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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第5章 聖地シャーロット

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閑話 カーラ 意識改革

球は5000ギルで販売なんて安過ぎると思っているわ。

でも、私はそれでいいと思っているの。


同胞たちも同じ気持ちにならないかしら。


それにしても、ヴィーネちゃんは面白い事を考えたわね。

当たっても痛くなくて蹴っても割れない球だなんて。


今の世界では私たちしか作れないでしょう。


この国に来てからも武器を打っているのはアーロンだけ。

皆は好きな素材を研究しながら依頼の品を作る。


当たり前だと思っていた日常がつまらなく感じてしまう。


「母さん、いいのかよ。流石に5000ギルは安過ぎるぜ。別に金儲けがしたい訳じゃねーけどよ。素材の価値を考えると安売りするのもどうかと思っちまうぜ」

「私も安いと思っているわ。でも、あんたも学校が終わる時間に魔法練習場の横にできた球当てと球蹴りができる場所を見てきてみなさい。絶対に考え方が変わるね。エルダードワーフの技術を集結して作った球だからこそ、どうやって使われているのか見てきなさい!」


本当に考え方が変わった気がするね…。

私たちの作ったものがあれほど子供を笑顔にできるなんて。


あの球はこの国でしか作る事ができない。

余りにも使われている素材が希少過ぎるから。


でも、希少な素材が使われているから誰も使えないのは意味がないと思わせられた。

あの光景はエルダードワーフ全員が見るべきものなのかもしれないね。


「えらい迫力だな!そこまで言うなら今日行ってくるぜ。母さんが何を見たのか知らねーけどよ」

「見てきなさい。あんたの作りたいものが変わるはずよ。断言してあげるわ!」


「ほぉー。そこまで言うのかよ。俺が何を作りたいと言うのか楽しみに待ってろよ」

「ええ。楽しみに待っているわ。エルダードワーフだからこそできる事がある。でも、それは武器や防具やプレートといった希少価値の高いものだけを作る事だけではないと思い知ったわ。伝説の素材や希少な素材を使い、誰にも真似できない技術の結晶があの球よ。5000ギルが安いのかどうか見てきなさい。私はエルダードワーフ全員に見せたいと思っているわ。私たちは閉鎖過ぎたのよ。好きな素材を研究して好きな事だけをするのがエルダードワーフだと思っていた。それを、考えさせられたわ。今のままでいいのかをね」


「おいおい…。そこまで考えているのかよ。種族としての価値観まで変えるのか?」

「今までは修業期間だと思える程だわ。これからはできる事をするべきだと思ったね。あんたが見て帰ってきてから話の続きをしましょう」


チャドはどう思うのかしら?

エルダードワーフの作ったものを大切に使えば良いとは限らない。


本当に素敵な光景だったわ。


・・・・。


考え事をしているようね。

確実に作りたいものが変わったはずよ。


「おかえり。あんたは何を作るんだい?以前言っていた全属性防御の服を作るのかい?」

「ただいま。あれは後回しだ。俺たちの作った球は砂で汚れていたな。母さんが何を見たのかと思えば、必死で作った球が汚れているのを見せたかった訳か。最近息子たちの服がやけに汚れているのは、汚れている球を捕っているからだな。球蹴りは改善の余地がありそうだぞ。器に球を入れるのは難し過ぎるし、器に入れられないように守るのも大変だ。横に倒した箱に球を蹴り入れる方がいいだろうぜ。但し、箱の面をアラクネの糸で網状に変える。そうすれば、箱に入った球は跳ね返らないし守る方も箱に入れられないようにするだけだから守りやすい。縦2m、横5mで作ってやるか。俺たちが作ったものは大切に扱われるのが当然だったからな。気持ちいいくらい遠慮せずに汚していたぜ。笑えてくるじゃねーかよ。精霊様や子供たちが遊ぶとは言っていたがあそこまでとはな…。規模が大き過ぎて驚いたわ。学校に通っている全員が俺たちの作った球で遊んでいるじゃねーかよ。悪くねーな。あそこまで汚されているのに全く気分が悪くねーよ。むしろ最高だぜ!どいつもこいつも倉庫に眠るだけの下らないものばかり作ってないで見てこいと言っとけ。球の注文が殺到する訳だ。練習したいんだろうぜ」


やはりチャドも考え方が変わったようね。

私たちの作るものは子供を笑顔にする事ができる。


「あんたは球蹴りを改善するものを作るのね。いいじゃない。もっと皆を笑顔にしてみなさいよ。やっぱり皆に見せるべきね。声を掛けておくわ。大切に扱われて倉庫に眠る品ばかり作っているからね。他国なら国宝になるような球を砂塗れにして全力で遊ぶのよ。最高じゃない!」

「ああ、最高だぜ!俺たちの技術は生活を便利にする事もできるし子供を笑顔にする事もできる。武器や防具みたいな、飾られるだけの使われないもんを作っても仕方ねーよ。最高の技術で最高の遊び道具を作ってやるぜ。砂塗れでも泥塗れでも関係ねーよ。遊んでいる子供が笑顔ならそれで十分だ。金儲けは大人を相手にすればいいからな。子供の笑顔で金を儲けようとは思えねーよ」


その通りよ!

子供を笑顔にできるなら、それでいいのよ。


「私たちの作るものは価値があり大切に扱われるのが当然だと思っていたわ。狭い世界で生きてきた結果ね。エルダードワーフが本気で作った球だからこそ子供たちを笑顔にできるのよ。重くて当たると痛い球なら、大きな怪我もするし皆が楽しめない。今回は仕事をした充実感を久しぶりに味わったわ。作ったものを汚されても気分がいいのは初めてね。今まで汚された事がないから分からないけど、子供たちの笑顔がなければ気分が悪くなるでしょうね」

「間違いねーな。作ったものを雑に扱われたら気分が悪いに決まってるぜ。球当てや球蹴りは雑に扱っている訳じゃねーからな。全力で遊んでいる結果だからよ。何を作るのか悩んでいたのが馬鹿らしくなるぜ。俺たちから提案できたら最高だったが仕方ねーな。頼まれなくても最高の遊び道具を作ってやるぜ!」


洞窟にいる全員にあの光景を見せないとね。

今作っているものが何の役に立つのか考えさせられるわ。


やはり遊び道具は低価格で販売決定ね。

他国の商人に安く売るつもりは勿論ないわ。


素材を考えれば1000万ギルでも安いくらい。

私たちの最高傑作をお金儲けに使われたくはないからね。

子供の笑顔の為なら全力です!

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