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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第5章 聖地シャーロット

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ジェラルウィーノ 勉強

ドラゴンの継承が母さんを勘違いさせてしまった。

5000年以上の知識を継承していて考える力が弱いとは思わないよ。


だけど、姉さんは戦闘力に見合った考える力を持っていなかった。


母さんは知識の継承を聞いて自分と同じ程度の考え方ができると想定した。

しかし、姉さんは衝動的に動き続けた…。


世界最強なのに後先も考えずに行動してしまう。


母さんは知識の継承で考える力は継承されていないと判断した。

そこで、考える力を身につけさせる為の教育が始まった。


その教育で姉さんは自分自身を追い詰めていく。


母さんは姉さんの判断を尊重しようと考えていたけど、姉さんが余りにも追い詰められてしまった。

その為、自分の教育方法が間違っていたとして反省し続けた。


母さんは何も悪くない!


悪いのは私と姉さんだよ…。

私も世界の感情を見た時に不幸な感情ばかりを注目してしまった。


きっと私が先に孵化していたら姉さんと同じ結果を生んでいたよ。

とても世界最強だとは誇れない…。


力が強いだけの赤ちゃんだよ。


私も姉さんと一緒で母さんの強さは感情把握にあると思っていた。

相手の行動を先読みし適切に対処する。


感情把握を鍛えれば相手を圧倒できる力になる。


姉さんの考えを聞いた時に愕然とした…。

母さんは私たちに感情把握を使う必要も無い程に強い。


2人同時に相手して互角だった訳ではなく本当に指導だっただけ。


強過ぎだよ…。

やはり宇宙最強だと思っておいた方がいいね。


それに、姉さんの考える力が私をはるかに上回っている。

今の私ではとても勝てないよ…。


母さんが最善だと思っていた教育を受けられたのは大きいと思う。

姉さんは苦しかったと思うけど大きな糧になっているから。


母さんが教育方法を見直した結果、姉さんは妹を欲しがったのだから無意味ではないけどね。

だからといって、私より強いのは納得いかないよ!


大体やる事が多過ぎるよー。

やりたい事を考える余裕なんてないもん。


あっ、そうだ!

やりたい事を姉さんに勝つ事にしよう。


実に遣り甲斐があるじゃない。

その為には何が必要かを考えないとね。


魔力の移動速度を上げる。

感情把握能力を鍛える。


この2つで十分だね!


その過程で考える力も身につくに違いない。

楽勝だよ!


感情把握を鍛える為には外出する必要があるね。

隠れて鍛える事ができないのは残念だよ…。


次は姉さんを圧倒したいからね。


私が国内をうろついていたら目立ってしまう。

皆が私を気にしちゃうね…。


「母さん、国防管理所の補佐室に行ってくるよ」

「国内の移動なら報告しなくてもいいのに。行ってらっしゃい」

「ふーん。何をするのか知らないけどやりたい事が見付かったのかな?」


母さんには気付かれているはず。

もしかして、姉さんにも気付かれているのかな?


「私のやりたい事はすぐに見付かったよ。またねー。転移魔法(テレポート)


姉さんがニヤリとした気がする。

母さんは笑っていたね…。


別に気にしないもん!


さて、私は母さんが外出している時に何をしているのか知っている。

まずは真似してみないと駄目だね。


う、煩いよ…。


孤児院の会話を把握するのは無理。

一瞬で全員の会話内容を把握している母さんがおかしいよ。


聞こえてくる声の場所が分からないもん。

1つの声に絞ろうとしたとしても集中できないよ。


すぐに戻ったら姉さんに馬鹿にされそうな気がする。

何か考えないとね…。


旧孤児院の屋上に行って結界を張るのは…、駄目だね。

母さんの説教確定で姉さんが爆笑するよ。


意識すると本当に煩い…。


母さんも姉さんもこんなに煩いのに毎日のように外出していたんだ。

姉さんは声を気にしている感じがしないから慣れているね…。


3年の差が結構大きいよ!

作戦変更だね。


転移魔法(テレポート)

旧孤児院の1階に移動した。


「やあ、初めまして。ジェラルウィーノだよ。ウィーノと呼んでね」

「ウィーノ様。どうかされましたか?何かあったのでしょうか?」


「何もないよー。母さんが大切にしている施設を見に来ただけ。私の事は気にしなくていいよ」

「流石にそういう訳にはいきません。絶対に気になりますから」


カーリンの性格だとそうなっちゃうかー。

子供たちは学校でチェルシーとアレクシアが残っているね。


母さんはカーリンに組手の経験が足りないと感じていたね。

声に集中できないしカーリンと組手しようかな…。


でも、私が指導みたいな事をしてもいいのかな?


念話(テレパシー)

「母さん、カーリンと組手していい?」

「孤児院の会話を聞きに行ったのでしょ?目的が変わっているじゃない」


やはり母さんに隠し事はできないね。

でも、私は何も言ってないもん…。


「そんな事言ってないから。カーリンと組手したいと思って様子を見に補佐室に行ったの」

「ふーん…。隙間を埋める行為は禁止。破壊するのも禁止。カーリンがいいと言えばいいよ」


「分かったよ。カーリンに聞いてみる。カーリンには組手の経験が足りないからね」

「ウィーノとは組手する条件を決めていないからね。許可するよ」


本当にカーリン軍は面倒だよ…。

一番面倒なのが母さんだからね。


「今ならカーリンは外出できるでしょ?私と組手する?母さんに許可はもらったから大丈夫だよ」

「シャーロット様が許可して下さっているのでしたらお願いします」


「じゃあ、行こう。転移魔法(テレポート)


訓練場に移動した。


「私は母さんからカーリンを破壊するのを禁止されているからね。もし隙があれば少し痛い程度に攻撃するから。私に隙があれば破壊してくれていいよ」

「分かりました。よろしくお願いします」


「じゃあ、行くよ!」

「はい!お願いします!」


カーリンも魔力を体に満たす事が強いと思っている。

今のカーリンが魔力を満たしたとしても、それほど変わらないのに。


魔力移動速度を鍛えた方が絶対にいいよ。

私と一緒だね!


カーリンが直進してきた。

私は人間1人分の魔力量を平均的に配置している。


カーリンが右拳を私の胸を目掛けて突き出してきた。

カーリンの魔力量を詳細に把握する。


カーリンの右手にはまだ魔力を溜められるからね。


攻撃が当たる直前まで見続ける。

魔力量を直前で変化させる事はしないみたいだね。


同等の魔力量の左手で受け止める。

それと同時にカーリンの左脚に私の右足で攻撃を仕掛ける。


攻撃する時の速度は人間と同等にする。

種族差で圧倒するなんて最低だからね。


カーリンは私の右足の魔力量を見て同等の魔力量の左脚で受け止める気だね。

誤差はあるけど私の攻撃する魔力量より若干多いくらい。


人間では十分な魔力把握能力だよ。

私は攻撃が当たる直前に僅かだけカーリンよりも魔力量を増やし、脚に痛みが走る程度で攻撃を止める。


「うっ!」


動揺が見えるね。

何故痛みが走ったのか分からないのだと思う。


私は攻撃が終わった直後に魔力量をカーリンと同等にした。


カーリンは迷いを振り払うように左拳を突き出してきた。

私の右手より若干多い量で攻撃してきている。


今回も直前まで魔力量を見る。


やはり攻撃中に魔力量を変化させないね。

私はカーリンの左拳を右手で横に払いのける。


魔力量をカーリンより少し多くしたから少し痛みが走ったはず。

それよりも、払いのけられた事に衝撃を受けているね。


「カーリン、動揺し過ぎだよ。何故かは後で教えてあげるから自分ができる事に集中して」

「分かりました。お願いします!」


攻撃が当たる直前だけ魔力量を増やし、すぐに戻せば相手は混乱する。

魔力の移動速度を上げるのは途轍もない武器だよ。


母さんは最強だよ!


カーリンにした同じ事を母さんにされるはずだから。

夕暮れ前には終わらないとね。


高位回復魔法(ハイヒール)


「ここまでにしよう。今日の組手で何か掴めたかな?」

「私が攻撃を防げないのは種族差でしょうか?それとも、魔力量の把握が甘いのでしょうか?」


「カーリンは母さんと隙間を埋める約束をしているよね。隙間を埋めても余り変わらないのは分かっている?」

「はい。そこまでの差が出るとは思いませんが、攻守に使える魔力量が少し違うだけで勝負が決まってしまいますので」


何でも言葉で答えを言ってしまうのは母さんのやり方じゃない。

私はあくまで見せてあげるだけにしよう。


「そこに、答えがあるよ。言葉より見せた方が分かりやすいね。カーリンは私の攻撃を受けて。ゆっくり攻撃するから私のしている事をよく見ていてね」

「はい。よろしくお願いします」


私はゆっくりとカーリンに右拳を突き出す。

カーリンは左腕で受け止める気だね。


カーリンの腕に当たる直前に魔力量を増やす。

ゆっくり動作しているから痛みはそれ程ないはず。


カーリンは驚いているね。

私は拳を戻す動作をする直前に魔力量をカーリンと同じにする。


更にカーリンは驚いているね。


「じゃあ、帰ろう。転移魔法(テレポート)


孤児院の1階に移動した。


大人が揃っているね。

会話すれば勉強になるかな?


いや、今日はカーリンと組手しただけで十分に私も勉強できた。

魔力の移動速度を鍛えるのは必須だよ!


私は人差し指を口に付ける

カーリンには伝わると思う。


「カーリン。暇な時にまた組手しよう。母さんと組手する前に強くなっていると私も嬉しいよ」

「はい。努力します。ありがとうございました!」


そんな大袈裟に頭を下げなくてもいいよ。

私も勉強になったのだからお互い様だからね。


「じゃあ、皆、またねー。転移魔法(テレポート)

皆に手を振って社に移動した。


「ただいまー。母さん、問題は無いでしょ?」

「おかえりー。そうだね…。2人とも勉強になったみたいだからいいよ」


私の事まで把握されているよ。

母さんの言葉に含みがある気がするけど気のせいかな?


「ウィーノ。叔母さんがあれをしているか分からないよ。クリスタ大丈夫かな?」

「それなら、姉さんがクリスタと組手すればいいじゃない。それで、平等でしょ?」

「そうだね。ヴィーネが心配ならクリスタと組手してきなさい。最後に私が平等な試合になるように調整するつもりだけど、心配でしょ?ディーン姉ちゃんは身体強化を極めていないからね。種族差で有利な組手を楽しんでいるだけかもしれないよ?」


クリスタは極めているのに叔母さんは極めていないからね。

魔力量と種族差で戦えているだけ。


全然対等だとは思わないよ!

クリスタの方が努力しているのだから。


「私とウィーノの代理戦みたいになりそうじゃない。母さん楽しんでる?」

「そんな事はないよ。ウィーノなりに考えて組手してきたからね。ヴィーネにも何か切っ掛けがあるかもしれないと思っただけだよ。別にヴィーネがしないなら私が最後に調整するから心配しなくていいよ」

「姉さんは何もしなくていいと思う。寝てなよ!」


姉さんは優しいから絶対に行くね。

それに、クリスタ大好きだから。


「勉強になるなら行くしかないね。クリスタに時間がありそうな時に組手してくるよ」

「そうそう。好きな事をすればいいよ」

「姉さん行くんだー。ほんとクリスタには優しいよね」


「はい、そこまで!もう寝るよ」


母さんが布団を敷いたからすぐに入る。

布団に入る早さは同時だね。


母さんが布団に入って抱きしめてくれる。


「じゃあ、おやすみー」

「「うん、おやすみー」」


またカーリンと組手しよう。

私も魔力移動速度をもっと鍛えないとね。

2人とも優しいのです!

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