表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第5章 聖地シャーロット

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

368/425

ジェラルウィーノ 姉

カタナ、カタナ、私のカタナ!

凄く綺麗だねー。


見ているだけでも怖いくらい…。

ここまで澄み切った武器は知らないよ。


姉さんも私には甘いよね。

妹は最高だよ!


「ウィーノ、浮かれて振り回さないでよ。とんでもない事になるからね」

「知っているから大丈夫だよ。基本的には腰に下げておくだけ。少し練習するかもしれないけど、絶対に人がいない場所でするから安心して」


母さんの知識にあるから万全の状況で練習するよ。

海上で練習するのが一番だね。


この武器は危険過ぎるから。


「欲しかったのなら正直に言えばいいのに…。今日は学校に行くよ。その前に遊び場所を用意する必要があるけどさ」

「球を使った遊びだね。みんな遊んでくれるといいね」


刀は姉さんが頼んでくれると思っていたからね。

私の予想通りだよ!


でも、姉さんは母さんの知識の中よりもかなり変わっている。

考える力が上がったという事なのかな?


私も負けられないね!


「大丈夫だよ。絶対に楽しむからね。簡単な規則は私が考えたものを伝えるけど、遊ぶ時には子供たちが好きなように変えればいいと思っているよ。球1つでも色々な遊び方ができると思うからね。強制するのはつまらないよ」

「姉さん変わったね。国長の頃なら完全に規則を決めていたのに…」


本当に変わったね…。

まだまだ姉さんには勝てそうにないよ。


「私にも色々あるの。さあ、まずは準備するよ。ウィーノも手伝ってよね!」

「手伝うのはいいけど何をするのか教えてよ」


「球が畑の邪魔にならないように高めのステンレスの網で囲んだ遊び場所を用意するよ。網なら外からも見えるからね。入り口は複数作るよ。ウィーノは木を抜いて製紙工場に運んで。私が遊び場所を用意するからさ」

「私を遠ざけるのは恥ずかしいだけでしょ?あの言葉を言うのは知っているよー」


一緒に準備すればいいのに恥ずかしがり屋なのは相変わらずだね。

私も絶対に人には聞かれたくないけどさ…。


「べ、別にいいでしょ。分かっているなら察してよね。あの言葉を母さんに直接聞かれたら負けた気分になるの。分かるでしょ?」

「母さんに隠し事できないのは知っているでしょ?バレバレだよ。いつも頭の中に設計図を作って思った通りになーれ!って言っているじゃない」


母さんは変なところもあるけど基本的には優しいからね。

姉さんが言っているのを知ってても黙っているよ。


揶揄うのは直接聞いた時だけだね。

だからこそ、絶対に直接聞かれたくない!


「今言わなくてもいいでしょ。恥ずかしくなるじゃない…。設計図を教えるから役割を交代しようか?」

「私にも恥ずかしい事はあるの。全力鬼ごっこの次に恥ずかしいよ。誰にも聞かれたくないね」


「分かっているなら行くよ。転移魔法(テレポート)


魔法練習場に移動したね。


「ここから学校の横まで木を全部抜いて。魔法練習場と同じ東に150m。学校までは南に150mくらいだね。秘儀を使った球当てには丁度いい広さだよ」

「魔法練習場の隣から学校までを遊び場所にするんだね?」


「そうだよ。妖精たちの仕事を邪魔したくないからね。それに、子供の遊ぶ場所は固めておきたいからさ」

「分かったよ。凄い木の本数になるね。妹使いの荒い姉だよ」


「いいからやりなさい!」

「はーい」


本当に妹使いが荒いよね…。

こんな事は世界で3人しかできないよ!


念力(サイコキネシス)

魔法練習場から学校までの範囲にある木を全て抜き取る。

150㎡の範囲の木を抜くって結構大変だよ…。


学校から皆が出てきているけど姉さんはどうするのかな?

流石にここまで大規模だと慌てるよね。


クリスタが愚痴を言っているよ…。

いつも授業妨害されているからね。


風魔法(エアスラッシュ)

葉が生い茂っている場所や枝や根を切断する。


闇魔法(ブラックホール)

切断した枝や葉や根を吸収する。


100本はあるよ。

製紙工場のおじさん大丈夫かな?


「早く行きなさい。皆がこっちに来ちゃうでしょ!」

「はーい。本当に妹使いが荒いよ…」


木を念力(サイコキネシス)で浮かせたまま製紙工場の入り口まで飛んで行く。


「工場長、木を持ってきたけどどうすればいいかな?私はウィーノだよ」

「これはウィーノ様。凄い本数ですね…。できれば工場の横に崩れないように置いていただきたいのですが…」


確かに崩れると危ないね。

子供が巻き込まれるかもしれないよ。


「崩れないようにね…。転がっても危ないし木材置き場でも作ろうか?木を抜いて網で囲むのはどうかな?」

「それは、とても助かります。よろしくお願いします!」


「はーい。じゃあ、やっておくね。完成したら工場長にまた声を掛けるよ」

「分かりました。お待ちしております」


私もあの掛け声は聞かれたくないからね。


製紙工場の横に30㎡の木材置き場を作ろう!

まずは、木を抜かないとね。


念力(サイコキネシス)

指定した範囲の木を抜く。


風魔法(エアスラッシュ)

葉が生い茂っている場所や枝や根を切断する。


闇魔法(ブラックホール)

切断した枝や葉や根を吸収する。


地面は土にしてもステンレスにしても置いた木に水が染み込みそうだね。


あっ!


屋根を作ればいいじゃない。

私も考えられるようになってきているよ!


製紙工場と同じように網じゃなくて壁を作ろう。


地面は固い土(コンクリート)にして、壁と屋根はステンレスにしよう。

入り口は木材を扱うのだから広い方がいいね。


だけど、雨が入っちゃうから大きい扉も必要だよ。

扉もステンレスでいいかな。


よーし…。

「私の思った通りになーれ!」


完璧!

扉を念力(サイコキネシス)で開ける。


木を奥から順に置いていこう…。

転がらないようにするには柵があった方が確実だね。


木魔法(ウッドフェンス)

木魔法(ウッドフェンス)

木魔法(ウッドフェンス)


建物の奥と左右に柵を用意した。

後は念力(サイコキネシス)で柵の中に木を入れていくだけ。


細かい使い方は工場長に任せよう。

使ってみて困った事があれば直せばいいからね。


「工場長!できたよー。こんな感じでどうかな?」

「おぉー!とても素晴らしいです。完璧な木材置き場でございます。ありがとうございます」


こんなに感謝されると照れるね…。

土地神様の娘だからこういう事もしないと駄目だよね。


「使ってみて困った事や直して欲しい箇所があれば社に来てよ。遠慮しなくてもいいからね」

「はい。ありがとうございます。その時はよろしくお願いします」


「いいよー!じゃあ、またねー。転移魔法(テレポート)


クリスタの横に移動した。

既に姉さんは社に帰っているからね。


絶対に逃げたね!

誰かに声を聞かれたのかもしれない。


「お疲れ様ー。なかなかの授業妨害だったでしょ?文句は姉さんに言ってね」

「ヴィーネ様には逃げられました。そして、授業は終わりにしました。ヴィーネ様がどんどん球を出して簡単な規則を言って後は好きにしてですからね。フェニックス様も妖精猫(ケット・シー)妖精犬(クー・シー)と一緒に球を蹴って遊んでいます。ドリュアス様は最初困惑していましたけど、誘惑に負けたみたいですね。精霊様と妖精女王やその娘たちと一緒に遊んでいます」


「どんな規則だったの?私には詳しく教えてくれないんだよー」

「地面に線が掘ってあり2つの面が作られています。そして、2つの組に分かれて球当てです。面の外には出られません。相手の組の誰かに球を当てられたら面の外に出されます。外に出た球で相手の組の誰かを当てれば中に戻れます。始める前に何人かは外に出ていて、その子たちは同じ組の誰かが外に出た時に交代で中に入れます。顔に当てても当たった事にはなりません。当てられても地面に着く前に仲間の組の誰かが捕る事ができれば当てられた事にはなりません。秘儀を使っていますから球の勢いはかなりありますけど、柔らかい球のようで当たっても余り痛くないみたいです。それに、よく弾む球ですね。球を捕る時にも秘儀を上手く使わないと難しいでしょう。球蹴りも似たような規則です。2つの組に分かれて中央から始め、相手側の面の奥にある器に球を入れると1点です。決められた時間で多くの点を取った方が勝ちみたいです。恐らく球を同時に2個使ってみたりと色々と子供たちは試すでしょう。精霊様と子供たちでは球の大きさも違いますし球当てや球蹴りする為の広さも違います。かなり考えられた遊びですね。私も参加する予定ですが、子供に当てられる訳にはいきませんし全力で投げる訳にもいきません。考えなければなりませんね」


凄いよ…。

皆が笑顔で楽しんでいる。


転んで怪我する子はいるのかもしれないけど、とても安全な遊び。

それに、回復魔法が使える子もいるから、その場で治してもらえる。


規則もかなり考えられている。

全種族が遊べるように球も場所も用意したんだ。


ここまで考えていたんだ…。

姉さんの考える力には簡単に追い付けないね。


それに、クリスタの魔力の動かし方が変わっている。

母さんの動かし方に近いけど、人間は1つの管で2方向の魔力の移動はできないから魔力を止めて接触する瞬間に動かしている魔力の形を変えている。


私と話しながらも続けている…。

こんな短期間に無意識でできるまで鍛えたんだ。


勇者は手強いね!


「クリスタ、かなり強くなったね。魔力の動かし方で分かるよ。今のカーリンでは勝てない。姉さんの訓練は厳しい?」

「厳しいですね。その分効果も実感できます。秘儀を極めたと思っていたのに、まだまだ強くなれるのですから楽しいですよ」


効果を実感できる…?


姉さんは能力を使ってクリスタの動きにかなり近い分身を生み出しているね。

それも、訓練をする前の動きだと思う。


クリスタはその分身に勝てば成長を感じる事ができる。

姉さんがクリスタの動きをかなり正確に把握しているのが前提になるけど。


私はカーリンの事をもっと知る必要がある。

母さんの言った通りだね。


自分を見せずカーリンの事を知ろうとしていなかった。

今は努力しているけど、まだ全然足りていない。


カーリンの動きに近い分身を作れない。

やはり姉さんの方が一枚上手だね…。


「クリスタの成長も見られたしやる気十分だよ。しばらく待っててね。姉さん本気だから追いつくの大変なんだよ。またねー。転移魔法(テレポート)


クリスタに手を振って社に移動した。


「ただいまー。姉さんの本気見てきたよ。やり過ぎだって。限界同士の試合にするつもり?」

「おかえりー。クリスタを見てきたんだ。成長が止まったら訓練しないよ。成長するから訓練するの。成長する限り訓練を続けるから限界まで行くかもね」


嘘ばっかりだよ…。

最初から限界まで鍛えるつもりだからね。


姉さんはクリスタ大好き過ぎるよ。

本当にもう…。


「球遊びも凄い事になっていたよ。何で皆の様子を見てなかったの?」

「結果は分かっているからね。私がいたら気になって遊べないでしょ?だから、帰ってきたんだよ」


もしかしてこれが本当の理由なのかもしれない…。

最初から私たちがいたら子供たちも遊びに集中できないと思うから。


「本当に手強いね。姉さんとここまで差があるとは思っていなかったよ」

「ふーん…。何を見て言っているのか分からないけど、ウィーノも成長しているじゃない」


「姉さんも成長しているから追いつけないよ。国長を辞めてから変わり過ぎだよ。寝ててよね!」

「国長は私の失敗だよ。母さんを振り回し続けただけだから…。マリアンネとディアナを助ける為に国長になったようなものだからね」


一番最初に姉さんが衝動的に動いた時だね…。

本当は母さんの本気の選別が行われるはずだったから。


「姉さんのお陰で子供たちは残れたじゃない。姉さんが国長にならなければ子供はほとんど残らなかった。意味はあったと思うよ」

「母さんが裏で動いてくれたからだよ。母さんは遠いね。期待に応える為に一番大変なのが母さんより強くなる事だから。未だに母さんの底が分からない。見せてくれている力だけで桁違いなのに、全部を見せていない。ウィーノも分からないでしょ?」


「分からないけど楽しくていいじゃない。私は今の生活が好きだよ。竜の国なんて行きたいと思わないもん。姉さんも倒さないといけないし、母さんも倒さないといけない。その前にカーリンを鍛えてあげないとね」

「その通りだね。クリスタと結構差がついているでしょ?ゆっくり追いつきなよ」


なるほどね。

クリスタだけではなくカーリンも調整を受けさせたくないんだ。


姉さんは優し過ぎるよ。

母さんの願い通り、そこは変わっていないね。


「そうするよ。強くなってもカーリンらしさは残してあげたいからね。人間味を失った最強なんてつまらないからさ。クリスタは勇者だからいいけどね」

「勇者はどんどん強くなるからね。種族差がなければ叔母さんはキツイかもしれないよ。焦る顔が見れるかもしれない。楽しみだね」


それは、かなり面白そうだね。

私に見る余裕があればいいけど、真面目に鍛えておかないとね。


「ただいまー。2人とも今日は頑張ったね。娘の成長を感じたよ!ヴィーネは皆を笑顔にしたし、ウィーノはヴィーネを手伝って終わらずに製紙工場をより良くしようと考えた。実にいいと思うよ。今日は頑張ったしお風呂に入ってから寝ようか」

「「はーい!」」


お風呂、お風呂、家族でお風呂!

とても気持ちいいよー。


今日は色々と考えたから疲れたよ。

でも、充実した1日だった。


お風呂から出て魔法で髪の毛を乾かす。

すぐに布団に入りたいからね。


母さんは黙って布団を敷いてくれる。

私と姉さんは同時に布団に入る。


布団に入る早さは負けていないと思う。

これだけは、負けられないからね!


「じゃあ、おやすみー」

「「うん、おやすみー」」


今日は姉さんとの力の差を感じたよ…。

もっと努力しないと差が開いちゃうから大変だね。

成長を感じますね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ