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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第5章 聖地シャーロット

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シャーロット 意地の張り合い

ヴィーネは凄いね!

子供たちの遊びに革命を起こしたよ。


球で遊びの幅が凄い広がった。

保育科や初等科の子も楽しく遊べるのがとてもいいね。


鬼ごっこはどうしても秘儀の熟練度で優劣が出てしまう。

楽しく遊ぶ為に鍛えようと頑張る子はいいけど、誰もがそんな風に頑張れる訳ではない。


負け続けるのが面白い訳が無いからね。


しかし、球当てや球蹴りなら同じ科の子たちと遊べる。

同じ科だからこそ負けたら悔しく次は勝とうと努力できる。


試合の勝ち負けは終わるまで分からない方が楽しいよ!


それに、秘儀を使って遊んでいる以上は秘儀の鍛錬が不可欠になる。

新しい遊びでも皆が刺激しあいながら成長して欲しいね…。


鬼教官のドリュアスも球当てに夢中になっているよ。

私の娘として考えて行動しただけで、ここまでの事ができるようになった。


成長が早いね!

そして、姉に離されないように妹も努力する。


実に良い関係だよ!

それにより、国もどんどん面白くなっていく。


日常生活を快適にするだけではつまらない。

やはり皆を虜にする娯楽がないと世界一の国とは言えないよ。


エルダードワーフに球の注文が殺到している。

1個あれば親や兄弟と遊べるからね。


凄い価値のある素材を使っているのにカーラは1個5000ギルにした。

利益を求めずに皆が楽しめるようにしている。


最高の気配りだね!


他国の人には同じ値段では売れないね。

売る気がないのかもしれない。


エルダードワーフらしくていいと思う。

自分たちの技術をお金儲けだけに使われるのは納得できないだろうからね。


ヴィーネが配った球は学校で保管する事にしたみたい。

帰る時に球の取り合いにならずに済むからいい考えだよ。


今回はエルダードワーフの技術力がなければ実現しなかった。

それに、希少な素材が大量にあるのも良かった。


全て計算した訳ではないだろうけど、結果的に全て上手くいったね。


球に当たっても大して痛くないのが実にいいよ。

秘儀の技術力を高める為には丁度良い遊びになるから。


クリスタがビアンカに試したみたいにね。


相手が見えない速度で魔力を動かし、投げる直前に魔力を満たし、投げ終わった直後に魔力を戻す。

球当ては子供たちの遊びだし痛みを与えるものではないから問題ないと言うのだろうね…。


ビアンカだけに使って言い訳を補完しているよ。


流石勇者クリスタ!

あの子に恐れるものは何もないよ。


魔力の移動速度を鍛えても自分では速くなったのか実感しにくい。

そこで、速度が上がったのか知りたくてビアンカに試す事にした。


勇者は常に上を目指すから強いね。

ヴィーネは本気でクリスタを鍛えているから成長が凄い。


ウィーノに鍛えられているカーリンも成長しているけど届かない。

ヴィーネの方がウィーノより考える力があるから。


それに、強くなりたい理由が違うから…。


「ウィーノ、カーリンの事を知ろうとしているみたいだけどまだ気付かないの?」

「何かまだあるの?私はまた失敗しているの?」


やはり気付いていない。

カーリンは自分が強くなった事でクリスタを強く意識するようになった。


冒険者の頃から想いはあったのだと思う。

しかし、クリスタの背中が見えた事で、それに囚われてしまった。


「カーリンは何故強くなりたいの?目標は聞いたのでしょ?」

「クリスタに勝ちたいからだよ。別に目標が最強のクリスタでもカーリンなら問題ないでしょ?」


ウィーノはまだ甘いね…。


カーリンの言葉をしっかり聞いていない。

気になる言葉があれば確かめないと駄目だよ。


「カーリンはクリスタに勝った後はどうするのかな?」

「私と一緒に訓練して鍛える、のかな?あれ…、秘儀をクリスタに勝つ事だけに利用しようとしているの?」


少しは気付いたみたいだね。

クリスタとカーリンの意地の張り合い。


だけど、2人は決定的に違う。


「ヴィーネ、クリスタはどうして訓練しているの?」

「最強の人間になる為だよ。当然でしょ?勇者クリスタだからね!」


そうなんだよね。

お互いの意地の張り合いに見えるけど実際は違う。


カーリンの一方的な片思い…。

そして、隙間を埋める行為をとても軽く考えている。


何をするのかも知らないのに…。

クリスタにできた事は自分もできると考えている。


「ウィーノ、カーリンが隙間を埋めたい理由を言ってみなさい」

「クリスタが隙間を埋めているから…」


カーリンはクリスタに勝ちたいと思いながら後を追いかけているだけ。

秘儀を極めるまで追いかけたのは凄いと思う…。


でも、隙間を埋める痛みには耐えられない。

本来なら人間が耐えられる痛みではないのだから。


「ウィーノ、どうする?別にあなたが悪い訳ではないよ。でも、カーリンはここでお終いだね」

「母さんなら壊れないようにできるじゃない」


私は隙間を埋める行為には反対だから。

大した意味も無いと思っている…。


隙間ができる理由も考えていない。

隙間の魔力差で勝負が決まるような試合をする訳でもない。


「ウィーノ、カーリンはどのように隙間を埋めて欲しいと望むと思う?」

「クリスタが埋めた時と同じ方法だね…」


「ヴィーネ、カーリンの心で耐えられると思う?」

「絶対に無理だよ。クリスタに勝ちたいなんて理由で隙間を埋めたら壊れる。人に張り合って隙間を埋めるべきじゃない。そもそも隙間なんて埋めるべきじゃない。人間が隙間の魔力差で勝負が決まる事なんてないから」


ヴィーネはよく分かっているね。


それに、直接見ていたから強く感じてもいる。

やはりカーリンには耐えられない。


「カーリンは孤児院を守ってくれている。だけど、秘儀を覚えてからクリスタに勝ちたいという思いが増大していった。それが、ウィーノの訓練で加速した。鬼ごっこにも勝てるようになる。でも、秘儀と真剣に向き合っていない。クリスタが秘儀を極めていたからカーリンはあそこまで努力した。クリスタがいなければカーリンは秘儀を極められていない。カーリンの心はクリスタが支えているとも言える。ヴィーネ、ウィーノどうする?」

「やっぱり私もだよね…。カーリンがいなければ来年も子供は保護できない。これ以上の子供の保護は厳しくなる。私のやりたい事とも関係しているよ…」

「母さんは何もしないの?カーリンは特別でしょ?」


特別だから許している。


意地の張り合いから秘儀と真剣に向き合ってくれると思っていた。

私が秘儀を子供たちに教えている理由を知っているはずなのに…。


結局、意地の張り合いのまま隙間を埋めようとまで考えている。

クリスタの想いを侮辱するのは許せない。


「特別だから許しているじゃない。このような、秘儀の使い方は私が望むものじゃない。本来は許せない使い方だよ。意地を張りたいだけなら秘儀を使わずに張ればいい。違うかな?」

「ウィーノも分かっているでしょ?現状が許されているのはカーリンだからだよ。これ以上は過剰だよ。贔屓が過ぎる。それに、隙間を埋めたクリスタを侮辱する事になる。クリスタの覚悟や想いを意地の張り合いと同程度だとは思われたくない」

「そっか…。カーリンが隙間を埋めたら意地の張り合いで埋めた事になる。流石に駄目だね」


ヴィーネはカーリンを許せない。

友達のクリスタを侮辱しているから。


「いいから行くよ。ここで話していても解決しないじゃない」

「姉さんの言う通りだね。行ってくるよ。転移魔法(テレポート)


2人で頑張ってみなさい。


ヴィーネは怒ってすぐに帰ってくるだろうね。

クリスタを侮辱する発言を聞いていられるとは思えないから。


何も知らないカーリンは無自覚に侮辱すると思う。


ウィーノが説得できるのかどうかだけど厳しいと思う。

カーリンは人の話が聞けないし何も知ろうとしない。


自分が正しいと信じ込み目的に向かって直進する。

その力は凄いけど周りが見えていないから必ず失敗してしまう。


過去に二度も失敗しているのに全く成長していない。

クリスタが対処し続けたからこそ今がある。


ウィーノには少し辛い経験になるのかもしれない…。

しかし、カーリンと訓練していて気付けなかった落ち度はある。


私にとってもカーリンは特別だから一度は機会を与える。

だけど、クリスタを侮辱し続けるなら許さない。


クリスタは私の大切な友達だから…。

特別より友達が大切です。

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― 新着の感想 ―
[一言] ついにカーリンも……… この国から大人がいなくなるのも近そうですね……… アリの巣の怠け者アリを追い出しても、しばらくすると働き者アリの一部が怠け者アリになることに、気づく人はいるんですかね…
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