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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第1章 シェリル

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閑話 グスタフ 切っ掛け

シャーロット様が訓練所を訪れて以来ずっと考えている。

しかし、なかなかいい案が浮かばない。


森での訓練だけでいいのだろうか?

自分の考えがまとまらない。


考えてこなかった結果だろう。


シャーロット様から突然、念話(テレパシー)が届いた。

「はーい。ハイエルフの森で鬼ごっこをします。国防隊上位20人とハイエルフの大人20人は、りんごの木に集まって下さい。街長とグスタフも来るんだよ。じゃあ、30分後に集合ね。遅刻厳禁だよ」


訓練で悩んでいるのを分かっていて連絡をくれたのだろう。


「フェリクス。お前を入れて上位20人を集めてくれ。いい切っ掛けになると思う」

「分かりました。同じ失敗をしないようにします」


そうしてほしい。

しかし、何故か違う気もする。


この気持ちは一体なんだろうか。

私たちは自分で考えを縛っているのではないか?


ふと、そんな風に考えが過る。


私たちが集合場所に行くとシャーロット様と街長とクリスタがいる。

子供達は100人程いそうだな。


「長老。ハイエルフ達の準備はいいかな?」

「勿論ですよ」


長老は機嫌が良さそうだ。

どんな結果になるのか分かっているのかもしれない。


シャーロット様がルール説明をされた。

「ルールを説明するね。使用していいのは身体強化のみだよ。攻撃するのも魔法を使うのも反則だからね。子供にタッチされたら素直に森から出て来てね。鬼ごっこの範囲は森全部で1時間限定だよ。逃げるのは大人40人。まさか、子供に捕まるなんて事はないよね?後で怒られるかもよ?100秒後に子供たちが追いかけるから先に森に行ってね。よーい・・・・始め!」


純粋な鬼ごっこか。

まさか、これで子供たちに負けるのか?

ハイエルフや国防隊が森で子供に負けたら話にならないぞ。


しかし…、負ける訳が無いと思っているのか?

大人たちの動き見てそう感じる。


シャーロット様が提案したんだ。

絶対に何かあると考えるべきだろう。


100秒後、シャーロット様が子供たちに声を上げる。

「大人たちは完全に舐めてるぞ!皆の本気を見せてやれ。お菓子は目前だ。いつも通りに全力だ!いけー!」

「「おー!」」


早過ぎる!

何だこれは?

これが子供の動きか?


想像以上の動きだ。

「クリスタ、子供たちに教えているのは身体強化のみか?街での使用も禁止しているんだよな?」

「勿論です。街での使用も人に教えるのも禁止しています」


シャーロット様は笑っている。

「甘いよねー。子供を本当に舐めてるよ。身体強化を習ったら使いたくなるに決まっているじゃん。街で禁止されているなら森で使えばいいじゃない。子供たちは毎日授業の後に森で鬼ごっこや、かくれんぼをして遊んでいるよ。子供たちの中には人間、獣人、ハイエルフ、妖精がいるんだよ?皆が本気で遊べばどうなるか考えてみれば分かるよね」


本当に子供の速さじゃない。

完全に身体強化を使いこなしている。


「クリスタ、頭に集中するとどうなるかも教えているのか?」

「まだ教えていません」


少しシャーロット様が呆れている。

「君たちは本当に甘いよ。かくれんぼをしてるって言ったじゃん。どうやって見つけるか子供たちは考えるよ。身体強化ありのかくれんぼだよ。何所にだって隠れられる。じゃあ、隠れている場所を見つけれるようにするには、どうすればいいのか絶対に考えているよ。逆に見つからない方法も考えているに決まっているよね。そうやって成長しているんだよ。子供たちは遊びに全力だよ。その意味を理解してない大人が多過ぎる」

「本当に素晴らしい動きですね。ハイエルフの子供たちも勉強させて良かったです」


シャーロット様と長老は楽しそうだ。

俺は苦い思いでいっぱいだ。


どんどん捕まった大人たちが悔しそうな顔をして森から出てくる。

もし、子供達が麻酔針を持っていたら捕虜じゃないか。


これが現実か…。


見た目で相手を見下す。

教えられた事しか覚えようとしない。

自分たちで更なる高みを目指そうとしない。


シャーロット様の念話(テレパシー)が届いた。

「あと10人だ。残りは30分あるぞ。お菓子は目前だ。いけー!」


街長が笑い出した。

「私では子供に勝てないと良く分かった。機動力が違い過ぎる。ここから魔法を覚えて魔石の使い方まで覚えて更に発展させていく訳だ。ただの遊びだが本気でやればこういう結果を生むという訳だな。子供は悪戯が好きだしルールの隙間を必ず探す。街で使うなと言われたから森で使うか…。笑えるよ。母親として子供たちが服を汚して帰って来る理由が良く分かった。森で遊べば汚れるな」


シャーロット様の念話(テレパシー)が届いた。

「あと1人だ。残りは15分あるぞ。最後の1人だが油断するなー。全力だー!」


シャーロット様は人数を教えているだけだ。

それは、当然だと思う。


何人を探せばいいのか分からなければ鬼ごっこにならないから。

しかし、大人たちの何人かはシャーロット様が補助をしていると思っている様だ。


ここまで愚かなのか。

言葉通りじゃないか。

子供を舐めているんだ。


負けた理由を勝手に決めている。

国を守るのに負けは許されないと理解していない。


遊びだと思って挑んだのはお前たちだ。

俺は情けなくて仕方が無い。


「終了ー!子供たちは森から出てきて。良く頑張ったねー。今からお菓子を買いに行くぞ。急げー!」

「はい。1番は僕だな!」

「負けたー!」

「近くにいただけだろ?同じ距離なら負けないよ」


森から戻って来るだけでも勝負になっている。

意識が違いすぎるな。


子供らしいが全て訓練になっているんだ。


子供が全員揃ったところで聞いてみた。

「お前たちの中で相手のいる場所が分かる奴は何人いるんだ?」

「全員分かりますよ。1人ができるようになったら皆に教えるから。そうしないと面白く無いでしょ?」


楽しく遊ぶ為に知識を教え合うのか。

お互いに高め合っているんだな。


「じゃあ、どうやって相手から隠れているんだ?」

「んー、魔力を足に集めたりして見えにくくしたりとかかな。その時次第だよ。今日みたいに、こっちが多いなら全員が追い駆ける必要はないからね。囲めばいいんだから簡単だよ」


簡単なのか…。

子供が国防隊やハイエルフを捕まえる事を簡単だと言う。


意識の差でここまでの差が出るのか。

子供達は強くなろうとしていない。

全力で遊びを楽しんでいるだけだ。


シャーロット様が手を叩く。

「はい。反省会は大人たちでやっててね。皆、約束通り1人お菓子3個までだよ。一番最初にお菓子屋に着いた子は5個にしよう。当然身体強化は無しだからね。よーい・・・・始め!」


シャーロット様は子供たちと一緒に笑顔で走って行った。


確かにその通りだ。

反省会は俺達だけですればいい。


長老はハイエルフに声をかけている。

「弱い!あなた達は弱過ぎる!良く分かったでしょ?普段真剣に森で遊んでいる子供たちに勝てないのは当然ですよ。訓練もしていないのですからね。魔法がありだったら勝てるとか馬鹿な事は言わないで下さいよ?子供たちが魔法を覚えた後に、もう一度勝負するだけですから。普段訓練をしないからこういう結果になったのだと真摯に受け止めなさい。その切っ掛けをシャーロット様がくれたのですから」


その通りだ。

シャーロット様は教えてくれただけ。


全力でやる事の意味を。

自分たちで考える事の意味を。


「フェリクス、少しは考えが変わったか?」

「参りましたよ。あそこまで先回りされて囲まれては。たぶん、指示している子供と動いている子供がいたのでしょう。全力で遊ぶから全力で考える。納得ですね。教えられた事だけをできるようになって満足しない。いい勉強でした」


また、教えてもらう事になったが仕方が無いと思う事にした。

勘違いしている奴は説教する必要があるが、本当にいい切っ掛けを作って下さった。

大変なのはお菓子屋のおじさんです。

シャーロットが気前よく払うので、お金の計算は大丈夫ですが、お菓子の補充が大変ですね。

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