閑話 ディートヘルム 若者たち
素晴らしい授業でしたね。
2000年以上生きている私が全く知らない事実を教えて頂きましたよ。
しかし、無属性。
使い勝手が良過ぎると思いますね。
恐らく、自然界からの魔力回復も可能になるでしょう。
無属性を感知出来るようになれば人の動きも感知出来る。
なるほど。
シャーロット様は無属性を完全に掌握している訳ですね。
そして、ジェラルディーン様も間違いないでしょう。
2人の攻防でジェラルディーン様が放った攻撃。
あれは無属性でしょう。
無属性に初期魔法は無い。
ですが、使えないとは言ってないですからね。
そもそも、魔法とは何かを考えてみると、ほとんど自分のイメージです。
同じ魔法を使っても、想像力が豊かな人が使えば効率のいい魔法となる訳です。
人が使っている詠唱だってそうでしょう。
結局その言葉と自分のイメージを繋げているに過ぎないと思いますね。
あの時のさり気ない言葉がそれを決定付けています。
クリスタさんが初期魔法を無詠唱で使っていると。
体から魔力を出す事を意識していただけ。
しかし、それは魔法であると言っている訳です。
全ての魔法は体から魔力を出す事で行使されます。
つまり、初期魔法と一緒です。
シャーロット様が何でもできている理由ですね。
想像した通りの結果を生み出す為の魔力を出しているのでしょう。
当然ただ出すだけでは初期魔法です。
それぞれの状況に合わせた属性の魔力を状況に合わせた形で出している。
真祖である為、魔力の扱いは天性のものですが、それだけではないですね。
何か秘密があると思っていましたが授業で少し見えましたよ。
あの方は人が成長する仕組みを作ったのですが、同時に自分も成長していたのですね。
だから、成長し続ける訳でしょう。
最初から違っていたのです。
森に隠れていた2000年、人と研究し続けていた500年。
シャーロット様が同じハイエルフだったとしても勝てないでしょうね。
さて、それでは無属性の使い方を考えましょう。
魔石の授業は物凄い切っ掛けをくれました。
核を通すと属性を付与する事が出来る。
しかし、無属性は基本的には人に見えない魔力です。
これが攻撃手段になるとしたら大変な事ですよね。
自然界に存在する魔力だから安全だとは限りません。
シャーロット様は魔力で魔石を破壊出来ると言いました。
つまり、人も想定以上の魔力を吸収した場合、死んでしまうのでしょう。
遠隔で無属性の魔力を操作できるようになった場合、相当な脅威でしょう。
むしろ、お2方は既にできる可能性が高いですね。
相手の位置を把握し無属性の魔力を暴走させるだけで殺せます。
まず、相手の位置を把握出来る事が脅威です。
シャーロット様は魔力だけを見て長命種かどうかを判断しているのでしょうか?
本当に不勉強な歳月を過ごしていたようですね。
まずは、この集落の者たちを私の位置まで引き上げる必要がありますね。
本当に弱過ぎますよ。
長命種という驕りが見えます。
時間を掛ければいいという考えがあるのです。
甘い。
甘過ぎます。
自分たちが弱い理由をまだ若いからと考えています。
お風呂で全力で泳ぐ馬鹿者たちは本当に駄目ですね。
近頃の若者たちは本当に駄目です。
根性から鍛え直す必要がありますね。
近頃の若者たちは…。
歳を取ると言いたくなりますよね。




