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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第5章 聖地シャーロット

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シャーロット 教育

絶対に同じ失敗はしない。

娘を平等に愛する事も忘れない。


ヴィーネはそのままで、ウィーノにも孤児院の感情把握をしてもらう。

ヴィーネが国を見ようとした事を考えると理由も説明するべきだね。


「ヴィーネに2軒の孤児院の感情把握をしてもらっているのは気付いているよね?ウィーノも2軒の孤児院の感情把握をしなさい。感情把握をもっと強力に使いたいのであれば孤児院を詳細に把握できるようになるのが最適な勉強方法だよ。理由は分かるかな?」


理由はいくつかあるのだけれど答えを全て教えるのも違うよね。


「600人の感情把握ができるようになれば十分だから。特に子供の感情は変わりやすいからでしょ?」


ウィーノは私がヴィーネに感情把握をさせている理由を知っているからね。

でも、私がその時に考えていない事は分からないはず…。


「ウィーノは継承した知識から答えたでしょ?それだけではないよ。継承した知識の中から理由を探し出せるのであれば凄いけど難しいでしょ?何故なら当然の事だと思って最近は考えていないからね。村だった頃の知識まで遡って理由を探し出せるのであれば凄いよ」

「そんなのありなの?」

「そんな理由だったんだ。ウィーノは簡単に考え過ぎだよ。考え続けてきた母さんなら理由を意識せずに孤児院を感情把握させれば大丈夫だと思ったんだよ。そういう事でしょ?」


ヴィーネの考える力が上がっているね…。

私のした事が全て駄目だった訳でもないみたい。


でも、同じ教育は二度としない…。

娘たちを追い詰めるような真似はしたくない。


「その通りだよ。私は600人以上いる孤児院の感情把握が詳細にできるようになれば十分だと考えた。子供ばかりだから難しいとさえ思った。でも、全ての理由を思い浮かべていないからね。だから、まだ理由はあるよ」

「あー!私が有利だね。だって、説教されたばかりだから。つまり、孤児院の感情把握を詳細にする為には能力で把握しているだけでは駄目だという事だよ。誰がどのような会話をしているのかも知っておく必要がある」

「姉さんが国を感情把握すると言った時のやり取りだね。能力だけでは駄目なんだ」


ヴィーネは覚えていたみたいだね。

普段の会話を知っているからこそ詳細に理由まで分かるようになる。


「そうだね。そして、2人は古代種(エンシェント)ドラゴンでもある。何が言いたいか分かるかな?」

「もしかして私たちにも種族特性が当てはまるの?」

「えー!母さんの能力と相性が悪過ぎだよ!」


種族特性はディーン姉ちゃんを見ていればよく分かるからね。

2人もすぐに理解したみたい。


「私の魔力で産まれているから強くは種族特性が出ていないけど、やはりその傾向は見えるね。例えばヴィーネは助けた後の子供の事は気にならないでしょ?それに、自分が助けた子が誰か分からないよね?」

「孤児院の皆に任せれば安心だと思っているだけではないんだね。それに、自分が助けた子が分からないよ。最近助けた子は少人数で酷い状態だったという記憶はあるのに顔を見ても誰か分からないと思う」

「少人数でも分からないの?絶対に私も一緒だよ。かなりまずいね…」


まずは、正確に今の自分を知る事が大切だからね。

この世界には様々な種族がいて様々な特性を持っている。


古代種(エンシェント)ドラゴンは他種族に興味が無い。

自覚しているのとしていないのとでは差がある。


「難しい事をヴィーネに要求していたと理解できたみたいだね。国に広げても意味が無い。何故なら、興味が無い人ばかり住んでいるからね。だから、一番興味がある孤児院に絞った方がいい訳だよ。そこで、条件を付けるね。2人とも旧孤児院で働いている大人の感情把握を詳細にできるように努力しなさい。組手で感情把握は強力な武器になると理解したでしょ?つまり、2軒の孤児院の感情把握をしながら詳細に把握するのは旧孤児院の大人たちのみ。感情把握が強力になる他にどんな目的があるかな?」


ヴィーネは絶対に分かる。

それで、苦しんできたのだから。


私の苦い経験にもなった…。

これからは2人を詳細に把握し続けるよ。


「他の感情に惑わされないようにする。自分が欲しい情報だけを取得できるようにする訳だね」

「それって難しいの?相手を決めていれば惑わされない気がする」


ウィーノは経験が無いからね。

これからの為にも一度は経験させた方がいい気がする。


「ウィーノは今から世界を魔力で覆って、この国で一番幸せな人がどこにいるか教えて」

「そんな簡単な事でいいの?じゃあ、いっくよー!」


ウィーノは何て答えるのかな?


これは、性格にも影響するはず…。

不幸な人に興味が無ければ答える事ができるのかもしれない。


「この国には幸せな人ばかりだよ。世界には不幸な人ばかりだよ。それで、誰が一番幸せかだけど…。あー、駄目だね。不幸な人ばかりに目が行くよ。幸せな人を探そうとしても不幸な人が気になって仕方ない」


やはり不幸な人が気になるんだね。

ヴィーネと一緒で優しいね…。


「じゃあ、元に戻して。分かったでしょ?感情把握は使い慣れていないと強い感情を注目してしまう。この国で幸せな人を探そうとしても他国の不幸な人の感情が気になって仕方ない。集中できない。よって、分からない。600人以上いる孤児院を見ながら8人だけを意識する。まずは、8人の感情を詳細に把握できるようになる事。次に何を考えているのか把握できるようになる。8人の性格も知らないと駄目だね。普段どのような会話をしているのか知る必要もある。結界は解除しない。話を聞きたいなら外出しなさい」

「孤児院全体を把握するより物凄く簡単になっているのに難しいと思う。私は本当に勘違いばかりだよ…」

「母さんを高等科の卒業生だとして、これができるようになるとどれくらいなの?」


2人は世界最強なのに学校で比較するんだ。

庶民的な考え方をするね。


私の影響かな?


「そうだね…。寝返りができるようになった赤ちゃんだね。ハイハイまでは遠いよ!」

「ウィーノが聞いちゃうから物凄い遠く感じるよ。保育科も行けないじゃない」

「初等科卒業くらいかなと思ったんだもん。仕方ないでしょ!」


「当然だけどやりたい事も考えて。特に無いなら別にいいけどね」

「ウィーノは何も無いでしょ?寝てなよ!」

「無いから考えるの!組手で勝ちたいからって妹を不利しようとするとか酷くない?」


2人の勝負は始まっているみたいだね。

私は平等に見守るよ。


「勝負は戦う前から始まっているの。母さんと組手したのに気付いてないの?」

「ちょっと待ってよ!私だけ知らないのは不公平だよ。姉さん教えてよ!」

「私も気になる。戦う前から始まってたんだね。驚きだよ!」


ヴィーネが何を言うのか気になるね。

とても楽しいよ!


「よく言うよ!私とウィーノの組手を見て同時攻撃は無理だと判断したでしょ。そして、母さんは人間の魔力量2人分だと言った事で、私とウィーノは攻撃させる訳にはいかないと思わされ、同時攻撃に囚われてしまった。その時の私たちの感情を見て人間の魔力量1人分でも防御だけなら問題ないと判断した。防御し続けているのは怪しいと思われるかもしれないから途中で攻撃すると予告してみた。私たちが身構えた事によって魔力量を確認していないと確信したから指導する事にしたのでしょ?」

「そんなにたくさん考えているの?ハイハイまでの道程は険しそうだよ」


組手だけで色々と考えたね。

私なんてすぐに追い抜かれそうだよ。


「ほとんど正解だね。2人の組手を見る前から同時攻撃は無理だと分かっていたよ。そして、人間2人分の魔力量と言った時には既に1人分の魔力量を動かしていた。ヴィーネとウィーノは勘違いしている事がある。2人の力なら魔力量を把握する事は意識すればできると思っている。私は今の2人が魔力量を把握できない速さで魔力を動かせる。その状態でいるのに組手する事に2人が疑問を感じなかったから魔力量の確認をしていないと確信した。人間2人分の魔力量が私にあると思っている2人は同時攻撃するしかなかった。言葉を交わさずに選択できる今の2人の最善の攻撃が同時攻撃だからね。攻撃すると宣言した時に魔力の移動速度を落とした。つまり、最初から指導する為の組手だったんだよ」

「私の耳にはほとんど不正解に聞こえましたけど…。同時攻撃が無理だと思った理由と私たちが把握できない速度で魔力を動かせる理由が知りたい」

「ハイハイまでの道程に深い谷底がある気がしてきた…」


「ウィーノはヴィーネに組手で勝てると思って誘ったでしょ。ヴィーネに勝つのは無理だと分かっていたよ。ウィーノは私の知識を使ってヴィーネに勝つつもりだったからね。ウィーノの戦法を今のヴィーネなら把握できるから絶対に負けない。そして、見えない速度で魔力を動かせる理由だけど、鍛えているからだよ。最初から私たちの体は魔力で満ちているからね。鍛えないと速く動かせないよ。考える力と一緒で魔力を動かす力も継承されないのはヴィーネで分かっていた。以前魔力を動かす速度が遅いと言ったでしょ」

「待ってよ。私は母さんが魔力の移動速度を鍛えている理由を知らないよ。継承する知識を隠せるの?」


「鍛えていると言ったのは速くなるからで、本当の目的は違うからね。何も考えていないよ。ゴロゴロしている時の暇つぶしだね」

「そうだと思ったよ。ゴロゴロしている時に念力(サイコキネシス)の練習していたりするからね。全然ゴロゴロしていないよ!」


「ハイハイまでに谷底があるのは分かったよ…。せっかくだから魔力動かしているのを見せてよ」

「私も見たい。本当に見えないのか確認したいから」

「勉強熱心だね。見えた?話している間中もずっと動かしていたよ。暇つぶしだって言ったでしょ?」


「嘘でしょ…。全く見えない。止めて見せてよ」

「止めたら見えるね。はい。どうかな?」

「あー、見たくなかった!何で2つ球状の魔力を動かしているの?おかしいよ!」


「簡単だとつまらなくて暇つぶしにならないでしょ?難易度は自分で上げるしかないからね」

「母さんはそんなのばかりだよ。簡単にできるのに難しくしているもん」

「姉さんが言っているのは国作りの事でしょ?母さんならあっという間に発展させられるのに、基本的には放置だもんね。何でなの?」


私が能力を縛ってわざと苦労していると思っているね。

これは、昔に思った事だから2人とも分からないのかな?


それなら、本当の理由はあえて伏せよう。

今は惰性で生きている訳ではないのだから。


「私が作った国では新しい発見が無いからだよ。それに、研究などの分野はやらされていても効果が薄い。自分の意思で研究するのが一番だからね。2人なら分かると思うけど、私の能力を使うと人を人形に変えてしまう。私の言われた事だけをする人形だよ。それでは、私の知りたい新たな知識は得られない。それに、私が君臨したら顔色を伺う人ばかりで自由に発展しない。私は自由な国の発展を見ていたいんだよ。2人に好きな事を考えて挑戦して欲しいのも近い感じだね。重要な能力や戦闘での隙については教えたり鍛えるけど、他は自分で考えて好きな事をすればいい。2人は共に世界最強だよ。年の差もほとんどない双子に近い。双子でも物凄い差が出るのは知っているでしょ?私は2人がどのように成長するのかも見ていたいんだよ。5000年以上も封印されていた姉に勝てない妹もいるからね。普段の考え方だけで5000年もの差を覆す。3年なんて誤差だね。100年に一度組手すればいいよ。面白そうじゃない?」

「姉さん、それは面白そうだね。100年に一度組手しようよ」

「ふーん。既に勝てる気になっているのが叔母さんにそっくりだよ。母さんは私の方に魔力を多く送ってくれたのかな?」


既に勝負が始まっているね。

ヴィーネが挑発しているよ。


面白いね!


「組手する時は人間の魔力量でしてね。2人の差がよく分かるからさ」

「そうだね。100年じゃなくてもウィーノが勝負したいと思った時はいつでも声を掛けてよ。今は1勝0敗で私の勝ちだからね。100年も負けたままは悔しいでしょ?100年に一度の勝負の時には100勝0敗になっているかもしれないけどさ」

「ふーん。姉さんの自信過剰なところが叔母さんにそっくりだよ。年下の母さんにいつでも勝てると思っていたからね。1勝を大切に守っていてよ。その数は今後増える事がないからさ」


ディーン姉ちゃんに似ていたら負けなのかな?

とても本人には見せられない娘たちの戦いだよ。


「はい、今日はここまで。勉強したし寝るよ」

「「はーい」」


私が布団を敷くと2人はすぐに入る。

真ん中に私の入る場所が空いているよ。


ちょうど2人を抱きしめられる幅だからね。

本当に仲良し姉妹だよ…。


楽しい毎日になりそう。


「じゃあ、おやすみー」

「「うん、おやすみー」」


2人は何を考えてどんな事をするのかな?

お母さんと一緒に眠るのは遅くなりそうだよ。

シャルも子供です。

3人一緒に成長中ですね。

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