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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第5章 聖地シャーロット

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ジェラルヴィーネ 格上

今の状況は本当に困ったね…。

ウィーノを注意するべきなのだろうか?


しかし、問題があるのであれば母さんが注意するはず。

今の状況は問題ではないという事だね。


現状ではクリスタの方が強いのは間違いない。

しかし、ウィーノがカーリンと組手する回数が増えていく。


誰にも迷惑が掛からないように平日の午後にしている。

カーリンの休みが多い訳ではないけど、今の状況が続くのはまずい。


攻撃中に魔力を追加するのは禁止になった。

だからといって、クリスタと叔母さんの組手が格上との対戦経験になっているのかというと、私は懐疑的だよ。


叔母さんとの対戦経験があるからクリスタが有利とは思えない。

だけど、クリスタも不安に感じてはいるけど無意味とまでは思っていない。


叔母さんとの組手はクリスタの強さを基準にしている。

クリスタより少し強い状態を維持しているとは言っても、それは種族差でしかない。


叔母さんは駆け引きの引き出しが少ないよ。

お互いに楽しむという意味ではいいけど…。


ウィーノとカーリンの組手はカーリンを成長させている。

格上との対戦経験だけではなく、色々な駆け引きを考える切っ掛けを与えている。


母さんが考える機会を奪ったと説教した為だと思う。

このままだとクリスタを追い抜いてしまう可能性がある。


クリスタを超えるのは無理だと思っている。

しかし、少し心配なのは間違いない…。


ウィーノは母さんの戦略を継承しているから使える駆け引きを多く知っている。

私は自分で考えなければならない為、少し不利だと思う。


いや、違う気がする…。

2人の試合が綺麗な駆け引きで終わるとは思えない。


方針は決まった!


私のできる限りでクリスタと組手しよう。

ウィーノがカーリンと組手している以上は引けない。


それに、クリスタより強い人間は見たくないから。

最強はクリスタでいて欲しい…。


それと、休日に闘技場が使えなくなった。


闘技組合の職員はすぐに集まったよ。

子供を預ける事ができるようになった女性が就職してくれた。


闘技場で試合を希望する人も予想より多かった。

母さんの先見の明はやはり凄い…。


闘技組合の職員に定休日はない。

闘技場は休日に一番需要があるからね。


その為、保育科は休日も子供を預かる事になった。

それについては、母さんが交渉してくれたから問題は何も無いけどね。


見学が可能な試合を楽しみにしている人も意外と多い。

娯楽施設としても機能している。


卒業生が勉強の為に見ていたりもするよ。


少しでも税金の負担を減らす為に闘技場の利用はお金がかかるようにした。

平日は1時間6000ギル。

休日は1時間10000ギル。


そして、試合終了後に母さんが回復してくれる。


1時間試合が続く事はないみたいだね。

だから、空いた時間は母さんが色々と指導している。


母さんの身体強化や魔法の指導はとても貴重だよ。

卒業生にしてみれば最高の機会になっている。


少し話が逸れたけど闘技場は使えない。

休日は9時から15時まで予約で埋まっているからね。


クリスタと組手する機会はカーリンよりも少なくなってしまう。

だからこそ、効果的な組手をしなければならない。


クリスタの休日を奪っている気がするけど我慢して欲しい。

母さんの調整だけは絶対に受けて欲しくない…。


転移魔法(テレポート)

孤児院に移動した。


「さあ、クリスタ。準備はいいかな?」

「勿論です!お待ちしていました」


転移魔法(テレポート)

森の中に移動した。

別名は死体処理場。


3重(トリプル)結界。

魔獣に邪魔されたくないし通行人を気にするのも面倒だからね。


「今日から格上との組手を経験してもらうよ。まずは今から威圧をかけていくから本気で耐えて」

「分かりました。お願いします!」


結界の範囲全体に威圧をかけていく。

組手は動くからね。


国防軍の試験から徐々に強くしていく。


本気で耐えているクリスタが膝を折るまで続けるつもりだよ。

物凄く危険だから気を付けてクリスタの様子を伺う。


・・・・。


かなり耐えているね…。

クリスタの口の端から血が出ている。


そろそろまずい!


「クリスタ。私が知りたいのは耐えられる限界ではなく秘儀を使って動ける強さだよ。今の威圧で動ける?」

「耐えるだけで精一杯です…」


今の威圧を耐えられるだけでもかなり凄いけどね。

ほとんどの生物を殺せるよ…。


本当に人間を辞めているね。

流石勇者クリスタだよ!


「今から徐々に弱くしていくよ。動けると思ったところで手を挙げて」

「分かりました…」


少しずつ威圧を弱める。


クリスタが手を挙げたところで止める。

高位回復魔法(ハイヒール)


「今の状態でその辺にある木を秘儀を使って蹴り飛ばして」

「分かりました。では、いきます!」


【ズバァン】


秘儀は問題なく使えているね。

黙って威圧を少しだけ強くする。


クリスタに威圧が強くなったと気付かせないように少しだけ。

大丈夫だね…。


次回の為にこの強さを覚えておかないと。

毎回気付かれないように少しずつ強くしていきたいからね。


「問題なさそうだね。組手を始める前に確認するね。攻撃中に魔力の追加は行わない。クリスタが練習すれば可能な技術しか使わない。魔力量は人間1人分。クリスタは私の破壊を狙っていいけど、私は痛みを与えるのみ。それで、いいかな?」

「問題ありません。よろしくお願いします」


「じゃあ、始めよう。クリスタから仕掛けてきて」

「よろしくお願いします。では、いきます!」


クリスタは体を魔力で満たした状態にある。

まずは今のクリスタの組手を知る。


普通にクリスタと攻防を繰り返す。

特別な事は何もしない。


やはり組手は攻防を繰り返すものだと考えてしまっている。


それに、魔力を満たしている状態の時に隙が多い。

本番は魔力が減ってからだと考えているね。


これでは、駄目だね…。

クリスタはカーリンと試合するのだから。


クリスタの表情に焦りが見えた。


気付いたね!

明らかに魔力の減りが早いから。


大切なのはそこだよ。

威圧を耐えながらの組手は普段と違う。


お祭りの時に叔母さんは殺気や威圧を消していた。

それを、格上との組手だとは思わない。


クリスタの考えていた通りここから始めよう!


クリスタの胸に当てるつもりで右拳を突き出す。

右手の魔力量は人間が満たせる限界量。


クリスタは左手か右手に魔力を満たして受け止めるしかない。

左手で受け止める体勢だね。


その時のクリスタの全身の魔力量を詳細に確認する。


なるほどね。

右手の魔力量が少ない。


クリスタは攻撃を受け止めた直後、左右どちらかで蹴りを繰り出すはず。

私はクリスタの左手に攻撃が当たる直前に魔力を移動させた。


追加するのではなく減らした。


【パチン】


クリスタは攻撃の衝撃に戸惑っている。

その一瞬が命取りだよ!


魔力を満たしていない右手を左足で蹴る。

クリスタが少しだけ痛みを感じる程度の魔力量にして。


【バシィ】


クリスタの表情が痛みで少し歪む。


手足を戻すとクリスタの攻撃に備える。

私は全身に平均的に魔力を配置した。


予想通りクリスタは魔力を満たした右足で左腕を狙ってきた。

格上を相手に気軽に足を浮かしては駄目だよ!


私は前進すると左手に魔力を溜めてクリスタの右太股を攻撃する。


【ドスッ】


鈍い音と共にクリスタの表情が歪む。

クリスタの右足が止まったのと同時に右足に魔力を溜めてクリスタの左足が踏みしめている土を払うように攻撃する。


【ドサァー】


クリスタは左足で踏みしめていた土がなくなり左膝を折るように体勢を崩した。

立て直そうとしたクリスタの顔に左拳を突き出す。

攻撃が当たる直前に魔力を抜き中指でおでこを弾く。


【トンッ】


今の一連のやり取りでクリスタの魔力量は半分を切っている。

格上と長時間組手するなんておかしな話だよ。

それでは、クリスタが成長しない!


クリスタと距離を少し離す。


「さて、このまま組手を続行する?ここまでにする?この状況で魔力が回復できるなら待つよ」

「ここまでですね。気を抜くと意識が飛びそうですから。それに、魔力を回復するよりも減る量の方が多い気がします」


クリスタの言葉を聞いて威圧を消す。

高位回復魔法(ハイヒール)

結界解除。


「魔力を回復しようか?」

「夕食まで一休みできますので大丈夫です。ありがとうございました」


転移魔法(テレポート)

孤児院に移動した。


「休みの時に声を掛けるよ。またねー。転移魔法(テレポート)


社に移動した。


「ただいまー。今日の訓練はここまでだね」

「おかえりー。姉さん早いね。時間を掛けて色々見せてあげないの?」


「見せなくてもクリスタが考えるよ。私も考えないと駄目だからね。ウィーノと違って母さんの戦略の知識が余り継承されていないからさ」

「そうだったね。母さんは組手でも多くの駆け引きを考えているから…。よく考えたら私が成長できないじゃん。母さんの駆け引きを見せて終わっているだけだよ」


カーリンは成長しているよ。

ウィーノもカーリンに考えさせようとしているから成長していると思うけど。


まあ、本人に任せよう!


「ウィーノが勝てると思ったらいつでも声を掛けてね。私は今から自己鍛錬するからさ」

「私は声に慣れてくるよ。転移魔法(テレポート)


外出して孤児院だけの声を拾うつもりでも煩過ぎて難しいからね。

私は先に孵化して国長をしていたお陰で声には慣れたけどウィーノにはまだ辛いと思う。


私の自己鍛錬は母さんの暇つぶしを無意識でできるようにする。

今は意識しなければ破裂させてしまうから。


本当におかしいよ…。


暇つぶしでできる魔力操作じゃない。

2方向の魔力操作をしながら魔力同士がぶつかる瞬間に両方の魔力の形を変えて元に戻す。


同時に魔力の移動速度を鍛えようとしているから、より難しい。

こんな事を暇つぶしでしているから化け物になるんだよ…。


追いかける娘の身にもなってよね!

お互い頑張っています。

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