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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第5章 聖地シャーロット

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閑話 カーリン 新技術

ウィーノ様にお会いした時はとても驚きました。

ヴィーネ様が髪の色を変えただけのようにしか見えませんでしたから。


双子だと言われても納得してしまいます。


何の御用があって来られたのかは分かりませんが無視をするなんてとてもできません。

そもそも、存在感があり過ぎて気になってしまいます。


考えが変われたのかウィーノ様に組手に誘われました。

シャーロット様に確認までして下さっているので断る理由はありません。


格上の方だと勿論分かっています。

ですが、今の私がどれだけの事ができるのか全力で挑むつもりでした。


ただの一言で説明できてしまいます。

何も分かりませんでした…。


私が攻撃する度に痛みが走る。

ウィーノ様が攻撃する度に痛みが走る。


魔力量を見ても同じようにしか見えない。


私の魔力把握力が甘い?

それとも種族差?


身体能力だけで圧倒されてしまう程の差があると理解しています。

しかし、ウィーノ様の攻撃は私の攻撃速度と変わらない気がしました。


確実に人間に可能な動きで組手して下さっているのです。

それならば、何故痛みが走るのかしら?


攻撃や防御に種族の身体能力が加わるのかしら?

それを、加味した攻撃をしなければならないのでしょうか?


頭の中はぐちゃぐちゃでした…。

シャーロット様の言っていたのはこういう事だったのですね。


上級者との戦いでは平静でいられない。

何をされているのか理解すらできない。


ウィーノ様が最後に教えて下さるという事でなんとか平静を取り戻せました。

そして、新しい技術を教えていただけたのです。


この技術をクリスタは知っているのかしら?

いえ、現時点でクリスタは知らない可能性があるわ。


どの道、ウィーノ様から口止めをされていますから言えないわね。

クリスタの方が有利なのですから言う必要も無いわ。


最終的にシャーロット様が平等な条件にして下さるでしょう。

ですが、これは先に鍛えた方が有利なのは間違いありません。


ウィーノ様の質問の意味が分かりました。

魔力移動速度を鍛えれば現時点でもクリスタに勝てる。


人間同士では総魔力量が然程問題ではありません。

攻撃と防御の時に満たせる魔力量さえあればいいのです。


魔力移動速度が速くなればなる程、攻撃中の魔力量を低く見せる事ができます。

当たる直前に相手の魔力量を上回ればいいのですから。


攻撃速度が遅くならない魔力量にしておけばいいのです。


人間は常に魔力を満たして戦い続けられません。

だからこそ、今日の組手はとても意味が大きいのです。


秘儀を普通の武術と同じように考えていました。


攻撃力は魔力量で変化させられるのです。

当たり前の事なのに気付きませんでした。


隙間を埋める事にこだわってしまいました。


勿論シャーロット様に隙間を埋めていただく予定です。

しかし、今の状態でも考え方を変えるだけで全く違うと教えていただけました。


基礎能力だからこそ普段の努力の差が大きく出ます。

今の私でも似たような事はできますが鍛えた方が効果的でしょう。


ウィーノ様の攻撃は相手を攻撃して終わりではありません。

魔力量を戻す事により混乱までさせられるのです。


クリスタは全ての魔力を動かす鍛錬しかしていません。

魔力の移動速度のみを意識した鍛錬はしていないのです。


ジェラルディーン様は知らないのかもしれません。

その可能性が高いですね…。


私はシャーロット様が最強だと信じています!

ウィーノ様はシャーロット様の技術を1つ教えて下さったのだと思います。


突然の組手でしたが余りにも大きなお土産を頂きました。

シャーロット様に隙間を埋めていただく前にまた声を掛けていただけるのかもしれません。


ウィーノ様はそのようにおっしゃられていましたので。


今日と同じ醜態は晒せません…。

教えていただいた技術を少しでも形にしてみせます。


「ねえ、聞いてるの?ウィーノ様と何してたの?」

「組手よ。駄目かしら?クリスタは気になる事があるの?」


魔力の移動速度を鍛える方法を考えたいのよ。

夕食までは時間があるのですから考えさせなさい!


「あるわよ。あそこまで大袈裟に頭を下げるカーリンを初めて見たわ」

「ウィーノ様が組手して下さったのよ。頭は下げるでしょ?」


「確かに頭は下げるけど、あれは違和感があるね。何か教えてもらったでしょ?」

「秘儀に何かあるのかしら?逆に教えて欲しいわよ。近道も何も無いじゃない」

「確かにその通りです!クリスタは何を疑っているのですか?」


レナーテ、もっと言ってあげてちょうだい。

昔からクリスタは疑うと執念深いのよ…。


「カーリン、1つだけ正直に答えて。あなたと私が組手したらどっちが勝つ?」

「あなたは疑うと長いですから正直に言うわ。分からないわね」

「待って下さい!魔力を完璧に満たせるクリスタに対して分からないですか?それが、カーリンの正直な答えなのですか?」


正直に答えたわよ。


まだ何も鍛えていないのですから。

攻撃が当たる直前に魔力移動させられるか分かりません。


当たる直前に魔力を移動させる練習は木でも藁人形でもできます。

魔力の速度を上げる鍛錬はいつでもできます。


それを、早く考えたいのよ!


「ウィーノ様から技術を教えていただいたね。話せないのは仕方ないか。一度の組手で分からないと言える程の効果を生む技術がある。私は知らない可能性が高いね。やっぱりシャーロット様が最強だよ」

「クリスタも教えていただけるのは間違いないわ。シャーロット様は私たちを平等にするはずですから。それに、当然シャーロット様が最強です!」

「また私だけ除け者ですか?悲しくなりますよ!」


「レナーテは勝負する相手がいないわ。ですから、必要ありません」

「レナーテは1人で鍛えていればいいじゃない。シャーロット様の想いを形にするんでしょ?」

「じゃあ、1つだけ質問させて下さい。その技術を知った時にあなた達と組手すればどうなります?」


上手い質問をしてくれたわね。

絶対に長くなるわ…。


「分からないわ。レナーテが勝つかもしれないわね」

「あー、絶対に知らない!レナーテに勝機が生まれる技術があるんだ。私が物凄い不利になってない?」

「ほら見なさい!想いを形にすればあなた達に勝てる可能性があるではありませんか。シャーロット様が考えた秘儀の形は完璧なのです。それが、証明されましたね」


恐らくまだ技術はあるのでしょう。

それらを考えるとレナーテの言葉も納得だわ。


私たちが有利になるのは魔力が減る中盤以降でしかありません。

それまでに、レナーテに負けてしまえば終わりね…。


「カーリン。ウィーノから教えてもらった技術をクリスタとレナーテに教えてあげて。これは先に知っているから有利じゃない。鍛え方だよ。頑張ってねー」


シャーロット様からの念話(テレパシー)だわ。

私たち3人だけにされたのかしら?


「食事場所に行きましょう。クリスタ、レナーテ。行くわよ」

「ええ。レナーテが絡んでくれたお陰で教えてもらえる事になったね。運がいいよ」

「絡んだとは何ですか。真摯な願いがシャーロット様に届いたのです。では、行きましょう!」


鍛え方を考えたかったのに…。

しつこい2人に捕まったのが運の尽きだわ。


終わりそうもないからシャーロット様が許可を出されたのね。

シャーロット様の許可であれば話せますから。


3人で食事場所に移動しました。


「ゆっくり実演するわ。クリスタは私の拳を受け止めて。魔力は満たしておいてね」

「ええ。分かったわ。どんな技術なのか楽しみね」

「私は観察していれば分かるのですね。集中しましょう!」


あえて右手の魔力を半分程度に抑えます。

その状態で右拳をクリスタに突き出します。


クリスタの手で受け止められる直前に拳を魔力で満たします。

そして、手から拳を引く直前に魔力を半分に戻します。


ゆっくりであれば可能ですね。

しかし、これを組手に取り入れるには相当な鍛錬が必要だわ。


「私はこれをウィーノ様に組手中ずっとされたの。ウィーノ様は動きを全て人間に可能なものに抑えて下さっていたわ。そして、私は全ての動作で痛みを感じた。ウィーノ様がその気になったら簡単に破壊されていたでしょうね」

「常識に囚われていたわ。油断したら瞬殺される技術じゃない。組手中にこの魔力操作で隙を突く訳だね。誰でも勝てる可能性があるじゃない!人間の上限まで鍛えたと思ったのに甘かったね。秘儀はここから鍛えるものみたいだよ」

「シャーロット様の想いを形にすれば最強の人間になれるのです。楽しくなってきました!」


この技術は恐ろし過ぎるわ。

秘儀を極めて初歩だと言われても反論できようがない。


この技術を知った事で攻撃や防御は当たる直前まで油断できなくなりました。


ですが、私が一番鍛えてみせます。

シャーロット様を一番好きなのは私だからです!

質問攻めにされているカーリンが可哀相なのでカーリン軍のシャルが許可を出しました。

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