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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第5章 聖地シャーロット

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シャーロット 闘技組合

娘たちが動き出したね。

切っ掛けがウィーノの勉強だけど面白い事になったよ。


嘘は駄目だけどね…。


ウィーノがカーリンと組手を約束している。

このままウィーノと組手を続ければカーリンがクリスタよりも強くなってしまう。


ヴィーネはそれを感じ取りクリスタと組手した。


ヴィーネの予想通りディーン姉ちゃんとクリスタとの組手は格上との対戦経験にはなっていたけど、身体強化を使った組手とは正直言えないからね。


ディーン姉ちゃんはクリスタが使える技術しか使わない。

知らない事も多そうだけど…。


今頃はシィーナ姉ちゃんと訓練しているだろうね。


ヴィーネもウィーノも種族差をなるべく出さないように組手している。

魔力移動速度のみの差で勝負するように。


それに気付いたカーリンとクリスタは強い刺激を受けた。

どのように速度を上げるのか考え続けている。


ヴィーネとウィーノも同様に考えている。

4人とも成長する為に組手しているのがいいよね。


ヴィーネは更に私の調整を警戒している…。

クリスタが隙間を埋めた組手よりも厳しいものになると考えて。


だから、クリスタと組手する。

クリスタに同じような痛みを経験して欲しくないから。


本当に優しい子だよ…。


カーリンとクリスタに差がなければ私は調整しない。

ヴィーネはそれも狙っている。


やはりヴィーネの方が考える力がある。

ウィーノが勝つのはなかなか難しそうだね。


それに、少し説教が必要だよ。


「ウィーノ。あなたがカーリンに魔力移動の技術を教えてしまった結果、カーリンとクリスタは苦しむ事になる。何故か分かる?」

「えっ?既に魔力移動速度の限界だったのかな?」


やはり何も考えていないね…。

無責任な事をしてしまった自覚は無い。


技術を教える時には相手の事を知らなければならない。

特に私たちは注意する必要があるのよ…。


「よく聞きなさい。技術は相手を見て考えてから教えるか判断するべきだよ。今回カーリンに教えた技術は人間に可能かどうか誰も知らないし分からない。ウィーノは種族差をなるべく出さないように組手した。それは、よく考えていると思う。でも、身体能力の違いを忘れていないよね?あなたは世界最強なの。視野を広くもって相手の攻撃や防御に使う魔力量を詳細に把握できる力が産まれた時からある。カーリンにそれはない。攻撃が当たる直前に魔力量を変えられた場合、人間には恐らく対処できない。全ての攻撃を魔力を満たした状態で防御するしかない。その結果、どうなると思う?」

「高等技術を使いながら普通の組手になってしまう。戦略の幅を狭めてしまったかもしれない…」


「少し考えれば分かるじゃない。攻撃が当たる直前に魔力を移動させる事はできるようになると思う。でも、防ぐ側はどの程度の魔力を上乗せされたのか詳細に把握できない。その結果、全ての攻撃を全力で防御する事になる。見せかけの攻撃などが存在しなくなってしまった。何故なら全ての攻撃で魔力を満たせるようになるから。ウィーノ、何かいい案はあるかな?」

「衝動的に動いちゃったんだ…。どうしよう?母さんが止めなかったのは何か考えがあるからだよね?」


ウィーノは衝動的に動いた。

何も考えずにカーリンに技術を教えた。


この事を切っ掛けに考えて欲しい。

人を見て考えて一緒に訓練する楽しさを知って欲しい。


ウィーノはその段階まで行っていない。

私の駆け引きをカーリンに見せただけだから。


「そうだね。魔力移動速度を鍛えるのは悪い事ではないから。どうすれば戦略の幅が広がるようになるのか考えてみなさい」

「やっぱり人間だと魔力の移動が見えたとしても直前で魔力量を変えられたら防御できないよね。魔力を追加されると感じた時には攻撃が当たっているから。私たちは人間と目が違う。体が違う。ウィーノはそれを忘れていたね。ウィーノ、こうなったらあれしかないよ」

「母さんと姉さんは分かっているのに私だけ分からないの?全然分からないよ…」


ヴィーネは分かっているみたいだね。

凄く成長しているよ。


「ウィーノ。どうすればカーリンとクリスタの組手が面白く見られるか考えてみなさい」

「色々な駆け引きがあって色々な技術を使っての激しい攻防かな」

「そんな戦いにするにはどうすればいいのか考えるだけじゃない」


「規則を作るしかないよ。攻撃中に魔力の追加は禁止にする。当てる直前は禁止にすると基準が難しくなるから。でも、私たちしか審判できないし仕事を増やしちゃうよ」

「それでいいんじゃない?どうせ私たちは見るからね」


カーリンとクリスタの組手だけで止まってしまっては駄目。

もっと先を見て考えないと…。


「2人とも甘いよ。もっと先を見なさい。国内は秘儀を使える人ばかりになる。組手などで勝負したい人が増える可能性が高い。勝手に野試合されるよりも全て管理した方がいい。種族により規則も異なる。魔法を使って勝負したい人がいるかもしれない。よって、闘技組合を設立しなさい。今日から訓練場を闘技場とする。ヴィーネは魔獣に子供を食べさせていた国のように訓練場を改築。闘技場の正面に闘技組合所も作りなさい。ウィーノはディーン姉ちゃんとカーリンとクリスタとレナーテに今の規則を伝える。そして、税理官室に闘技組合の職員募集を伝える。全国民にも闘技組合の設立と闘技場について周知。戦う時の細かい規則は当人同士が決めるものとするけど、原則はウィーノが考えなさい。審判は私がする。何も意見がなければ動きなさい」


「試合を誰でも見られるようにすればいいんだね。作るだけだから行ってくるよ。転移魔法(テレポート)

「母さんの仕事が物凄い増えちゃうけどいいの?」

「秘儀を極めた者同士の試合の審判は私たちがするしかないから仕方ないよ。その方が安全だからね。ウィーノは私が審判するだけで済むように考えなさい」


「分かったよ。先にカーリンたちに規則を伝えるよ。困っていると思うからさ」


ウィーノも優しいね。


さて、傍受しよう。

何を言うのかな…。


「叔母さんとカーリンとクリスタとレナーテに話し掛けているよ。組手などの試合で攻撃中に魔力の追加は禁止とする。攻撃が当たる直前に魔力を追加できる可能性は高いけど、防御できる可能性は限りなく低いから。叔母さんはクリスタと組手する時だけは守ってね」

「「「かしこまりました」」」


「姉さんが言っていたわね。組手を楽しみたいからそれでいいわよ」

「これからも安全な組手を楽しんでね。またねー」


ディーン姉ちゃんはクリスタと楽しんで組手しているからね。

2人は実にいい関係だよ!


「それじゃあ、税理官室に闘技組合の職員募集をお願いしてくるよ。その後に闘技場について周知するから。行ってくるね。転移魔法(テレポート)


今回のやり取りはこれで良かったのだろうか?

2人を働かせているのは間違いない…。


でも、同じ失敗はしない!


絶対に働かせ続けない。

仕組みを考える事を覚えてもらうだけにする。


その為には自分で考えて動いて伝達するのが一番。

間違った事をしたのなら注意すればいい。


カーリンと組手したのは間違った事をしたとは思っていない。

誰かが気付いてもおかしくはない技術だから。


「やあ、ウィーノだよ。今日から訓練場を闘技場とする。闘技場の前には闘技組合所を作る。組手や魔法などで試合したい人は闘技組合に職員がいない間は社に来て。試合の審判は母さんがするよ。原則は殺害禁止。武器の使用禁止。子供の試合禁止。子供の見学禁止。双方の合意があって試合が成立するものとする。試合の細かい規則については双方で決めて受付に提出。試合日時、試合の見学を許可するのかどうか、秘儀や魔法の使用についてなどだね。私たちと試合したい人もいると思うから条件を言うよ。秘儀を極めている。以上だよ。またねー」


しっかり考えたみたいだね。


試合を見学できるのかどうかを当人が決められるのはいいね。

誰にも見られたくない試合はあると思うからさ…。


試合を重ねながら原則を固めていけばいいと思う。

殺害禁止と子供の完全除外でとりあえずは十分だよ。


身体の一部が欠損する試合もあると思うから。

それを、子供たちには見せたくない…。


最後に私たちとの試合条件を言うとはね。

秘儀を極めているのなら試合してもいいかな。


「ただいまー。作ってきたよ。闘技組合所の正面に掲示板を作って、試合予定を張り出せるようにしておいたよ」

「おかえりー。お疲れ様。ウィーノの原則に何か気になるところはあった?」


「問題ないと思うよ。実際に試合が行われないと分からない事とかもあるし、母さんが審判をしている間に固めればいいと思う」

「ヴィーネは凄く考えられるようになったね」


妹ができて頑張っているのかな?

負けられない相手がいると成長速度が違うね。


「ただいまー。問題は無かったかな?」

「おかえりー。私とヴィーネは問題なしと判断したよ。2人とも成長しているね。さて、寝ようか」


「「うん。寝る!」」


私が布団を敷くと2人はすぐに入る。

私は真ん中に入って2人を抱きしめる。


「じゃあ、おやすみー」

「「うん、おやすみー」」


2人の好きな事ではなかったと思うけど考える切っ掛けにはなったと思う。


助言をしつつ追い詰めないように気を付ける…。

どんどん成長していく2人を見ているのがとても楽しいよ。

3人とも成長していますね。

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