


それに、精霊女王の記憶が星の魔石だけにしかないとは思えない。

私なら万が一を考えて保険をかけておく。


星の魔石の近くに魔石をばら撒いておけばいい。

精霊女王の記憶を消す為には全てを砕くしかないね。


フェニックスの記憶消去は不可能だと思う。

神であるフェニックスの記憶を操作できるはずがない。


だから、精霊女王は何もしない。


私がフェニックスを一方的に消せるように育つまで待つ。

精霊女王を殺せない事にも気付くと予想しているはず。


最悪を想定した予想だけどね。


塵芥が世界を崩壊させ続けて考えた作戦だからな。

綺麗に解決する手段はなさそうだよ…。


そして、気になる点はまだある。


感情抑制されていないフェニックスは今と同じ性格なのだろうか?

神として自由気ままに振舞う性格だった場合は必ず衝突する。


フェニックスの尻拭いばかりで嫌になった可能性もある…。

私の予想では元気で明るい性格になるだけだと思うけれどね。


それに、ドリュアスは私を殺したくないから作戦を考えた。

フェニックスとサラマンダーを殺す事まで覚悟している…。


友達が友達を殺すのを見ていろと?

私の為に殺すの?


本当にもう…。


精霊たちの作戦を精霊女王が把握していた場合…。

精霊の誰か1人でも呪術を破壊できるようになった瞬間にフェニックスを覚醒させる可能性がある。


僅かでも自身の存在が消される可能性は避けるだろうからね。

私とフェニックスが戦うと無になるから動けないというのは、ただの希望でしかない。


塵芥がそこまで賢いとは限らないから…。


精霊たちが本気で努力しているから残された時間は少ないね。


「ヴィーネ、ウィーノ。聞きなさい。私の予想が正しければこの星は既に終わっているよ」

「どうしたの?私たちが成長すればいいはずでしょ?」

「そうだよ。急にどうしたの?」


その予定だったのだけどね…。


「精霊たちが魔力の姿になろうと努力し始めた。世界樹から星の魔石に入って呪術の核と記憶を破壊するつもりみたい。サラマンダーとフェニックスを除外すれば安全だと考えた作戦だよ」

「それは…。何故自分たちも監視されている可能性を考えないのかな?それが、精霊女王に知られたから終わりだという事なの?」


ヴィーネは成長したね…。

すぐに監視の可能性に気付いた。


「違うよ。精霊のしている事は無意味なんだよ。呪術の核は壊す事ができるかもしれない。しかし、記憶を破壊するのは不可能だから。ドラゴンも魔力で知識と能力を継承するでしょ?星の魔力の中に入っているどの魔力が記憶を持っているのか分かる?それに、星の魔石の近くに記憶を入れた魔石をばら撒いておけば記憶は保証される。自分の体内に記憶を入れた魔石を埋め込んでおくのもありだね」

「でも、呪術の核を壊せば精霊女王を殺してもフェニックスが覚醒しなくなるでしょ?」

「そうだよ。星の魔力の無駄遣いでフェニックスが覚醒する状況を維持しているだけでしょ?」


フェニックスの会話から怒りで覚醒する事が伺えたからね。

だから、記憶の問題に気付く事ができたよ。


「1つ忘れているよ。フェニックスは拷問され続けてきた。過去の記憶に激怒する可能性がある」

「精霊女王はフェニックス覚醒の切っ掛けを2つ用意していたの?フェニックスが怒りの感情を抑制されているのは間違いないから…。星の魔力の無駄遣いを正した状態でフェニックスと精霊女王を同時に殺すしかないね…」

「流石に不可能だと思うよ。溶かした星の魔力を流す為に世界と繋いでいる場所はあると思うけどさ…。それだけじゃないのでしょ?」


ウィーノも成長したね…。

本当に2人とも努力してきたから。


「それだけじゃないよ。精霊女王が抑制していないフェニックス本来の性格が分からない。簡単に激怒して覚醒する可能性がある。精霊女王は生命の繁栄の為にフェニックスを抑制する力を与えられていると思う。つまり、世界の理だね。フェニックスを殺してから生まれ変わって世界を認知するまでには少し時間がある。サラマンダーがその時間内に記憶を移しているのだから。サラマンダーはフェニックスが生まれ変わる火で移動して記憶を移している。それに、呪術の核が破壊されたらすぐに分かる。入れ直されて終わりだよ。精霊女王が動かない理由は私が確実にフェニックスを消滅させられるまで強くなるのを待っているか、自身の存在が脅かされない限りは実験と考えている。流石に精霊女王と話すしかないのかな…」

「この世を無にすると脅迫するの?交渉に応じるとは思えないよ」

「この世界が作られた時点で終わっていたように感じるね」


精霊女王が必須の世界にしていたとはね。

ゴミ掃除したら世界が滅ぶとか笑えるよ。


「さて、どうやって接触しようかな…。結界の中に入ると終わる可能性があるからね」

念話(テレパシー)でも終わる可能性があるよ。フェニックスが近付くなと言っているから、何をしても駄目なような気がする。フェニックスが感情抑制されていると気付かないのは世界の理だからなのかもしれない。気付いて激怒したら意味がないから。世界を作るのは精霊女王だから、生命の繁栄も精霊女王が管理する。フェニックスは星に命を与えるのが役割。簡単に人間に殺されるフェニックスが激怒していたら生命は繁栄しない。そもそも神であるフェニックスを人間が殺せるのがおかしいよ。精霊女王が守るのが本来の形なのかも。神であるフェニックスの記憶を魔法で操作できるとも思えない。本当に詰んでいるね…」

「母さんでも無理なの?何とかできないの?」


ヴィーネが私と同じ考えにたどり着いたよ。

もうすぐ私を追い越せたのに…。


ウィーノはまだ甘えん坊だね。

産まれたばかりだから仕方ないかな。


私にできる事はまだあるけど2人とも私を信用し過ぎだよ。

だからこそ、母親として期待には応えるよ!


「この際だし無茶苦茶にしてみようかな?いいのかな?上手くいかなかったら世界滅亡だよ?」

「いいよ。私は母さんがいない世界の方が嫌だ!」

「私もそうだよ。母さんの好きなようにすればいいよ!」


本当に可愛い子たちなんだから…。

だけど、あなた達はどのような結果になっても絶対に守るから安心しなさい。


準備は整えてあるからね。


吸血技(ダブル)


自分と同じ分身を作った。

私の魔力を最低限にして。


「死んでくるから任せたよ」

「分かった。楽しみにしているから」


「母さん、何しているの?」

「分身が生きているから大丈夫だという事なの?」


心配しないで。

私は何でもできるからね!


ねえ、お母さん。


【ええ。その通りよ】


うん、そうだよね。


次元(ディメンション)結界。


見つけておいた星を次元結界で隠す。


「ヴィーネ、行くよ。次元(ディメンション)移動(ムーブ)


ヴィーネを連れて次元結界で隠した星に行く。

フェニックスに魔力の移動を感知されないように移動した。


「母さん、この星は何?何で次元結界で囲んでいるの?」


念話(テレパシー)でヴィーネの不安が伝わってくる。

心配性なんだから…。


「無茶苦茶する為だよ。さあ、ここに世界樹を植えて」

「訳が分からないよ…。創造(クリエイション)魔法(マジック)【世界樹】」


何をするのか予想はできているでしょ?

今の私では勝てる見込みがないから不安なのかな?


世界の成り立ちからの予想。

世界樹の大きさは関係ないはず。


時空魔法(ゲート)


「溜め込んでいた魔石を全部外に出して」

「分かったよ。本当にもう…」


2人で魔石を全部取り出す。

少しだけ時間が掛ったけど関係なしだよ。


次元結界の外で何も起きていなければね…。

フェニックスが覚醒していなければそれでいい。


「ヴィーネ、帰るよ。次元(ディメンション)移動(ムーブ)


何も変化なしだね。

後はどうなるか…。


念話(テレパシー)

国民に話し掛ける。


「やあ、みんな。余り動かないでね」


「母さん…」

「何する気なの?」


転移魔法(テレポート)


世界樹の上にいたフェニックスの目前に移動する。


「フェニックス。私たちは友達だよね?」

「勿論ですよ!シャーロット」


闇魔法(デス)

ごめんね…。


フェニックスが横に倒れる。

体が宙に浮いて火に包まれた。


少しずつ灰になって落ちていく…。

火の中からサラマンダーの姿が見えた。


やはり来たね…。

星の魔力で呪われている可能性がある。


転移魔法(テレポート)

サラマンダーの姿が見えた直後にエルダードワーフの洞窟内に飛ばす。


念話(テレパシー)

国民に話し掛ける。


「もう好きに動いていいよー」


灰から雛が生まれた。

時間は少ない…。


次元(ディメンション)移動(ムーブ)


雛と一緒に先程の星に移動する。


念話(テレパシー)

「さあ、フェニックス。この星はどう見えるのかな?」


フェニックスの視界が定まったような気配がした。

少しずつ威圧感が強くなる。

体も大きくなっている。


魔石から魔力を吸っている。

どこまで大きくなるのかな?


「おーい!話せるかなー?」

「・・・・」


やはり会話は不可能なようだね。

覚醒したら殺し合うしかなさそうだよ。


あ…。

私の魔力も吸われている。


せっかくだしフェニックスの成長をもう少し見ていたい。


全ての魔石から同時に魔力を吸っているね。

大きい魔石を選び魔力を回復する。


まだまだ大きくなる。


全身が燃え盛る猛火のようだ!


翼を橙色の火で覆っている。

胸も青色の火で覆っている。

嘴は鋭く一突きで星を貫けそう。

爪も鋭く星を掴んで移動できそう。


目には意思を感じないね…。

生命を司る神として行動するだけのように感じる。


1000mはありそうな大きさだよ。

限界はあるのかな?


ここまで巨大な神と戦わせようとか頭おかしいでしょ?

私が無になる想像しかできないよ。


うっ…。

意識が薄れていく。


魔力が吸われ続ける。

これに抗う術はあるのだろうか?


無属性魔力を集中して吸収している間に殺せばいいのかな?

この後に星の魔力を吸収するはずだからね。


この星にはないけど…。

このような時に戦う方法を考えている自分が少し笑えるよ。


【ギャアーー!】


星のどこにいても聞こえそうな鳴き声。

空気がないのに耳から聞こえたような気がするよ。


そろそろ限界だね。


流石私の友達のフェニックス!

無抵抗で抗うのは今の私では無理だったよ…。

精霊女王から遠ざけました…。

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